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クラリスとクラーラ ~魔王を倒した勇者に導かれて旅をしていたら大魔王になっていました~  作者: 哀飢え男
第十章 ウコチャヌプコロ! / いきなり何言ってんですか?
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10-10

 チカパシが姿を消す直前に使った術。

 あれは非常に興味深い。

 わたしのギフトで解析できなかったので魔道の類ではありません。しいて言うなら、法術と似ている気がします。

 おそらくはアヌー族が信奉している神の力を借りる術。

 神の御業を再現するのではなく、自身を媒体として神をその身に宿す降霊術に近い術だと思います。


「クラリス。怪我は?」

「ないよ。ただの銃弾で、あたしが怪我するはずないじゃん」

「普通は致命傷なんですけどね。まあ、怪我が無いなら良かったです」

「おろ? 心配してくれたの?」

「ええ、主にあなたのメンタルを。だって、クリーンヒットだったでしょう?」


 わたしが知る限り、クラリスが致命傷になりかねない一撃を真正面から受けたことはありません。

 しかも、クラリスが当たるまで感知できなかったほど完璧な一撃。

 肉体的にはノーダメージでも、メンタルは大ダメージのはずです。

 ですが、クラリスのメンタルが回復するのを待つ余裕はなさそうです


「クラリス。来ますよ」

「わかってる。クラーラは両側面の敵を、オハナさんは後ろをお願い。ハチロウくんは防御に集中。ヤナギちゃんは、マタタビちゃんを守って。あたしは、正面の奴をやる」


 どうして正面?

 と、思いましたが、わたしではわからないことがわかるクラリスです。

 きっと、正面にいる一体に何かを感じたのでしょう。


「救世崩天法、皆伝。異種超級二等武神、クラリス・コーラパール」


 感じるどころではありませんでした。

 名乗りを上げるほど、クラリスは本気になっています。

 それほどの相手ですか?

 わたしの各種探知系魔術で得た情報だと、クラリスが本気になっているモンスターは体高約70cm。体重はおよそ40㎏強。わたしたちを取り囲んでいる犬型モンスターの中でも、精々中堅ていどの大きさしかありません。

 保有魔力はハチロウちゃん並みに多いようですが、ただの獣が有効に扱えるとは思えません。

 

「へぇ……。もしかして、あたしの言葉がわかってる?」


 驚くべきことに、モンスターの方も姿を現しました。

 その姿を一言で例えるなら、額に三本の傷跡を持つ銀色の犬。

 オオヤシマではたしか、アキタ犬と呼ばれる犬種だったはずです。


「名乗れ。って、言ってもたぶん無理だよね。ねえ、クラーラ。伝心魔術(テレパシー)ってあの子にもかけれる?」

「可能ですが、それをしてどうするのです?」

「ん~……。なんとなく、あの子も名乗りたがってるように見えたから」


 相手はモンスター改め、少しばかり希少な毛並みの犬。

 そんなわけがないでしょう。と、言いたい気持ちを抑えて、クラリスと銀色の犬に伝心魔術(テレパシー)をかけました。


「へぇ、ギンガって言うんだ。良い名前ね。しかもこの群れ、オウウ軍の総大将? 凄いじゃない」


 意外なことに、会話が成立している。

 にわかには信じられませんが、クラリスがギンガと呼んだあの犬は人の言葉を理解し、対話できるだけの知能を備えているようです。


「じゃあ、リーダー同士で一騎打ちと行かない? そっちも、余計な犠牲は出したくないでしょ?」


 提案の体を装ったクラリスの挑発に、ギンガは身を低くかがめて戦闘態勢をとることで応えました。

 それに満面の笑みで応え返したクラリスは「よぉし! それじゃあ、本気で殴り合いましょ!」と、ゴールデン・クラリスを発動しながら叫びました。



 





 

 

 

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