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冒険者のトムは、初めての依頼でスライム退治に挑んだものの――
装備はボロボロ、報酬も雀の涙。
宿代を払えば、もう財布は空っぽだった。
「うう……ぼくの異世界デビュー、こんなはずじゃなかった……」
結局、トムは町から追い出されるようにして河原へたどり着いた。
そこにいたのは、先日出会った二匹――カッパのジュンチャと、河原のジュンチャである。
「おや、また来たでやんすか。顔がずいぶん暗いでやんすな」
「オレ、知ってる! トム、弱い!」
「ううっ、事実だから何も言い返せない……!」
トムはため息をついた。
もはや彼には宿に泊まるお金も、食事を買うお金も残っていない。
「……その、しばらく……ここに住ませてもらってもいいかな?」
「河原に? あっしらと?」
「えっ、こいつと一緒にミミズ食う?」
「いや! それは勘弁してほしい! ぼくは人間だし!」
こうして、冒険者トムの河原暮らしが始まった。
寝床は石の下、布団代わりに草。
食事は……二匹に勧められるがまま、イナゴのサラダ(※火を起こせないので生)を口にすることになる。
「わ、悪くないかも……いや、でもやっぱり悪いよ! 文明的な食事が恋しい!」
「ハッハッハ。すぐ慣れるでやんす」
「トム、もう、ジュンチャ仲間!」
こうして異世界転生者二匹と、駆け出し冒険者の共同生活は始まったのであった。




