誕生日
朝私が起きた時にはあなたはいなかった……今日がなんの日か知ってる癖に……
「朝食はもういいかな……」
私は時計を見て10時を過ぎている事に気がつく。そして朝食を諦めた。携帯のメッセージにあの人からメッセージが届いていた。
「起きた?誕生日おめでとう!」
可愛い絵文字とクラッカーの絵……本当は直に言って欲しかった。私はただ素っ気なくありがとうと打ち込んで送信した。すぐに既読が付いた。
「今日は早く帰るから!怒らないでね!」
嬉しいけど本当は今日一緒にいて欲しかった……寂しいんだよ。本当は今日2人でいるつもりだったのに……
お昼も特に食べる気がせず私はただ時計だけを見ていた。あなたが早く帰ってくる時間になってほしい一心で……
早く帰ってきて欲しいのに時間は一向に進まなかった。まだお昼の13時25分。帰ってくるのは仕事が終わる17時……そこから帰宅するまで30分……17時半……あと4時間もある。私は机に突っ伏した。不貞寝だ。早く帰ってきてほしいけどほしくない……今の酷い顔をあの人に見られたくない……
幻滅?
失望?
心配?
恐怖?
怖い……あの人がどんな反応するかが……そして日が落ち始める……帰ってこない……時刻は18時……鍵を開ける音もしない。夕闇は部屋をどんどん蝕む……私の心の中の様に……でも、待ち続けるしかないんだ。この部屋で……あの人が帰ってくるのを……その時だった。
ガチャリ
私は玄関に駆け出した。私の好きな人が帰ってきた!
けれどもそこには誰も居なくて……隣の部屋からおかえりなさいとただいまが聞こえた。私は部屋に戻り再び机に突っ伏した。早くあなたが帰るのを待ってます……
「ただいま」
その声が聞こえたのは21時を過ぎた頃だった。私は彼女を引っ叩こうと玄関へ向かう。でもそこにはへとへとで疲れきって帰ってきた彼女だった。
「ごめん……ケーキ屋さんどこも閉まっててようやく見つけたんだ!」
「……そんなことより……一回座って、息整えて!」
たぶん走って帰ってきてくれたんだと思う……だから引っ叩くのは勘弁してあげた。
「あかり……」
「は、はい……」
たぶん私から怒られると思ったのか正座して姿勢を正したあかり……そんなあかりに私は手を伸ばし……頭を撫でてあげた。
「おかえりなさい!」
「あっ……ははは!ただいま!さくら!」
まぁ許してやるかまだ今日は終わってないからね。しかしこのあと夕飯の支度も洗濯も何もしてなかった私には天罰が落ちたのでした……
読んで頂きありがとうございました!こちらはpixivで投稿したものの続きです。1000文字以内ではハッピーエンドにはできないのでこちらでハッピーエンドにしました。
今はpixivにて連載物を書いています。こちらでもまた投稿するので良かったらお待ち下さい!