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場面が劇場に戻ると、舞台上のシーラは呆れた表情ではなく、懐かしさを感じているように頬をゆるめて、「変わってないわね、あの偽善者は」と、呟いていた。
そして観客席を一瞥すると、ばつが悪そうな顔で咳ばらいを一つして、何事もなかったかのようなすまし顔を作って口を開いた。
「お帰りなさいませ。どうでしたか? あの二人は。ご忠告した通り、幻滅したでしょう? 聴く価値がないでしょう?」
シーラは満面の笑顔だが、その背後には大きく「だから、とっとと帰れ」と、文字が浮かんでいると錯覚してしまいそうな圧力を放っている。
だが、その態度を上役、仮称クソジジイに注意されたらしく、シーラは顔だけ上へ向けて「はいはい。最後までちゃんとやるから黙っててよ」と、忌々しそうに天井を睨んで言った。
「おっほん! さて、二人の旅は、まだまだ続きますが、それは次の機会にいたしましょう。お客様が、性格が破綻している変態少女二人のお話の続きを懲りずに聞きたいとおっしゃる変態であるならば、再び当劇場へお越しください。それまで、しばしのお別れでございます」
営業スマイルに戻ったシーラが閉めの言葉を言い終え、優雅にお辞儀すると、緞帳が降り始めた。それにつられるように観客席も暗転し始めた。
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