(108)エルフと混浴
フィリアからの混浴の提案を受け、俺はフィリアの言葉の意味を理解するのに数秒かかり、俺は思わずポカンと口を開けてしまった。そんな俺の様子を見て、彼女は慌てて両手を振る。
「も、もちろん衣服を脱いで、ということではなく、あ、あのビーチに行ったときの衣服で、ということですわ。」
彼女の声は早口になりながらも必死に説明を続ける。
「て、テレビ?で流れておりましたの。仲の良い方と、一緒に温かいお湯につかって、男女で語り合うお湯があると。」
な、なるほど…混浴についてそう理解していたのか。間違っているような、いないような。
「ユウトさんとのこの一カ月、たくさんお世話になりましたわ。たくさんの思い出もできました。なので、最後の一日、ゆっくり語り合いたいと思いましたの。ただ、いきなり机で向き合って語り合うのも、なんだか堅苦して、自然に話せない気がしましたので…」
彼女は少し視線を落としながら、けれども真剣に言葉を紡いでいく。その言葉の一つ一つが俺の心にしみ込むようだった。裸になっての混浴を想像してしまった自分が情けなく思う。
「先日にお姉さまと一緒に入った際、ゆっくりと話し合うことができましたので、それなら良いかなと思いまして。」
フィリアの説明を聞きながら、なるほど、と心の中で納得する。気を遣いすぎてしまう彼女らしい発想だ。
「わ、わかった。それじゃあ、片付けておいたフィリアの水着と、俺の水着を持ってくるよ。湯船につかって、ゆっくり語り合おうか」
「はい、ユウトさん、ありがとうございます」とフィリアはにっこりと笑う。
俺は平静を装ったものの、人生初の“混浴”に心臓は破裂しそうだった。顔は熱くなり、頭の中では「これ大丈夫か?」と警鐘が鳴り続ける。
そして片付けておいた水着を取りに向かう間、ふと思い出す。フィリアに朝風呂を楽しんでほしくて、お湯を張ったのは女湯の方だけだ。ということは、自分は女湯の方に入るのか…。
今日は定休日、それに台風だから誰も来ないけれども、もし誰か来るようなことがあれば、夏休み明けに俺は学校に顔を出せなくて引きこもることになっただろう、と想像してゾッとした。
そんなことを考えながら、自分の海水パンツとフィリアの水着を手に取り、俺は家の方から銭湯の方へと、駆け足で戻っていった。フィリアとの最後のひとときがどんな時間になるのかを想像し、鼓動がさらに早くなるのを止められなかった。
この物語の本編は、異世界ファンタジー『愚痴聞きのカーライル 〜女神に捧ぐ誓い〜』です。ぜひご覧いただき、お楽しみいただければ幸いです。
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