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第57話 生徒会のメンバー

 おれが生徒会に入ることが決定した翌日。


 生徒会の他のメンバーとの顔合わせということで、おれは再び生徒会室を訪れた。すると、部屋の中にはアイシス先輩とシェーナ先輩以外に二人の生徒がいる。この二人が残りのメンバーなのだろう。


 そして、おれが生徒会室に入って来たことに気付いたシェーナ先輩がその二人の生徒に声をかける。その後、三人でおれの元へと歩いてきて、シェーナ先輩がおれのことを手のひらで指し示しながら口を開いた。


「この方が生徒会庶務として新たに加入した一年生のレイン・バーンズアークさんです。では、二人とも自己紹介をお願いしますね」


「まずは、オレからいこう! オレは二年のブリッド・バジェッタ、生徒会では会計を務めている!」


 濃赤色で短い髪をした大柄の男性が大きな声でそう名乗った。ちなみに、右肩には五星魔術師の紋章が付いていた。


「バジェッタさんは真面目で熱心に仕事をしてくれる、とても優秀な方ですよ」


「はっはっは、それは褒めすぎですよ、副会長殿! では、これからよろしく頼むぞ、庶務殿!」


 そう言って右手を差し出してきたので、おれも右手を出して握手をしながら「よろしくお願いします」と、挨拶を返す。その後、残ったもう一人の生徒が緊張した面持ちで前に出てきた。


「わわわたしは二年で書記のエルフィ・ラーピッドです」


 薄緑色の髪をサイドテールにした女の子がそう名乗った。この子は先ほどのブリッド先輩とは対照的に小柄であり、まるで小動物のように可愛らしい。


 ただ、背は小さいが胸のほうはそうではなく、それなりの大きさがあった。ちなみに、右肩には四星魔術師の紋章が付いている。


「ラーピッドさんも真面目で仕事が早い、とても優秀な方ですよ」


「そそそんなことないです、副会長さん」


「はっはっは、謙遜するな! 書記殿は優秀だぞ!」


「かか会計さんまで……」


 二人に褒められたエルフィ先輩が頬を朱に染めてあわあわしている。その隙に、シェーナ先輩がこそっとおれに耳打ちをしてきた。


「話し方で察しがついたかもしれませんが、ラーピッドさんは他人とお話しするのが少々苦手です。ですから、バーンズアークさんも気を付けてあげてくださいね」


「確かに、エルフィ先輩はそんな感じですね。分かりました」


 とはいえ、流れに沿って挨拶ぐらいはしておいたほうがいいだろう。そう思い、おれはエルフィ先輩に対して右手を差し出す。すると、エルフィ先輩はおれの右手をその小さな両手で握った。


「エルフィ先輩、これからよろしくお願いします」


「よよよろしくです、庶務さん」


 エルフィ先輩はおれの右手を握ったまま、両腕をブンブンさせながらそう返してきた。なにそれ、可愛い。


 さて、これで顔合わせの挨拶は終わったし、この後はどうしよう。とりあえず、シェーナ先輩にどうすればいいか訊いてみるか。


「シェーナ先輩、生徒会でおれはなにをすればいいですか?」


「そうですね……。バーンズアークさんには主に会長の仕事の手伝いをしてもらうのがいいとわたくしは思いますが、二人はどう思いますか?」


「オレは副会長殿の意見に賛成だ!」


「わわわたしも同じです」


 ブリッド先輩とエルフィ先輩のその言葉を聞いてシェーナ先輩は嬉しそうにニコリと笑った。その後、おれはシェーナ先輩に連れられてアイシス先輩の元へ向かう。


「会長。バーンズアークさんには会長の仕事を手伝ってもらおうという話になったのですが、よろしいでしょうか?」


「私の仕事をか?」


「はい。会長は色々と忙しいですし、少しでも負担を減らせればと思いまして。それに、バジェッタさんとラーピッドさんも同意見のようですし」


 後ろを振り向くと、ブリッド先輩は「うむ!」と大きく頷き、エルフィ先輩は「うんうん」と何度も首を縦に振っていた。


「……そうか。皆の気遣いに感謝するよ。では、バーンズアーク、よろしく頼む」


「はい、よろしくお願いします」


「それでは、バーンズアークさんはこちらの椅子にかけてください」


 シェーナ先輩が椅子を持ってきて、それをアイシス先輩のすぐ近くに置いた。……その位置ではアイシス先輩に近すぎる気がするが、いいのだろうか?


「どうかしましたか? 座っていただいて大丈夫ですよ」


「あ、はい、ありがとうございます」


 着席を促されたのでおとなしく座ることにした。あれ、そういえば、結局おれはなにをすればいいか分かってないな。まあ、アイシス先輩に訊けばいいか。


「……で、おれはなにをしたらいいですか?」


「そうだな……。最初は右も左も分からないだろうし、今日は私の仕事をそこで見ていてくれ。まずは、私がなにをしているかを漠然とでもいいから理解してくれれば構わない」


「分かりました」


 というわけで、おれの生徒会での初仕事が始まった。とは言っても、やることはただひたすらアイシス先輩を観察することである。……この言い方だとなんかいやらしい響きに聞こえるが、特にそういう意味はない。


 で、当のアイシス先輩はというと、なにやら書類を読んだり、それにハンコを押す作業を繰り返していた。試しに書類のほうを見てみるが、やたらと文字が多くて頭に入ってこない。読むのがしんどいので、三行でまとめて欲しい。


 そんな状態がしばし続いた後、アイシス先輩がおれに声をかけてきた。


「バーンズアーク、そちらにある訓練場に関する書類を取ってもらえないか?」


「…………すいません。どれですかね?」


「いや、こちらこそすまない。確かに、分からなくて当然だな。私が自分で取るから大丈夫だ」


 そう言って、アイシス先輩はおれのほうに寄って手を伸ばした。その結果、おれの右腕に柔らかい感触が走る。当然のごとく、おれが視線を向けるとやはりその感触の正体はアイシス先輩の豊満な二つの果実のうちの一つだった。


 この状況に本人は気付いていないのかと思い、おれはアイシス先輩の顔を見る。どうやら、書類を取るのに気を取られて気付いていないようだ。というか、アイシス先輩の顔がめっちゃ近い。やっぱり可愛い、きれい、それといい匂いがする。


 その後、無事に書類を取り終えたアイシス先輩がおれの声を見て問いを発した。


「顔が少し赤いようだが、どうかしたのか?」


「い、いえ、大丈夫です……」


 おれは顔を逸らしながらそう答える。そして、逸らした先ではシェーナ先輩がこちらを見ていた。そして、シェーナ先輩が両手を頬に当てながら、またよく分からないことを言い出した。


「ま、まさか、今のは仕事に見せかけたイチャイチャですか!? そういうことなのですか、会長!? きゃあ~~~~~!!」


 そんな感じで、おれの生徒会での初仕事は進んでいった。


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