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【完結済】魔法学院の異常者 ~転生であらゆる魔法の無力化と模倣が出来るチートを得たので最強ですが、学院で気楽に青春を謳歌します~  作者: アズト
第4章

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第145話 きれいな月

 露天風呂での最高に素晴らしい混浴を終えた後。


 おれは身体をふらつかせながら廊下を歩いている。い、イカン、マジで限界だ……。誰か一人との混浴でも最高なのに、最後のルミル先生との混浴は破壊力が高すぎた。これで死んだとしても、おれは本望な気がする。


 ……い、いや、だが、またどこかでこんな体験をできるかもしれないし、いずれは恋人が欲しいことも考えるとまだ死ぬわけにはいかない。なんとか、気力を振り絞って歩いているおれの前にヒトカゲ……、ではなく人影が見えた。


「あら、レインじゃない」


「さ、サフィアか……?」


「そうだけど、どうかしたの? あなた、顔が真っ赤な上に身体がふらついてるわよ」


「いや、風呂で――」


「ちょ、ちょっとレイン!?」


 おれの意識が薄れていく中で、サフィアがおれの名前を叫んでいる気がした。


 *****


「あれ……?」


「あ、目が覚めたのね。あなた、急に意識を失ったのよ。たぶん、風呂につかりすぎてのぼせたんでしょ」


「ここは……?」


「ロビーにあるソファーよ。近かったから、ここまで運んで寝かせてたのよ」


「……そうか。悪かったな」


「いいわよ、これくらい」


 おれが寝ているソファーの隣に座っているサフィアがこともなげにそう答えた。その後、サフィアは顔を少し赤くし嬉しそうに口を開く。


「それにしても、さっきはびっくりしたわよ。あなた、急にあたしに抱きついてくるんだもの」


「……あー、すまん、倒れた拍子につい」


「だから、謝らなくていいわよ。それより、体調はどう? 身体は起こせるの?」


「そうだな……。まだ、少しふらつく気がする……」


 試しに身体を起こしたおれはそう答えた。寝ていた……、というよりは気絶していたおかげでだいぶ落ち着いたようだが、さすがにまだ完全回復とはいかないようだ。


「それなら、外に行かない? この時間なら海の近くまで行けば涼しいし、風も気持ちいいわよ」


「そうするか。……っと、危ねっ!」


「まったく、仕方ないわね。ほら」


 足がふらついているおれに、サフィアは肩を貸してくれた。それは助かるのだが、美少女であるサフィアに密着されると、また脳の温度が上がっていくのを感じる。だが、肩を借りないとおれは歩けそうにないので、そのまま外に出てビーチに到着した。


「……来たのはいいが、やっぱり横になりたいな。……けど、それなら枕が欲しい」


「……しょうがないわね。今だけ特別よ」


 そう言って、サフィアは砂浜に正座し、自分の膝をポンポンと叩いた。


「ほら、来なさいよ」


「……え、いいの?」


「いいからこうしてるのよ」


「……じゃあ、ありがたく」


 お言葉に甘えて、おれはサフィアの膝枕で横になった。以前、アイシス先輩に膝枕をしてもらったときも思ったが、頭の下の柔らかくも温かい感触が心地いい。だが、あのときと大きく違うのは空が完全に見えていることだ。


 これが、俗に言う胸囲の格差社会というやつか。おれがそう思っていると、開けていた空が急に見えなくなった。サフィアが顔を下に向け、おれをジト目で睨んできたからだ。


「今、失礼なこと考えてたでしょ?」


 ……!! 思考が……読めるのか? まずい……!


「か、考えてないです」


「ホントかしら……?」


「本当だよ。サフィア(の胸がちっちゃくて)可愛いって思ってただけだよ」


「っ!! ……それなら、別にいいけど……」


 おれの言葉を聞いて顔を赤くしたサフィアは、その顔を隠すように上を向いてしまった。そのおかげで、再び空が見えたので、おれは素直な感想をこぼす。


「きれいな空だな」


「そうね……。特に、月がきれいね」


「…………なあ、サフィア。夏目漱石って知ってる?」


「知らないけど、なに? というか、聞き慣れない響きね……」


 サフィアはおれのほうを見て怪訝な顔をした。つい訊いてしまったが、この世界でその名前が知れ渡ってるわけがない。なお、夏目漱石が、『月がきれい』を『I love you』と訳したと言う話は信憑性が低いらしい。


「……いや、知らないならいいんだ。それより、一つお願いしてもいいか?」


「なに?」


「おれの名前を言った後で、さっき空を見たときの感想を言ってくれないか?」


「……? なにそのお願い?」


「いいからいいから」


「まあ、良いけど……」


 いまいち納得が言ってなかったサフィアだが、気持ちを切り替えたようで空を見上げながら口を開く。


「レイン、月がきれいね」


「…………………………」


「ちょっと、なにか言いなさいよ」


「……ああ、悪い悪い」


 自分でやらせといてなんだが、告白されたみたいでついドキリとしてしまった。まあ、サフィアのほうはそんなこと知る由もないんだが。


「せっかくだから、もう一回言ってくれない? できれば、今度はおれのほうを見ながら」


「さっきから、本当になんなのよ?」


「まあまあ、いいからいいから」


「まったく、仕方ないわね……」


 おれの頼みを聞いてくれたサフィアは、今度はおれの目を見ながら口を開く。


「レイン、月がきれいね」


「…………………………」


「なんで、そんなに顔を赤くしてるのよ? なんだか、こっちまで恥ずかしくなってくるじゃない」


 そう言って、サフィアはそっぽを向いてしまった。そんな態度を取られると、余計に告白感が出てる気がする。


 最期にそんなドキドキする体験をして、おれ達のプライベートビーチ観光は終わりを迎えた。


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