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第64話 サフィアと猫

 おれとリミアがお互いにとても幸せな時間を過ごした後、おれの部屋の窓からノックの音がした。


「ミアー、いるー?」


「この声はサフィアさんですね。なんでしょう?」


 リミアは窓の元まで歩いていき、それを開けた。


「あっ、いたわね、ミア」


「サフィアさん、どうかしたんですか?」


「なんか、寮長さんがミアに用事があるって言ってたから探しに来たのよ」


「えっ、そうなんですか!? ありがとうございます、すぐに帰ります」


 そう言って、リミアは急いで窓から出て女子寮へと帰っていった。


「あら、ミアったら慌ててたせいで窓を開けたまま帰っちゃったわね。でも、中にはレインもいるのよね?」


 サフィアがおれの存在を確認しようとして、開いたままになっている窓から部屋の中を見た。すると、まだ猫の姿のままだったおれと目があった。


「えっ、猫がいるじゃない! しかも、すごく可愛い!」


 サフィアは窓からおれの部屋へと入って来た。まあ、女子が男子寮に入るのは一応OKだけど、玄関から入ってくると目立つからね。こうやって、窓から入ってきてくれたほうが面倒とかなくていいと思う。実際、リミアのときもそうしてもらったからな。


 さて、サフィアのほうだが、おれ改め猫に向かって手を伸ばし始める。だが、その手が猫に届く前に動きを止めた。


「いけない、いけない。このまま抱きしめたりしたら、猫の毛が服に付いちゃうわね」


 サフィアは部屋の中をキョロキョロと見回した。<変身(メルフォス)>で変身した猫だからたぶん毛は抜けないし、もし抜けたとしても魔法を解除すれば消えるけどな。


「あれ、そういえば、レインがいないわね。ミアを部屋に残してどこかに出かけてたのかしら?」


 そう言いつつ、なにか目当ての物を見つけたようで、サフィアはタンスのほうへと歩いていく。そして、その上に置きっぱなしになっていたおれのTシャツを手に取った。


「この服って洗濯してあるのかしら? あ、でも、この服レインの匂いがするわね。……そっか、レインの匂いか……。なんか、悪くないかも……」


 後半のほうは声が小さくなってよく聞こえなかったが、サフィアはおれの服の匂いを嗅いでいるように見える。もし、これが男女逆だったらアウトだが、そうではないのでセーフである。加えて言うと、美少女の行いならよほどのことでない限り、セーフにしたいとおれは思います、はい。


「……って、あたしったら、なにやってるのよ。……ねえー、レインー。この服少し借りていいー。ダメだったら返事してー」


 おい、部屋にいない相手に向かってそう叫んでも返事が返ってくるわけないだろうが。まあ、サフィアも当然分かっててそうやっているんだろうが、どうするか? おれがそう考えているうちに、サフィアは窓とカーテンを閉めた。


 ……あれ? この流れってもしかして……、とおれが気付いた瞬間、サフィアは上の服を脱ぎだした。そのため、サフィアが身に着けていたパステルグリーンの下着が露わになる。


 さらに、サフィアはスカートまで脱ぎだした。そのせいで、上のおそろいの色であるパンツまで完全に見えていた。当然、おれのほうは目を逸らすことなど出来ず、サフィアの下着姿に目が釘付けになってしまう。


「あ、いけない。今、レインが帰って来たらマズイわね。この部屋の鍵が開いていたら、あいつがすぐに入ってきちゃうじゃない」


 そう言って、サフィアはドアのほうを向いてそちらへと歩き出す。そのせいで、おれはサフィアの下着姿を後ろからも拝むことが出来た。スタイルとか形とか色々と素晴らしいと思います。本当にありがとうございます。


 その後、鍵の確認を終えたサフィアがTシャツを着たことでおれの目の保養タイムは終了となった。ただ、Tシャツが大きいおかげで一応パンツは隠れているがギリギリであり、はいてないようにも見えてつい目を向けたくなってしまう。


 そして、それを気にするようにTシャツを引っ張りながらサフィアが口を開いた。


「……この部屋にはあたしと猫しかいないからこれでいっか」


 まあ、その猫はおれなんですけどね。さて、この後はどうしよう? もし、変身を解いて下着姿を見たことがバレたら、サフィアはおれを殺そうとしてもおかしくないので、このまま猫のふりをしてこの場をやり過ごすしかないか。


 そして、満を持したサフィアが再びおれと言う名の猫に向かって手を伸ばし、今度は猫を抱きかかえた。そのおかげで、リミアのときと同様に胸が猫の身体全体に当たる。……はずなんだが、感触が全然違った。


 なんか硬い気がするけど、きっと下着のせいだな、うん。サフィアの名誉のためにも、そういうことにしておこう。そう、決して、胸の大きさが原因なんかじゃない。


 その後は、下着姿を見てしまったせめてものお詫びとして、サフィアのされるがままに猫の頭や腹を撫でられたりなどして、サフィアの猫満喫タイムを終えた。


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