第156話 レインの悩み
夏休みの帰省を終え、おれは男子寮へと戻ってきていた。
「はあ……。まだ終わってないけど、今年の夏休みは最高に楽しかったなあ……」
思わずそんな独り言を呟いてしまうくらい、あの小旅行は楽しかった。なんたって、おれの人生のメインヒロインである三人の美少女とずっと一緒にいて遊んでいたからな。しかも、プライベートビーチに行った日はさらに二人の美少女と一人の美女も一緒であり、その日の夜は最高の体験ができた。
……最高と言う意味だと、なにげにおれはリミアとサフィア、そしてアイシス先輩の裸もこの小旅行で見てるんだよな。そちらももちろん最高に素晴らしい光景なので、忘れないように網膜に刻んでおきたい。
本当に、今のおれは幸せだ。そんなに幸せなのに、いや、幸せだからこそ悩みがある。その悩みとは……、あの三人がおれのことをどう思っているかだ。なんか、こうして一人で冷静になってよく考えると、実はおれのことを好きなのでは、って思える出来事がいくつかある。
だが、それを断言できるような自信はないし、おれみたいなチョロい系男子特有の勘違いの可能性も充分にある。はあ……、どうせ魔法があるなら、人の心が読める魔法もあればいいのにな。
……いや、やっぱ駄目だな。もし、そんな魔法があったら、おれが美少女大好き人間であり、内心であんなことやそんなことを考えているのがみんなにバレてしまう。この世界に人の心が読める魔法がなくて本当に良かった。
だから、それはいいのだが、悩みのほうはやっぱ駄目だな。そもそも、いくら考えたって他人の気持ちなんか分かるはずがない。分かることがあるとすれば、他人ではなく自分の気持ちだ。おれはあの三人のことを異性としてどう思っている?
………………こうして、真面目に考えてみると、おれは三人とも大好きだと思う。というか、おれみたいな美少女大好き人間があんなに魅力的な女の子を好きにならないわけがない。なんなら、三人とも一目惚れだったかもしれない。
では、どうするか? この世界では重婚が認められているという事実を踏まえれば、三人と同時に恋人になるということも、理屈の上では可能だろう。そして、許されるのであれば、おれは三人と恋人になりたいし、将来的には結婚したい。
だが、そんなことが本当に許されるのか? おれのほうはいいけど、相手からすれば普通に一対一で交際したいと考えるんじゃないか? ……いや、そもそも、三人ともおれのことを好きだという前提で考えてるのがおかしいんだけどさ。
……はあ、やっぱ駄目だ。ろくな恋愛経験のないおれが、こんな無理難題を考えていて答えを出せるわけがない。やはり、こういうときは誰かに相談すべきだろう。ありがたいことに、おれにはとても頼りになる親友がいるしな。
そう思い至ったおれは、その親友であるミハエルがいる紅き闇の館へと向かった。もちろん、帰省の際にミハエルのために狩ってきたカッコイイ狼の魔物の骨を持って行くのは忘れていない。




