6-16
魔王が遺した魔術。
それは植物を骨格、筋肉として人型に成形し、組み上げたその基本フレームに岩石や鉱石を装甲として張り付けて巨人と成す魔術。
もちろんそれだけではなく、隅から隅までいくつもの術式が刻まれ、自然物で造られているとは思えないほどの対物理、対魔力防御を備え、陶芸品のように滑らかで美しい外見も備えています。さらにはたった一発で山すら蒸発させる高火力を有し、旧世界のアストラル・バディすら足元に及ばない汎用性、拡張性、機動性を有します。
古代魔法すらしのぐ大魔術ですが……。
「使って初めて気づきましたが、これ、とんでもない欠陥魔術じゃないですか……」
「ん? 何か言った?」
「な、なんでもありません。ほら、木偶の坊が剣を構えて突っ込んできていますよ。わたしは調整で忙しいですから、しばらく相手をしていてください。ただし、調整が終わるまで倒しては駄目ですよ? 良い感じに手加減して戦ってください」
「そ、それは構わないけど……」
と、言って、クラリスはスサノオと格闘戦を始めました。
まだ自分の動きと連動して動くハーロット・オブ・バビロンの挙動に慣れていないからか防御に徹していますが、押されてはいませんね。
観測したところ、スサノオの単純な突進速度は亜音速。振り回す剣先は音速を越えているのに、クラリスは危なげなく捌き続けています。
「さて、それでは今のうちに……」
調整……いや、修整を終わらせます。
この魔術の欠陥。それは六百六十六もの魔術を、ただ同時に発動して一つの魔術に見せかけているところです。
傍目には何の問題もないように見えますし、わたしも発動するまで気づけませんでしたが、六百六十六もの魔術を個別に発動、制御し続けるなんて狂気の沙汰。まるで、役に立ちそうな魔術を片っ端から繋げたような雑さを感じます。
わたしでなければ、発動した瞬間に脳死していたでしょう。
「タムマロ様はきっと、その隙を突いて倒したのでしょうね。いえ、もしかして今のわたしのポジションにいたのが……」
片翼と呼ばれた存在。
いいや、それだと違和感があります。
たしかに雑で致命的な欠陥を抱えていますが、この魔術は今の状態でも既知の古代魔法を上回っています。
仮にわたしと同程度、この魔術の欠陥を修整できるほどの存在がいたのなら、欠陥をそのままにしておくはずがない。
つまり、魔王がこの魔術を創り、オロチ一族の里にあった壁画に隠した時には、片翼と呼ばれた人はいなかった。もしくは、バングル・オブ・フレークスがわたし宛てだったことを加味すると、わたしに修整させて、この魔術を本当の意味で完成させようとした。
「いやいや、それだと、やはりわたしが魔王の片翼ということに……」
なってしまう。
百歩譲ってそうだったとしても、目的がわかりません。
「ねえ、クラーラ。まだ? そろそろ慣れて来たから、ちょっと本気で動きたいんだけど」
「え? あ、ああ、もう大丈夫です。魔力の出力調整はもう少しかかりますが、単純な格闘戦なら本気を出してかまいません」
「ホント!? じゃあ、本気でいっくぞぉぉぉぉ!」
言うなり、ハーロット・オブ・バビロンを両断しようと左から迫るスサノオの大剣の腹を、クラリスは右足で蹴り上げました。
それだけでは終わらず、蹴り上げた右足が地面へ戻る前に左足を跳ね上げながら上半身を左に捻り、スサノオの右側頭部へ左踵を叩き込みました。
「まだまだぁぁぁぁ!」
対物理障壁のせいでダメージは入っていないでしょうが、それでも体勢を崩したスサノオの右脇腹へ左フック。ハーロット・オブ・バビロンの重量だけなく、回転によって生じた慣性エネルギーまで一点に圧し付けられたスサノオは、目算で300メートルほど吹っ飛びました。
「う~ん……。手応えが微妙。ねえ、クラーラ。もしかして、効いてなかったりする?」
「ええ、このハーロット・オブ・バビロンほどではないですが、アレもそれなりの対物理障壁を有していますので、効いていません。もっとも、本来のスペックで殴っていたら、最初の一撃で終わっていましたけど」
「はいはい。魔王より弱くてごめんなさいね。それで? 出力の調整は終わったの? 魔力込みで殴ったら、それなりに効くんじゃない?」
「効くどころか、終わってしまいますね」
「そうなの?」
「ええ、間違いありません。スペックダウンした現状でも、魔力を纏えばアレの対物理、対魔力障壁など紙屑同然です」
何故なら、魔力の運用効率がとてつもなく高いから。
クラリスだけでは無理ですが、ハーロット・オブ・バビロンを通して魔力を纏った場合、通常のゴールデンクラリスと同じ魔力量でも数倍……いえ、数十倍の効率で使用できます。
例を挙げるなら、クラリスがタカマツで使用したアルティメット・キャノン。
あの時は神話級魔法数発分の魔力を消費しながらも神話級一発分の破壊力しかありませんでしたが、ハーロット・オブ・バビロンに乗った状態で同じ量の魔力を消費して使った場合、単純に威力が十数倍になります。
「しかも、ハーロット・オブ・バビロンを通して使うので、理論上はどれだけ大量の魔力を使ってもデメリット無し。ここだけでも反則的……いえ、この一点だけ、修整の余地がないくらい完成されています。これではまるで……」
「クラーラ? どうかした?」
「いえ、何でもありません。調整は終わったので、いつもの調子で魔力を開放してみてください」
平静を保って言いましたが、クラリスはわたしの様子が変だと疑っているかのような顔をして、「クラーラがそう言うなら、やるけど……」と、言ってから、「魔力……! 全開! ゴールデンクラリス!」と、叫びました。
「やはり、ここだけ突出して完成度が高い。操縦者のと龍脈からの魔力を増幅し、高効率で運用する術式だけ、異常なほど完成されています」
わたしの眼下でいつも通りにゴールデンクラリス状態になったクラリスは、魔力を纏っていません。代わりにハーロット・オブ・バビロンが、その十数倍の魔力を纏っています。
それを見て確信しました。
魔王は、クラリスと同じで規格外の魔力を持っているだけだった。違ったのは、クラリスと違って曲がりなりにも、魔術を扱える才があったこと。
そう仮定すれば、これほど歪な魔術を創ったことに説明がつきます。
『ば、馬鹿な! 何じゃその霊子力量は!』
『計測できるだけで十億じゃと!? 有り得ん! 魔王の霊子力量を遥かに越えておるではないか! このスサノオは、観測した魔王の霊子力を元にして、それに勝てるように設計しておるのじゃぞ!?』
浅はかな。と、老人たちの声を聞いて呆れました。
スサノオの性能を決定付けることになったのはあくまでも、お忍びでオオヤシマに来た魔王の、漏れ出ていただけの魔力。
故に、本来なら戦闘態勢に入った魔王にも及びませんし、龍脈の力を扱うハーロット・オブ・バビロンにはどうあがいても対抗できません。
「あらあら、随分な慌てようですね。まあ、それも仕方ありませんか。その木偶の坊がどれほど高効率で魔力を使えようが、内包している魔力量に埋められない差があるのですから」
『黙れ原始人! このスサノオは、ワシとテナヅチの知識と技術の集大成! 科学の結晶! そのスサノオが、そんな原始的な物に……!』
「負けるわけがない。ですか? それ、言っててむなしくなりません? あなた方は、この魔術に使用されている素材だけを見てそう自分に言い聞かせたいのでしょうが、刻まれている術式はあなた方の木偶の坊とは比べるのもおこがましいほど高度。その道の権威だと騙ったあなた方に、それがわからない訳がないですよね?」
『それは……』
「あら、もしかしてわからなかったのですか? だったら金輪際、権威だとうそぶくのはおやめなさい。代わりに、無能と名乗るべきです。無知でも可」
『『黙れと言ったろうが小娘!』』
激昂したアシナヅチとテナヅチは、スサノオの背中から魔力……ではないですね。推進力を得るための何かを噴射して大剣を振りかぶり、斬りかかろうとしています。
二十メートルはあるその巨体に音速を超えさせる技術は素直に感心しますが、真正面から馬鹿正直に切りかかってくるなど、ハーロット・オブ・バビロンの前では……いえ、今のクラリスが相手では悪手です。
『馬鹿な! 超音速の攻撃に反応するばかりか、ムーンチタニウム合金製のトツカを破壊しただと!?』
「あれ? 掴もうとしたんだけど……。ごめん。壊しちゃった」
「謝る必要はありません。単に、アレが稚拙な玩具だったというだけですから」
自覚はないでしょうが、ハーロット・オブ・バビロンに埋め込まれた各種探知系、強化系魔術の恩恵を受けている今のクラリスにとって、超音速程度ならスローモーションと同じです。
さらに、今は魔力を纏った状態。大剣を掴もうと右手を伸ばした瞬間、大剣はクラリスの動きに従ったハーロット・オブ・バビロンの右手に触れるなり、粉々に砕け散りました。
「ねえクラーラ。もうちょっと、魔力の量を絞れない?」
「絞る? どうして……。ああ、手加減して長く痛めつけるつもりなのですね?」
「いや、違うから。あたし、クラーラと違ってドSじゃないから」
「……では、どうしてですか?」
わたしはけっしてドSではありませんが、話の腰を折らないためにあえて汚名を容認しました。
わたしがそこまで譲歩したのに、クラリスは「少し、思うところがあってさ……」とだけ言って、伸ばしていた右手を腰まで引き、代わりに左手と、右足を地面を滑らせるように前に出しました。
その動きに反応したスサノオは距離を取ろうとしましたが……。
「救世……崩天。奧伝の弐。無常迅速」
クラリスはもちろん、クラリスの動きに遅れなく追従するはずのハーロット・オブ・バビロンも動いていません。それなのに、スサノオは何発も、何十発も攻撃を受けたように奇怪な挙動をして、センツウ山の麓にめり込みました。
「なるほど……ね。たしかに、虚しいかも」
「ク、クラリス。今、何をしたのですか?」
「変わったことはしてないよ。ただ近づいてぶん殴って、元の位置に戻っただけ」
「い、いやいや、そんな結果は……」
観測できていない。と、言おうとしましたが、手元にある術式の状態を報せるスクリーンには、それが事実だと裏付ける結果が数値として記されていました。
さらに魔力を体外ではなく、体内で爆発させたような観測結果も。
「救世崩天法の奧伝……所謂、奥義ってさ、基本的に禁じ手なの。どうしてかわかる?」
「えっと、それは……。危険だからじゃないですか? そうでなければ、使用を禁止する理由がありません」
「ううん。違うの。たしかに、あたしが使ったら危ない技もあるよ。でも、さっきの技みたいに、お爺ちゃんよりもあたしの方が上手く使える技もあるの。禁じ手にしてるのは、使ったら面白くないから」
「面白くない? あの、意味が分からないのですが……」
「山にめり込んだあのデカブツを見たらわかるでしょ? 終わっちゃうからだよ。もし、本気で魔力を纏った状態でさっきの技を使ったら、さっきので終わってた」
「えっと、やはり意味がわかりません。戦闘など、さっさと終わらせるに越したことはないと思いますが?」
「そう思えないのが、お爺ちゃんなんだよ。いや、あたしもか。あたしもお爺ちゃんも、バトルマニアだから。相手に何もさせずに倒せちゃう技を使って倒しても、満足できないんだよ」
わたしには理解できない思考です。
クラリスが……と、言うよりクォン様が禁止していることは、無駄に戦いを長引かせるだけの無益な行為。無駄の極みに思えます。と、どうしても考えてしまうわたしではけっして理解できず、得られないモノをクラリスは理解し、得ていると思ったら少しだけ、本当に少しだけ、妬ましく思ってしまいました。
『有り得ん。原始人がこれほど高度で精密なプログラムを組んだじゃと? 有り得ん!』
『現実を見ろアシナヅチ! あの小娘どもは、ワシらのはるか先、旧世界の天才たちですら届かなかった神の領域に最も近い場所におるのじゃ!』
『んなこたぁわかっとる! だからと言ってどうするんじゃ! スサノオの性能では、どうあがいてもアレには……!』
『勝てる! このスサノオには、アレが搭載してあるじゃろうが!』
アレと聞くなり、わたしはスサノオに刻まれている術式でわたしたちに対抗できるのか思案しました。
その結果は無理。
スサノオでは、ハーロット・オブ・バビロンの各種防御術式を貫通するような攻撃はできません。
あるとするなら、それは魔力を使わない攻撃。
なので、熱源探知魔術や音響探索魔術、透視魔術等を使って、スサノオの内部も探りましたが、その結果も皆無。
やはりスサノオ自体には、わたしたちを倒せそうな攻撃手段がありません。
「この……! 大馬鹿者が! 旧世界は、それが原因で滅んだのでしょう!」
「ク、クラーラ? 急にどうしたの?」
「どうしたもこうしたもありません! あの痴呆老人どもはよりにもよって、この世界を滅ぼそうとしているのです!」
確信はありませんでした。
ですが、老人たちの言葉をハッタリとも思いきれなかったので、わたしたちに対抗する手段は他の場所にあり、スサノオに搭載されているのは誘導するための物だと推察し、探査範囲を広げられるだけ、それこそ宇宙にまで広げました。
その結果、この場所に落ちようとゆっくりと移動し始めている岩の塊……ルナⅡを捉えたのです。
『そんなモノは、この衛星誘導兵器『アメノムラクモ』で世界ごと消し飛ばしてくれるわ!』
『ワシら以上の知識も技術も認めん! 採掘しつくした資源衛星諸共に、砕けてしまえ!』
老人たちはすでに、正気を失っているようですね。
まあ、それも仕方がないのかもしれません。
あの二人はこの世界で目覚めるなり、探知した数値だけとは言え魔王という規格外の魔力と出会い、それを手に入れるために二十年以上の年月を費やしてスサノオを造りました。
ですが、探知した魔力が漏れ出た程度のモノだったと知り、それをはるかに上回る魔力を操るハーロット・オブ・バビロンを目にし、オマケとばかりに、散々見下し、馬鹿にしたわたしに馬鹿にし返されたのですから。
「クラーラ! 何を壊したら良い!?」
「あなたの左目に、直接投影します」
「え? 直接ってどういう……って、うおぉぉ!? 何これ! 目の前にでっかい岩の塊が!」
「ルナⅡです。推定されている直径は約150キロメートル。しかも侵入確度が最悪。速度も徐々に上がっていますので、数分後には隕石として地表に落下します。すれば間違いなく、この世界は滅びてしまうでしょうね」
「じゃあ、これをぶっ壊せば良いのね?」
「ええ、その通りです。ですが、ジジイどもは邪魔してくるでしょうから……」
「オッケー! じゃあ、アイツをぶっ壊してから隕石をぶっ壊す!」
そう言うなり、クラリスはスサノオへとハーロット・オブ・バビロンを突進させました。
その時間は一瞬よりも短く、刹那よりもさらに短く、時間と空間を切り取ったように、スサノオの目の前に現れるなり慣性を無視して停止し、右手で顔を鷲掴みにしました。
「救世崩天! 爆熱神指!」
魔力を収束した五本の指先をスサノオの頭に食い込ませ、粉砕するなり、残骸を払いつつ右手を腰だめにしてクラリスは上空を睨みました。
「クラーラ! あたしは何をすればいい?」
「タカマツで使ったアルティメット・キャノンの要領で、魔力を集めてください」
「わかった!」
クラリスはわたしの指示通り、両手の平の間に魔力を集め始めました。ただし、実際に魔力が集まっているのはハーロット・オブ・バビロンの両手の平です。
「限界まで魔力を集め、収束したとしても、威力、射程共に足りませんね……」
ルナⅡまでの距離は約十五万キロメートル。
ハーロット・オブ・バビロンの術式で強化されていても、威力はタカマツの時の十倍程度。しかも目標に届く前に、収束させた魔力は徐々に霧散して消えてしまいます。
ただし、わたしが魔術で補助すれば話は別です。
「クラーラ、まだ溜めた方が良い?」
「もっとです。六十秒は溜め続けてください」
「えっと、すでにあたしに制御できるキャパを越えてるんだけど……。それなのに六十秒も溜めちゃったら、暴走しちゃわない?」
「問題ありません。ハーロット・オブ・バビロンには、そうなる前提で組まれた術式……いえ、形態がありますから」
「形態? え? あ、ちょっと。勝手に動き始めたよ!?」
ハーロット・オブ・バビロンはクラリスの制御を離れ、今も魔力が集まり続けている両手を天へ向けて突き出しました。
すると今度は、両腕を補強するように周りの木々や岩、土が集まって、ドラゴンの頭部を思わせる、本体よりも長く逞しい砲身を形成しました。
「これが、ハーロット・オブ・バビロンの砲撃形態。モード・|対神撃滅用術式《Beast of the Apocalypse》です。術式を見る限り、あの程度の石ころなら今のあなたに集められる魔力でも、楽に破壊できます」
「いやいや、落ちて来てるアレ、ルナⅡだよね? 小さいお月様だよね? 石ころどころか山より大きいよ? 石ころって呼んでいい大きさじゃないよ?」
「わたしたちならば余裕です。これは月をも砕く空前絶後の破壊。わたしたちが、世界に刻む傷跡です」
「……良いね。そういうノリは大好き!」
クラリス一人ではハーロット・オブ・バビロンを発動できませんし、制御もできません。
わたし一人では、伝説級相当の魔力さえ用意すれば発動できますし制御もできますが、術式を通して流れ込む龍脈からの魔力に堪えられませんし、性能も生かしきれません。
落下中のルナⅡを破壊するのも同じです。
クラリスだけでは魔力を溜めて放つことはできても、正確な照準と魔力の拡散を抑制できませんし、わたしだけでは、そもそも魔力を溜めることができません。
故にコレは、わたしたちだからこそできる必殺技です。
「標的との相対距離、落下速度、落下軌道算出。ガイド及び誘導レール接続。誘導レールに魔力拡散防止術式を付与。次いで自動追尾術式構築……完了、照準固定。魔力充填……完了。トリガーをクラリスに譲渡。さあ、いつでもどうぞ」
わたしは標的へ命中させるための補助術式をいくつも構築、展開して、クラリスにゴーサインを出しました。
標的がちょこまかと動き回るのならともかく、計算で導き出せる軌道で落下する物や、都市などの固定目標であるならばこれで必中。
しかも威力は、広域殲滅魔法などの古代魔法をはるかに上回ります。
この世界はおろか、旧世界ですら実現しなかった超距離高威力砲撃を放つ準備を整えました。
「石破天驚、驚天動地! ああ、絶景かな! 知らざぁ言って聞かせましょう!」
クラリスのノリは、普段のわたしなら理解できませんし、聞けば逆に冷めてしまいます。
ですがこの数日間の出来事で、わたしの心境に変化がありました。
わたしは、クラリスがそばに居ないことに恐怖しました。クラリスが陵辱されて怒りました。クラリスの背中を見て安心しました。
そして、クラリスと一緒に戦うことに、喜びを感じました。
だから、なのでしょう。
わたしはクラリスの口上を継いで……。
「天を崩してもたらす救世の光! 天にはためく我らの御旗! さあ、刮目なさい!
これなるは豪華絢爛! 八面玲瓏! 面向不背の小魔王、クラリス・クラーラ最大最強最高の必滅魔術! その名も……!」
自分が言っているとは思えないハイテンションで、続きを叫びました。それをクラリスは、驚くでも呆れるでもなく、嬉しそうに背中で受け止めてくれました。
そして……。
「「必ぃぃぃぃぃぃぃっ殺! |超長距離極光波動砲《The End of Optics》!!」」
二人揃って技名を叫び、クラリス・クラーラが掲げた砲身よりもはるかに巨大な魔力を放ち、落下する衛星を文字通り消滅させました。
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