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 これは良い。

 こんなにも美味しくて腹に溜まる食べ物があるとは、今の今まで知らなかった。

 ずずずずぅぅぅー! と、音を鳴らしながら勢いよくすするとなおさら美味い……気がする。

 テーブルを挟んで向かい側に座るクラーラは、不愉快そうに「はしたない……」と、言っているけれど、ここ、食堂兼酒場であたしと同じ物を食べている人たちもそうしてるから、これがこの食べ物、ウッドーンを食べる正しいマナーのはずよ。


「美味い! このウッドーンって食べ物、すんごく美味い! しかも、美味いだけじゃなくて腹に貯まる! ね! クラーラもそう思わない?」

「美味しいのは認めますが、あなたは食べ過ぎです。それ、もう十杯目ですよ?」

「そうだけど……」

 

 それの何が問題? と、言う代わりに、あたしは首を少し傾けた。

 あたしは普通の人より魔力が多いから、使えば使うだけお腹が空くの。

 クラーラは「魔力とは大気に満ちるマナを原料にして、魂が生み出す生命力と同義。なので、魔力を使えば使うほど早くお腹が空くだなんて有り得ませんし、食べた物を魔力に変換している訳でもありませんから、いくら食べても無駄です」と、以前言っていたけれど、魔力を消費した後はお腹が減るから仕方ないの。

 

「クラーラも早く食べなよ。冷めちゃうよ?」

「あなたを見ていたら、食欲が失せました。食べかけですが、わたしの分も食べますか?」

「食べる」


 こんなに美味しい物を残すなんて、もったいない。

 クラーラはあたしよりも贅肉を貯め込んでるのに、そんなに小食でよくその身体を維持できてるなと、感心するよ。

 

「大飯食らいめ……お腹が空くのは、たんに運動量が多いからでは? ほら、この町にも、海の上を走って来ましたし」

「それは、クラーラが船賃をケチったせいじゃない」

 

 あたしとクラーラが漂着したアワジから、シコク地方と呼ばれている大きな島の右端、『カガワ県』のここ、タカマツまで渡し船は出ていたのに、ドケチのクラーラは、「そんな無駄金を使わなくても、走れば良いじゃないですか」と言って、自分と荷物をあたしに担がせて海の上を走らせた。

 しかも、乗り心地が悪いと文句まで言ったわ。

 

「厭味ったらしい言い方ですね。あの方から頂いたお金に限りがあるから、節約できるところは節約したかったのです。それに、お礼に好きなだけ、ウッドーンを食べて良いと言ったじゃないですか。船賃よりも、ウッドーンの代金の方がはるかに安いんです」

「ふぅ~ん。ちなみに、おいくら?」

「一杯百五十円。ブリタニカ硬貨を円に換算すると、銅貨なら一枚相当になります」

 

 つまり銅貨一枚が、この国の通貨である円。その中でも、下から三番目に価値が高い百円硬貨の1・5倍か。

 ん? と、言うことは、あたしたちが持ってる各種ブリタニカ硬貨を換金すれば、ブリタニカ王国よりも贅沢ができるんじゃない?


「ちなみに、ブリタニカ硬貨の価値は円よりも高いですが、物価はこちらの方が少し高そうなので、換金したところで贅沢はできないと思います」

「え? そうなの?」

「はい。ここに入る前に通った市場の値札を見た限りなので断言はしませんが、おおよそ、ブリタニカ王国の1・5倍ほどになるかと思います」

「じゃあ駄目じゃん」


 がっかりした。1・5倍贅沢ができると期待したのに、とんだ期待外れだよ。は、ウッドーンと一緒に飲み込んで……。


「そう言えばこの国って、通貨の種類が多いよね。一円、五円、十円、五十円、百円、五百円の六種類が硬貨で、千円、五千円、一万円の三種類が紙幣なんだっけ。紙のお金とか、簡単に偽造されちゃうんじゃない?」

 

 パッと思いつくメリットは、持ち運びのしやすさくらい。

 ブリタニカ王国やその周辺諸国で流通している大小の金貨、銀貨、銅貨は量が増えれば増えるほどかさばるけど、価値が高い紙幣が文字通り紙で出来てるから、王国の通貨と比べると段違いに持ち運びしやすそうに思える。

 

「紙幣には特殊な魔術が施してありましたから、偽造はほぼ不可能だと思います」


 贅沢ができない鬱憤を少しでも晴らそうと零したあたしの疑問に答えるためか、クラーラはスカートのポケットから、タカマツに着くなり買った財布を出して、そこからさらに一万円札を右手の人差し指と中指で挟んで出し、あたしに見せつけるように掲げた。


「ほぼ? それってつまり、偽造する手段があるってこと?」

「この術式と同じ術式が施せるなら可能。つまり、わたしなら可能です」

「あ、そういうことね」 


 その一万円札にどんな術式が施されているのかは、魔術の才能がからっきしなあたしにはわからないけれど、クラーラがつまらなそうに言ってるんだから間違いなでしょう。

 そしてクラーラはお金を財布にしまいながら、話を続けた。


「貨幣の仕組みも不思議ですが、わたしはこの国の統治制度の方が珍妙で仕方ありません。わたしたちが育ったブリタニカ王国とは、全く違います」

「え~っと、たしか『ミカド』って呼ばれてる王様みたいな人はいるけど、偉いだけで政治には干渉しないんだっけ?」

「大雑把に言うと、そうですね。王は存在するのに王政ではなく、ミンシュシュギと呼ばれる、民衆が指導者を選ぶ制度によって選ばれたコッカイギーンと呼ばれる人たちが、国の方針を決定するそうです。こんな国は、世界広しと言えどオオヤシマ国だけです」

「そういえば、アイツが……」


 言ってたっけ。

 オオヤシマは異世界からの転生者が最初に行き着く国なせいで、彼らが好き勝手に自分たちの世界の常識を持ち込んで今の状況になっているって。

 でも、好き勝手にやらかしていても、オオヤシマの治安は世界のどの国よりも良く、交通網や水道網も世界で一番整備されていて、魔道具無しでも庶民が蛇口をひねるだけで水がいくらでも出てくるくらいインフラが整備されているとも言っていた。

 まあ、アイツのことをできるだけ思い出したくないから言わないけどね。

 

「文明のレベルが違う……と、言うよりは、歪に思えます」

「歪? どういうこと?」

「身近な例だと街道です。このシコクは地図を見る限り、オオヤシマ国でも田舎の部類ですが、街道は不必要なほど綺麗に整備されています」

「歩きやすくていいじゃない」

「ただ歩くだけなら、アスファルトと呼ばれている物で街道を覆う必要がありません。あれはおそらく馬車……いいえ、馬車よりも早く、快適に移動できる乗り物ができた時のための道なのではないでしょうか」

「あ、それっぽい話をアイツに聞かされた気がする。たしか、ジドウシャ……だったっけ? それの実用化に向けて、ドーロとか言うものを十数年前から作ってるとか言ってた」

「では、アレはそのドーロですね」


 結局、アイツから聞かされたことを反芻するように口にしてしまった。

 顔を思い浮かべるだけでムカムカしてきて、過去に聴いた声が頭をよぎるたびに頭が沸騰しそうになるくらい腹立たしいアイツが、頭の中を占有してしまった。


「……それはそうと、タカマツの娼館には、連絡が届いているのですよね?」

「え? あ、うん。女将さんが、連絡してくれてるはず」

 

 急に話題を変えられて若干面食らったけれど、なんとか答えられた。

あたしが育った娼館の経営者。通所、女将さんはめちゃくちゃ顔が広い。それこそ、オオヤシマみたいな極東の島国の、さらに田舎の娼館にも知り合いがいるくらいよ。

 だからあたしは王国を出る前、女将さんにオオヤシマの有名処の娼館に手紙を出してもらったの。ただし、有料。女将さんはお金にがめついから、かなりふんだくられたわ。でもそれで、知り合いが一人もいない異国の地で寝床と情報を得られるなら安いもの。

 まあ、本音を言うと寝床よりも、情報の方が目当てなんだけどね。だって西だろうが東だろうが、情報は娼館に集まるんだもの。

 それは何故か。

 男ってやつは、誰も彼もが大なり小なり、女の前では自慢をしたがる生き物だからよ。

 故にヤることヤってスッキリしたら、お堅い軍人だろうと機密情報をポロっとこぼしてしまうことが多々あるの。

 あ、もちろん、思い込みでそう思ってるんじゃないわ。

あたしは実際に、そういう場面を娼館で暮らしていた頃に見聞きしたの。

 例えば、「俺、今こんな任務に携わってるんだぜ」とか、「どこそこにこんな財宝が眠ってるらしい」って、感じで……っと、なんだか、周りが騒がしくなってきたわね。

 

「よう、姉ちゃん。異人さんかい? 良い乳してんなぁ、おい」

「ちょっくら揉ませてくれねぇか?」

 

 ああ、なるほど。いつもの通り、クラーラがチンピラに絡まれたようね。

 数は……十人か。

 これまたいつも通り、チンピラどもはあたしには欠片も興味を示さないから、「クラーラったらモテモテね」と、茶化しながらウッドーンを啜った。

 

「ねえ、クラリス。この下衆どもは、何と言っているのですか?」


 オオヤシマ語がわからないクラーラは、嫌悪感を顔に張り付けて聞いた。

 チンピラに絡まれるのは今日が初めてじゃないんだから、言葉がわからなくても何て言ってるか想像できそうなものだけど……。教えない理由もないから、要約して翻訳してあげるとしましょう。


「その無駄にデカいオッパイを揉ませろってさ」

 

 もっとも、それだけで済ませるつもりはないだろうけどね。きっとチンピラどもの脳内では、すでにクラーラはすんごい事をされている。

 穴という穴に、ナニとまでは言わないけれど色々と突っ込まれ、手やオッパイどころか、余すことなく全身を犯されていると思うわ。

 

「ちょっ……! わたしに触らないでください! 汚らわしい!」

「お? 何て言ったかはわかんねぇが、言いたいことはだいたいわかるぜ。触るな、的なことを言ったんだろ?」

「クラリス! ウッドーンなんか食べてないで、助けてください!」

「え? やだ♪ だって、あたしは絡まれてないもん」


 お姉さまにはまったく及ばないけれど、あたしは顔にもスタイルにも(胸は細やかだけど)自信がある。

 でも、男ってやつはどいつもこいつも大きいオッパイが好きらしく、あたしには目もくれない。

 だからあたしは、クラーラを助ける気になれない。

 これでクラーラを助けたら、オッパイに不自由しているあたしが嫉妬してるように見られてしまうかもしれないでしょう?

 

「あぁん? こっちの貧相な嬢ちゃんは、くらりすって言うのか? 変な名前だな」

「前言撤回。コイツら、ぶっ殺す」

 

 クラーラに絡むだけにしておけば良かったものを、こいつらは寄りにも寄って、あたしの名前を侮辱した。

 お姉さまから頂いたこの名を侮辱する奴は、誰であろうと許さない。

 

「吠えるじゃねぇかまな板女。その細腕で、何ができるってんだ?」

「コイツも一応は女だ 裸にひんむいて、犯すだけ犯して売っぱらっちまおうぜ」

 

 チンピラたちは、各々の得物を抜いて戦闘態勢に入った。

 でも、構えや身のこなしを見るに、手練れと呼べる奴は一人もいない。これなら、魔力を使わなくても余裕で皆殺しにでき……あれ? 魔力が吸われている。

 と、言うことは……。

 

「林立せよ。『氷柱生成魔術(アイス・ピラー)』」

 

 やっぱり、クラーラが魔術を使った。 

 しかも、ストックスペルを使うほど怒ってる。

 ちなみにストックスペルとは、あらかじめ脳内に術式を組んで発動寸前の状態でストックしておき、たった一言の詠唱で魔術を発動できるクラーラの奥の手の一つ。

 王立魔術院に所属している魔術師にも使える人はいるらしいけど、普通は初級魔術を一つか二つが限界だそうよ。

 でもクラーラは、中級に留まらず上級魔術までストック可能で、さらに、ストックできる魔術の数は十を軽く超える。

 

「わたしの胸は、聖女様に堪能していただくために育て、磨き上げている至高の果実です。その胸を揉ませろ? あなたたちのような下賤な輩に? 揉ませるわけがないでしょう! あぁぁん!?」

「あ、ヤバいこれ」


 あたしの怒りが引っ込んでしまうくらい、クラーラがキレちゃってる。

 魔術でチンピラたちを殺すんじゃなくて手足だけを拘束しているってことは、拷問する気満々。もしそうなれば、あたしがやるよりも凄惨なことになるのは確実だわ。

 

「クラーラ、とりあえず落ち着こう? ね? ほら、酒場の人たちにも迷惑が……」

「知ったことじゃありません! わたしの胸を揉もうとするばかりか、イヤらしい目で視姦したコイツらは、殺してくださいお願いしますと懇願するまで苦しめたあとにぶっ殺して豚の餌にしてやります!」

「うん、駄目だこれ」


 一応は止めようとしたけれど、クラーラはいつもより激しく怒ってる。

 きっと、触ったのがいけなかったのね。

 このままここに居たら、あたしまで巻き込まれかねない。

 そう判断したあたしは、退避するために食べかけのウッドーンを持って席を立った。


「ん? 今のって……」


 あたしと入れ替わるように横を通り過ぎた人に、見覚えがある。いや、知ってる人だった。あたしは確かめようと、再びクラーラへと視線を戻した。


「こらこら、そのくらいにしておきなさい。クラーラ」

「邪魔をしないでください! お前からぶっ殺し……って、ブリタニカ語? あ、タムマロ様じゃありませんか」

「うわぁ……。見覚えがあると思ったら、タムマロだったのか」

「クラリスもひさしぶりだね。元気そうで何よりだ」

「保護者面しないで。不愉快だわ」

「保護者面もするさ。僕はこれでも、君の師匠だよ?」

「じゃあ、師匠面すんな」


 使い古された軽鎧を装備し、腰にこれまた年季の入った黒い鞘入りのロングソードと、パンパンに膨れた革袋を下げたコイツの名前はタムマロ。思い出すだけで腹が立つ「アイツ」こと、サカノーエ・タムマロよ。

 たしかにあたしはコイツからも戦闘のいろはを習ったし、あたしとクラーラがオオヤシマに行くと決めたら諸々の手続きや通貨、地図まで用意してくれた。

 それでも、あたしはコイツに感謝する気にはなれない。 

 だって、コイツは……。


「お姉さまを救ってくれなかった素人童貞の三流勇者が、偉そうにしないでくれないかしら」

「相変わらず、手厳しいね」


 タムマロは、少しだけ悲しそうな笑顔を浮かべた。その顔を見たら、少しだけスッキリして落ち着いた。

 でも周りは逆に、一段と騒がしくなった。

 まあコイツがいるんだから、当たり前と言えば当たり前か。うっかり、名前まで出しちゃったしね。


「タムマロ? どっかで聞いたことがあるような……」

「タムラマルの言い間違えじゃねぇか? ほら、前の戦争の時に追放された」

「タムラマルって言やぁ……」

「間違いねぇ。魔王を倒した勇者。生きた伝説だ」

「で、でもよぉ。勇者って割に、装備が貧相じゃねぇか? 俺らと大差ねぇぜ?」

 

 何故ならコイツは、野次馬の一人が口走った通り、三流とは言え魔王を倒した勇者だから。しかもここ、オオヤシマはタムマロの祖国。

 遠く離れたブリタニカ王国でも有名なんだから、祖国で有名じゃないわけがない。

 その有名人は、野次馬たちの声なんか聞こえていないかのように無視して、クラーラの説得を再開した。


「クラーラ。とりあえず、彼らにかけた魔術を解いてあげなさい」

「は? 嫌です。あのクソ虫共は、わたしの胸を揉ませろとか挟めとか吸わせろとか、それはもう卑猥な言葉をわたしに浴びせかけたのです。万死に値します!」


 チンピラたちの名誉を守るためじゃないけれど、そこまで言ってない。頭ではそう考えていたかもしれないけれど、クラーラの妄想でしかない。

 それに、万死に値するとか言っておきながら、クラーラは少し興奮しているよね? はた目には怒ってるようにしか見えないでしょうけど、性的な興奮が混ざってる気がする。 

 

「まさかとは思うけど、自分がした妄想で興奮した?」 


 いや、間違いない。

 顔は赤くなってるし鼻息も荒い。それに、不自然な内股。娼館で育ったあたしの目は誤魔化せない。クラーラは、性的に興奮してる。


「シスターのクセに腹黒で法術も使えないし、攻撃魔術しか使わない巨乳で拷問好きのドSでオマケに集団で犯される妄想で興奮できるドMなんて、キャラ盛り過ぎでしょ」


 短い付き合いだけど、クラーラの新たな一面を知って呆れてしまったあたしは、ついついそう零してしまった。

 そんなあたしをよそに、事態は今も進んでいる。


「まあまあ、ここは僕の顔に免じて……」

「どうしてわたしが、あなたの言うことを聞かなければならないのですか? クラリスはともかく、わたしにとってあなたは師でも保護者でもありません」

「それはそうなんだけど……。ほら、いくらチンピラとは言え、殺すと面倒なことになるだろう? オオヤシマに着いて早々に、お尋ね者になるつもりかい?」

「確かに少し困りますが、いまさらでしょう? わたしとクラリスは、とっくの昔にお尋ね者です」


 クラーラはどうしてもチンピラたちを拷問したいらしく……いや、性欲を発散したいようで、脅しじみたタムマロの説得に動じない。

 開き直ってると言っても良いわね。

 だってあたしたちはクラーラが言った通り、ブリタニカ王国を出る際に色々とやり過ぎてお尋ね者になってるんだから。


「これ以上、余計な罪を重ねるなと言っているんだ。ここで彼らを殺せば、その時点で追手がかかるんだよ? 遠いブリタニカ王国の人からじゃなく、この国の人たちに狙われるようになるんだ。そうなったら、君たちの旅にも支障が……って、なんだか、外が騒がしいな」

「そういえば、地鳴りや爆発音もしていますね」


 それに加えて、ドラゴンの鳴き声も聞こえる。

 もしかして、この港町がドラゴンに襲われてる? また? オオヤシマって、そんなにドラゴンが多いのかしら。


「大変だ! み、港で龍神様が、眷属たちを殺した異国の女二人を出せとか言いながら暴れてる!」


 助けを呼びに来たっぽい人の言葉が響くなり、酒場にいる全員の視線があたしとクラーラに集中した。

 まあ、それも当然か

 あたしたちがアワジに漂着するなりぶっ殺したあのドラゴンの群れが、現在進行形で港で暴れてる龍神の眷属だったんでしょう。

 でも、悪くなくない?

 だってあたしたちは、ドラゴンに襲われていた村を救ったんだよ?

 村の人たちが何をして襲われる羽目になったのかなんて知らないし興味もないけれど、良いことをしたのに責められるなんて理不尽よ。

 と、弁解したところで無駄なことはわかってる。

 だったらここは、そのほとんどをぶっ殺したクラーラに罪を擦り付けるとしましょう。と、決めたあたしは、クラーラを指さして……。


「殺ったのは、クラーラだよ」


 と、言った。

 でも、同時にクラーラもあたしを指さして、「殺ったのはクラリスです」と、同じセリフを悪びれもせずに、ブリタニカ語で吐いていた。

読んでいただけるだけで光栄なのですが、もし「面白い!」「続き読みたい!」など思って頂けたらぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!


ぜひよろしくお願いします!

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