(84)エルフとつながり
お姉さんが帰った後、いつものように営業が始まった。しばらくすると、ショートステイからばあちゃんが戻ってきた。お客さんもまだ少なく、手持ちぶさただったこともあって、俺はお姉さんからもらったアドバイスや、みかんラッシーが届いた話を早速伝えることにした。
「ばあちゃん、本当にありがとう。今日さ、あのお姉さんが来てくれて、新しいアイデアへのアドバイスもくれたんだ。それに、ちょうどそのタイミングでみかんラッシーが届いたんだよ。」
ばあちゃんはにっこりと微笑みながら、俺の話を静かに聞いていた。
「そりゃあ、会長さんもお盆返上で頑張ってくれたんだねえ。長い付き合いがあるからこそ、やってくれたんだよ。悠斗もそういうお付き合い、大事にしなきゃだめだよ。」
「うん、それでね、飲んでみたんだけど、味が本当に良くてさ。お姉さんとフィリアも一緒に、『これは売れるね』って話になったんだ。」
俺は話を続けながら、みかんラッシーの小瓶をばあちゃんに手渡した。
「それでね、来月までに銭湯の常連さんとか観光客の人にサンプルを渡して、感想を集めてみてくださいって言われたんだ。それと同時に、値段も試してみてって。いくらで売るのがベストか、実際に値札を付けてお客さんの反応を見るのがいいってさ。」
ばあちゃんは小瓶をじっと見つめたあと、静かに頷いた。
「なるほどねえ。それで、お姉さんには何か言われたのかい?」
「うん、『絶対に“いくらがいいですか?”って聞いちゃダメ』って念押しされたよ。理由を聞いたら、『本当はもっとお金を出してもいいって思ってても、安い値段を答えたり、適当に言っちゃう人もいるから』ってさ。」
「そりゃ正しいね。」
ばあちゃんは柔らかく笑いながら相槌を打つ。その穏やかな表情を見ていると、俺の胸の中の緊張も少しずつほぐれていった。
「じゃあ、次はいくらで売るか、それを考えないといけないねえ。」
ばあちゃんの言葉に、俺は頷いて力強く答えた。
「そうだね、頑張ってみるよ。」
そう答えたものの、隣に座るフィリアの様子が気になっていた。彼女は番台の椅子に座りながら、落ち着きなく何度も姿勢を直したり、膝の上で手を組んでは開いたりしている。ときおり深呼吸をする仕草からも、何かを言いたくてたまらないのに言葉にできない様子が伝わってきた。
ちらっと視線を向けると、フィリアは小さく息を吸い込み、意を決したように口を開いた。
「あ、あの…おばあさま、少しご相談があるのですが…」
その声はか細くも真剣で、彼女が何か大切な思いを抱えているのがひしひしと伝わってきた。
この物語の本編は、異世界ファンタジー『愚痴聞きのカーライル 〜女神に捧ぐ誓い〜』です。ぜひご覧いただき、お楽しみいただければ幸いです。
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