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1-8

 クラーラとの付き合いは、そろそろ五年になる。あたしたちの歳を考えると、それなりに長い付き合いになるわね。

 それでも、今までの人生の三分の一近い時間を一緒に過ごしたのに、あたしはクラーラが本気で戦うところを見たことがない。

 ただの一度も、クラーラが本気になったところを見たことがない。

 

「魔力が、常に抜け続けてる。こんなこと、初めてだわ」


 あたしとクラーラが常の身に着けている、青い宝石が中央にはめ込まれた搾取の首輪 (ただし、クラーラが改造した物)で一度に吸える魔力は、上級魔術一発分。魔術師の人数で換算すると、一級なら一人分。二級なら五十人分。三級なら百人分に相当する魔力よ。

 それだけの魔力が、クラーラが名乗りを上げてからずっと吸われ続けている。

 吸われている時間、回数から逆算すると、そろそろ神話級一発分に相当する魔力を、クラーラは何かに使っている。


「おいおい、こんな街中で戦うつもりかい? キミやボクだけならともかく、野次馬も大勢いるんだよ?」

「それはあたしじゃなくクラーラに……って、三流勇者じゃない。いつからいたのよ」

「キミが「ねえ、クラーラ。アレって、クラーラの知り合い?」って、言ったところくらいからかな」

「要は、初めからってこと?」

「まあ、そういうこと。お約束だろ?」

「はぁ? あたし、アンタと約束なんてしてたっけ?」


 あたしには覚えはない。

 いつの間にか隣に立っていたタムマロのことは大嫌いだけど、仮に、何かしらの約束をしていたのなら忘れたりしない。

 実際、これでもかと疑念を込めた視線を向けて「約束なんてしてない」と暗に言ったのに、タムマロは涼しい顔をして「やっぱりブリタニカじゃあ、まだ浸透してないか」などと、訳の分からないことを言っている。


「どうしたのですか? 来ないのですか? あなたは特級で、しかも武術の心得がある。と、言うことは、まずは接近することから始まると思うのですが?」

「ええ、そうね。戦闘特化の特級なら、そこから始まるでしょう。でも、私には不用よ。何故なら、すでに私の距離だから」


 こちらの問答が耳に届いていない二人は、始める気満々。

 二人とも魔術師だから、高々十数メートルの間合いなんてあってないようなもの。

 でも敵の方は、一芸特化と揶揄されることもある特級魔術師。

 両足を軽く開いて重心を落とし、正中線を隠すように左半身を前に向けて自然体に近い体勢をとっているから、何かしらの武術を習得しているのはほぼ確実。と、言うことは、習得している武術に何かしらの魔術を付与するのが、敵の戦闘スタイルだと思うんだけど……。


「ねえ、タムマロ。あの女魔術師のこと、知ってる?」

「実際に見るのは初めてだけど、その筋じゃ有名人だよ」

「その筋? どんな筋?」

「キミたちは、ドバー海峡を横断する時に、戦艦から砲撃されただろう?」

「うん。された。たしか、ブリタニカ王国の最新鋭戦艦で、それを見たクラーラが驚いてた記憶があるよ」


 艦名はたしか、ドレッド・ノート。

 その砲撃から全力で海の上を走って逃げている間、肩に担いでいたクラーラが早口で興奮しながら何か言ってた覚えがある。

 全部は覚えていないけど、「魔道砲」がどうとか言ってた。


「あの女魔術師って、もしかして魔道砲に関わってたの?」

「関わっていたどころか、魔道砲開発の主任技術者兼、総責任者だよ。彼女が独自に編み出した魔術理論を応用して魔道砲を開発したからこそ、ブリタニカは全世界最強との呼び声高い戦艦を手に入れることができたんだ」

「大した功績じゃない。その功績だけで、一級に上がれそうなものだけど?」

「魔術師、特に王立魔術院は、万能を何よりも尊ぶ。一芸に秀でているだけで応用が利きづらい特級は、その程度の功績では三級にすら上がれないのさ」

「ふぅん。魔術院って、頭の固い人ばかりなのね」

「魔術師は基本的に、貴族出身が多いからね。それもしかたがないよ」

「へぇ、そうなんだ」


 くだらない。と、思うのは、あたしが魔術師でも貴族でもないからかしら。

 例え一芸でも、応用が利かなくても、素晴らしい物は素晴らしい。と、あたしは思ってしまう。

 怯えた顔をして尻もちをついているあのブタ男の魔術だってそうよ。正直言って気持ち悪いけど、遠く離れ、海すら渡ったクラーラの匂いを追えるなんて、キモいを通り越して怖い。


「それだけの功績をあげてるんなら、あの女魔術師にも異名くらいあるんでしょ?」

「うん。あるよ。彼女は、魔弾の魔女と呼ばれている」

「魔弾? って、ことは、飛び道具を使うの?」

「見れば、すぐにわかるよ」


思わずタムマロを見上げたあたしを、タムマロは顎を軽くしゃくって二人に視線を戻すよう促した。

 そして戻すなり、両肘で赤いマントを跳ね上げた女魔術師の両手から、炎と風の魔術が放たれて、無防備に突っ立っていたクラーラに直撃した。


「ちょっ! 熱っ! アレ何!? 炎の竜巻!?」

「なるほど。下級魔術である『火球魔術(ファイヤ・ブレッド)』に、同じく下級の『風拳魔術(ウィンド・フィスト)』で空気を送り込んで、中級魔術の『炎嵐魔術(フレイム・ストーム)』に相当する現象を起こしたのか」

「解説は良いから、この熱風をどうにかしてよ! アンタ、腐っても魔王を倒した勇者でしょ!?」

「防御系魔術は得意じゃなんだけど……。まあ、火属性の魔術なら、コレでどうにかなるかな」

「コレってどれ……ってぇ! くっつかないでよ!」


 タムマロはどこからか、灰色の毛がびっしりとついた毛皮のマントを取り出して,自分ごとあたしにかぶせた。

 たしかに熱は感じなくなったけど、顔を見るだけで顔が熱くなるほどムカつくコイツと密着しているこの状況が、クラーラの安否が気にならなくなるくらいあたしを不快にする。


「火鼠の衣は一つしかないんだから、文句を言わないでくれないか?」

「文句くらい我慢しなさいよ! お姉さまを助けてくれなかったこと、あたしは今でも根に持ってるんだから!」


 もう、七年。いえ、もうすぐ八年前になるかしら。

 あたしが育った娼館の№2で、あたしが付き人をしてお姉さまと呼び慕っていた人を、こいつは救ってくれなかった。

 魔王から世界を救った勇者のくせに、お姉さまに惚れていたくせに、救う手段もあったくせに、こいつはお姉さまを死なせてしまった。

 その事実が今でも大きなしこりとなって、あたしからタムマロを遠ざけている。


「なるほど。その片手持ちの筒……。チュウカの手銃……いえ、ここから見える機構的に、フランセーズで開発されたフリントロック式の拳銃をさらに改良した物のようですね。引き金のすぐ上にある円柱状の弾倉。さしずめ、回転式弾倉と言ったところでしょうか。の、装弾数は六発ほどですか? それに装填した弾丸に魔術刻印などを施して、魔力を流しつつ引き金を引くことで魔術を発動する。もしくは、弾丸には各種魔術を封印しておくだけの魔術刻印だけを施し、魔術を魔力ごと封入。発動は、引き金を引くだけ。の、どちらかだと予想します。ブリタニカ王国を出る際に見たドレッド・ノートの艦砲を見た限りで判断するのは早計ですが、あなたから拳銃に魔力が流れた気配がなかったので、艦砲と仕組みは同じ。つまり、後者だと予想します。もしかして、アレの開発に関わっていましたか?」


 炎の竜巻が収まる……と、言うよりは霧散するなり、クラーラはつまらなそうな顔で長々と講釈を垂れた。


「無傷なことにも驚いたけど、たった二発でそこまで看破するとはね。さすがは、知識のみで魔術院入りを許された異才。素直に賞賛するわ」


 女魔術師は冷や汗を流しながらも、平静を保って下げていた銃口をクラーラに向け直した。

 でも、腰が若干引けている。きっと、クラーラがどうやって炎の竜巻を無効化したのかがわからないから、攻めあぐねてるんだと思う。


「ねえ、三流勇者。クラーラは何をしたの?」

「アリシアがいれば解説してくれるんだろうけど、辛うじて中級魔術が使える程度のボクじゃあ、クラーラが何をしたかなんてわからないよ」

「ちっ、使えないわね」


 でも、何かしたのは確か。だって、魔力が吸われてたんだもの。

 いつの間に詠唱したのかさっぱりわからないけれど、講釈を垂れている間も魔力は吸われていた。と、言うことは、あの間も何かしらの魔術を使っていた証拠。でも、クラーラは詠唱していなかった。

 古代魔法ですら詠唱を短縮できるクラーラでも、最低限の詠唱は必要なはずなのに。


「不思議そうですね。わたしがどうやってあなたの魔術を無効化したのかはもちろん、いつ詠唱したのかも、気になっているように思えます。なんなら、解説いたしましょうか?」

「あら、してくれるの? 魔術師にとって、研究とは生きがい。それを開示するのは、確実に実を結ぶと確約された時だけのはずよ」

「研究? 誤解されているようですが、あなたの魔術を無効化した魔術は、それに値しません。だって、『|対物理・対魔術用防御魔術アンタッチャブル』で耐えている間にあなたの術式を解析して逆の手順を辿り、発動前まで戻しただけですから」

「ちょ、は? アンタッチャブル? それって、アンタが魔術院に提出した、理論上は可能でも術式が複雑すぎて、アリシア様でも不可能だと言われた空論じゃない! いや、それよりも、解析して逆手順で無効化? それこそ、ありえないでしょう!」

「わたしほどの天才でなければ、不可能でしょうね。それこそ、アリシア様でも不可能です。ですが、意外と簡単なのですよ? なぜならファイア・ブレッドもウィンド・フィストも、既存の下級魔術。解析する必要すらありません。先ほど言った通り、逆手順で無効化するだけです」


 クラーラが言ってることはさっぱり理解できないけれど、女魔術師の顔が引きつっているから、とんでもないことを当然のごとく平然な顔をして言ってるんでしょう。

 

「それと、誤解をもう一つ解いておきましょう。わたしはちゃんと、詠唱していましたよ? あなたと対峙したその瞬間から、わたしは詠唱をし続けていました」

「は? いつ? アンタは私と、普通に会話していただけじゃない!」


 絶叫にも似た女魔術師の反論に、クラーラは「はぁ……」と、盛大な溜息で答えた。

 クラーラにはきっとそのつもりはないんでしょうけど、ガックリと肩を落としながら「これだから、知識の偏っている特級は……。おっと、失礼しました。仮とは言え、あなたは一級でしたね」と、言うと、女魔術師はあたしの位置でも聞き取れるほどの歯軋りをして、クラーラを睨みつけた。


「それでは、面倒ですが授業をしてあげましょう。ご存じとは思いますが、魔術師は複数の工程を一音に圧縮した魔術言語(マジックワード)で呪文を編み、それに魔力を流して魔術を発動します。例えば火球を生成して放つファイア・ブレットを使うとし、「a」の文字が詠唱に含まれているとします。この「a」に目標までの距離、火球の大きさ、そのために必要な魔力量の設定などの工程が圧縮されているのです。魔導書の類が、たった一つの魔術しか記載されていなくても分厚くなってしまうのは、一音に圧縮された工程の解説に数ページを要するからです。古代魔法でも、それは同様です。ただし、古代魔法で用いられている古代言語(エンシェントワード)に含まれている工程は、平均してマジックワードの十倍から十数倍で……」

「御託はいい! そんな、魔術学院の初等部で習うような基本中の基本が、何の関係があるのよ!」

「え? ここまで言ってもわかりませんか? 魔術師の助力は必要ですが、詠唱を省略し、多種多様な魔術を引き金を引くだけで誰でも扱える画期的な技術を開発したあなたなら、察してくれると思っていたのですが……。いや、それも、しかたがないのかもしれませんね。既存の魔術はともかく、オリジナル魔術を創作する場合、魔術師は詠唱にこだわります。各種工程を内包したマジックワードを如何に流麗に、如何に語呂良く、如何に詩のように紡げるかに注力するのですから。わたしには無駄にしか思えないこだわりですね。だって、高々数種類の工程を脳内で紐づけただけの、ただの言葉ですよ? 会話で普通に使えば良いじゃないですか。そうすれば、会話のついでに詠唱も可能です」 


 クラーラがとんでもない事を言っているのは、火鼠の衣とやらをどこかしらにしまってあたしから少し離れた三流勇者の顔を見ればわかる。それがどれほど常識はずれなことなのかも、恐怖に顔を歪めて震え始めた女魔術師を見ればわかる。


「ああ、そうそう。今夜の宿を借りる予定のこの街を壊したくはありませんので、動かないでくださいね? その理由が、冷静になったあなたなら感じられるでしょう?」


 あたしにはさっぱりわからないけれど、クラーラが言った通り、女魔術師は感じているみたい。恐る恐る、頭を動かさずに見える範囲へ視線を泳がせるたびに、女魔術師が感じている恐怖が増している。

 だって顔色は蒼くなり、冷や汗を流し、体は震え、目尻には涙まで浮かんでいるもの。


「ああ、良いですね、その顔。わたしから流れる魔力がどこに、どのように流れているかだけではなく、あなたを取り囲んでいる魔術まで判別できているようですね。ちなみに、あなたの周りに配置してある魔術は、『浮遊機雷魔術(フライング・ボム)』、『土鎖拘束魔術(ソイル・チェイン)』、『上級土槍魔術(アース・スピア)』、『上級風槍魔術(エーテル・スピア)』です。それらを、『透明化魔術(トランスパレンシー)』で隠蔽しています。あとは、上空で発動寸前にしているアレですね。見上げてかまいませんよ? それくらいなら、許可しましょう」


 得意気に右手の人差し指を顔の横で立てて、自慢げな顔をして解説するクラーラを見ていて、「いや、使われた魔術と吸われた魔力の量が釣り合わない」と、思っていたけど、他にも魔術を使っていたみたい。

 油が切れた歯車みたいにぎこちなく頭上を見あげようとしている女魔術に倣って空を見上げると、巨大な魔方陣が天上のように広がっていた。

 あの魔方陣には、見覚えがあるわね。


「ば、馬鹿な……。アレは、あの魔法は……! 有り得ない! だってあの魔法は、魔術院で解析中の神話級魔法……!」


 やっぱり、クラーラは性格が悪い。と、目玉が飛び出しかねないほど両目を見開いて驚愕している女魔術師を見て思った。

 クラーラは言った通り、喧嘩を売ってきた彼女を、心身共にズタボロにするつもりで、あの神話級魔法の魔方陣を、これ見よがしに広げて見せたんだわ。


「ええ、その通りです。わたしを除籍したせいで、解析は事実上、中断しました。あの魔法は、『広域殲滅魔法(ソドム)』と対を成すと言っても過言ではない、『極所殲滅魔法(ゴモラ)』です。あれが発動したらどうなるかは、想像できますよね?」


 女魔術師どころか、タカジョウの街ごと消し炭になる。

 幸いなことに、クラーラと女魔術師はブリタニカ語で話しているから、野次馬の人たちはパニックを起こしていない。それどころか、空で輝く魔方陣を物珍しそうに見物している。

 でも、女魔術師は、目に見えて動揺し、恐怖している。

 顔から出せる汁をこれでもかと垂れ流している女魔術師には、それ以上の被害を想像しているはずよ。

 でも、恐怖に身も心も支配されながらも、噛み付けるだけの気概は持ち合わせていたみたい。


「あ、あんなものを発動したら、アンタも死ぬわよ?」

「ご心配なく。発動と同時に、わたしはクラリスと一緒に『転移魔術(テレポート)』で逃げますので」

「テレポートですって!? アレは理論上でも不可能と結論付けられた、ただの妄言のはずじゃ……」

「妄言とは失礼な。単に魔術院の無能共では、わたしの論文が理解できなかっただけです。何なら、御覧に入れましょうか? こんなこともあろうかと、タカマツの街に転移先を設定していますから」


 勝負は、すでに決していると言って良いわね。

 でも、違和感がある。ゴモラはもちろんとして、他の魔術も発動寸前で止めている理由がわからない。

 クラーラは魔術を使うのが大好きで、その結果を見て興奮する変態。この街の人たちに配慮してる? いいえ、それこそあり得ない。

 クラーラにとって、自分とお姉さま以外の人の命は羽毛よりも軽い。蟻を踏み潰す感覚で何の感慨も抱かずに、魔術の実験台にする人でなしなんだから。


「ねえ、タムマロ。クラーラは何を考えてるの? 何をしようとしてるの?」

「さあ? ボクにはさっぱりだ。でも、ゴモラがただの脅しだと言うことだけはわかるよ」

「脅し? じゃあ、発動はしないのね?」

「上空に描かれた魔方陣は、ただのイミテーションだよ。だって、神話級魔法を使う時は、直接触れ合わなきゃいけないんだろう?」

「あ、そう言えばそうね」


 クラーラは神話級一発分に相当する魔力を首輪を通して吸ったけど、それは複数回に別けて。あれじゃあ、神話級魔法は使えない。

 じゃあ、使い切れていない魔力は、何に使ったの?


「|彼の者は剣の虜囚《He is a prisoner of the sword》……」


 あたしの疑問に答えるように、クラーラは瞳を閉じて詠唱を始めた。

 両手を広げて天に捧げるように、讃美歌でも歌っているかのように涼やかで、凛とした声で。

 そんなクラーラを見て、女魔術師はゴモラの魔方陣を見上げた時以上に驚愕し、失禁までしながら、辛うじて「そ、その呪文はアリシア様の……。そんな、そんはずは……。それは最も古代魔法に近いと言われている、門外不出の最上級魔術じゃ……!」。と、鳴き声に近い叫びをあげた。

 それを無視して、クラーラは詠唱を続けた。


「彼の者は剣そのもの。《He is the sword itself》 剣に魅入られ、《A sword god who was fascinated》剣を極めた剣神。《by swords and mastered swords》私は彼を想像する。《I imagine him》私は彼を夢想する。《I dream of him 》私は彼を創造し、再現する。《I creation him and reproduce》その名はラーサー。《His name is Larser》剣聖、ラーサー・ペンテレイア……《Sword Master Larser Penterre》」


 そして詠唱が終わると、少しばかりの静寂が場を支配した。それを破ったのは、他ならぬクラーラ自身だった。


剣聖再現魔術(リメンバー・ラーサー)


 静かに、でも確かに聴こえる声で発動のトリガーである魔術名を口にするなり、杖の先からクラーラの身長と同じくらいはある真っ黒な刃が伸びて、巨大な剣を形作った。

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