第178話 一人目のメインヒロイン
「――という話をしました」
昔話を終えたリミアは、恥ずかしさからか顔を真っ赤に染めていた。というか、間違いなくおれの顔も真っ赤に染まっているのが顔の熱さで分かる。さっきの話の未来の旦那さんと言うのはつまりおれということになるので、聞いてたおれもすごく恥ずかしくなってくる。
いや、まさか、本当にそんな話をされるとは思わなかった。というか、この後どうしよう!? 今、リミアはなにを考えている? おれがリミアのほうに視線を向けると、彼女もおれのほうを見ていた。目が合い恥ずかしくなったおれ達は互いに顔を逸らす。
と、とにかくなにかを話さなければいけない。かといって、先ほどの話と関係ないことを言ってお茶を濁すのもどうかという状況だよな。……やはりここは、男としてカッコよく自分の気持ちを言葉にすべきだ!
「あ、あのさ、リミア!」
「は、は、はい!」
緊張からか上擦った声を出しつつ、おれはリミアの顔を真っすぐに見つめる。そこにあるのは初めて会ったときから変わらず、いや、時間を重ねるにつれてどんどん魅力が上がっていった可愛い女の子。おれの人生の一人目のメインヒロインだ。
「……おれ、リミアのことが大好きだ。だから、おれは…………リミアの旦那さんになりたい!」
「……っ!! ………………はい、わたしをレインさんのお嫁さんにしてください」
おれとリミアは見つめ合った顔を互いに近づけていく。そして、まるで将来を誓い合うかのように長い長いキスを交わした。だが、キスを終えた後、おれの力が強かったのか、それともリミアの身体の力が抜けたのか、おれはリミアをベッドに押し倒してしまった。
「ご、ごめん、リミア!!」
「い、いえ、大丈夫です!」
これは、素直にヤバい。今、おれはプロポーズをしたせいですごく気持ちが昂っている上に、目の前、というかおれの身体の真下には無防備な恰好のリミアがいる。特に胸元はもう少し服がずれれば、本当に大切な部分まで見えてしまいそうなレベルだ。
この状況で本音を言うと、今すぐリミアとそういうことをしたい。それに、プロポーズが成功した以上、そういうことをしても完全に許される関係ではある。だが、だからといって本当に良いのか? そう迷っているおれに対し、リミアが声をかけてくる。
「……あの、レインさん」
「な、なんだ!?」
「やっぱり、レインさんってわたしと、…………そういうことがしたいって思ってますか?」
「……! そ、それは……」
やはりと言うべきか、おれの考えていることはリミアにバレていたようだ。これは、どう答えたらいいんだ? リミアのことを考えたらごまかすべきなのか? ……いや、リミアなら絶対に引いたり怒ったりしないから、おれの気持ちを素直に言うべきだ。
「……それは、やっぱりしたいって思ってるけど」
「……そうですか……」
言ったはいいが気まずくなってしまい、おれはついリミアから顔を逸らす。そのまま数十秒ほどの時間が経過し、再びリミアが口を開いた。
「わたし、レインさんと出会ってから初めてのことがたくさんあったんです」
その言葉を聞いてリミアの顔を見ると、彼女は昔を懐かしむような顔をしていた。
「カナイ村には同年代の子どもがいなかったので、わたしにとってレインさんが初めての友達でした」
「……うん」
「それに、王都に来るのも初めてのことですし、学院生活というのも初めてでした。それから……」
「……うん」
「……それから、誰かを好きになるのも初めてでしたし、恋人ができるのもキスをするのも初めででした。わたしはこれからも、ずっとレインさんと色々な初めてを経験したいです。だから……」
リミアは顔を真っ赤にして、潤んだ瞳でおれの目を見る。
「……だから、わたしの初めてを……もらってください」




