(58)エルフと癒し
その日の夜、銭湯の営業を終えた後、俺は覚悟を決めて湯船に浸かった。日焼けした肌に熱いお湯が触れるたび、ピリピリとした痛みが全身を襲う。背中も肩も首元も、触れる場所すべてが焼けていて、もはやどうしようもない。湯船から上がる頃には、体力も気力も削り取られたようで、フラフラになりながら布団を敷いて倒れ込んだ。
ぼんやりと天井を眺めながら横になっていると、廊下から軽い足音が近づいてくるのが聞こえた。振り向くと、フィリアが両手で何やら白くて硬そうなものを抱えて立っていた。
「れ、冷凍タオル、ですわ。ユウトさんのおばあさまに教えていただきましたの。日に焼けた時は、冷やすのが一番だと…」
フィリアが少し緊張した面持ちで言葉を紡ぐ。その声には、自分なりにできることを見つけた喜びが混じっているようで、そのけなげな姿に胸がじんわりと温かくなった。
「おお…助かるよ。ありがとな。」
俺がそう言って手を伸ばすと、フィリアはタオルを差し出しそうで、なぜか動きを止めた。不思議に思って顔を上げると、彼女の頬がほんのり赤く染まっているのが見えた。
「ど、どうしたの?」
尋ねると、フィリアは視線を逸らしながら、小さな声で答えた。
「お、起き上がらずに、そのまま下を向いて寝転んでいただけませんか…?」
「え? なんで?」
怪訝に思って聞き返すと、フィリアはさらに恥ずかしそうに視線を落としながら続けた。
「私が…ひ、冷やして差し上げますわ。その…ビーチでの時間が本当に楽しかったので、お礼がしたいんです。それに、私ばかり楽しませていただいた気がして…」
その真剣な口調に、俺は思わず苦笑しそうになったけど、彼女の瞳に浮かぶ決意を見て言葉を飲み込んだ。
「分かったよ。じゃあ…お願いする。」
観念してうつ伏せになると、フィリアがそっと近づいてくる気配を感じた。
ひんやりとした冷凍タオルが背中に触れた瞬間、火照った肌に心地よさがじんわりと広がる。冷たさが焼けるような痛みを和らげ、思わずため息が漏れた。
「ど、どうでしょうか…? 冷たすぎたり、痛かったりしませんか…?」
フィリアの声が心配そうに響く。
「いや、全然平気だよ。むしろ最高。ありがとう、フィリア。」
素直に礼を言うと、フィリアはほっとしたように微笑んだ。その笑顔はどこか安心したようで、見ているだけで心がほっこりする。
フィリアは慎重にタオルを移動させながら、丁寧に冷やしてくれる。そのたびに手の冷たさと優しい動きが、疲れた体と心に染み渡っていく。
「では、次はこちらですね…」と呟いた。
その声に応える間もなく、彼女の手が俺のパジャマのズボンに触れた瞬間、俺は心臓が跳ね上がる音を聞いた気がした。
この物語の本編は、異世界ファンタジー『愚痴聞きのカーライル 〜女神に捧ぐ誓い〜』です。ぜひご覧いただき、お楽しみいただければ幸いです。
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