第141話 施設案内
おれとサフィアは他のみんなと合流し、海での時間を楽しんだ。そして、楽しい時間はあっという間に過ぎ、もう日が暮れようとしている。
「名残惜しいですが~、そろそろ貸別荘に戻りましょうか~」
ルミル先生の言葉に、他のみんなは頷いた。ルミル先生の言う通り非常に名残惜しいが、こればかりは仕方ないか。道中で、おれはみんなの水着姿を目に焼き付けつつ、貸別荘へと到着した。
水着に着替えたときも思ったが、ここは貸別荘というよりは小さなホテルという印象だな。ホテルっぽいだけあり玄関をくぐるとロビーが存在し、そこでアイシス先輩が口を開いた。
「では、ここからは自由行動で。部屋は人数分あるし、この施設の説明が書かれた紙も中にあるから食事・風呂の時間や場所はそれで確認してくれ。もちろん、なにか分からないことがあれば、私に訊いてくれて構わない」
「わたくしも何度かこちらを訪れたことがありますから、わたくしに訊いてくれても大丈夫ですよ」
「わわわたしでもいいです」
「二人ともありがとう。では、ここで解散とする」
アイシス先輩のその言葉で、ルミル先生やシェーナ先輩達は更衣室に向かった。その後に続こうとしたサフィアに、おれは声をかける。
「サフィアはこの後どうするんだ?」
「着替えたら自分の部屋に行くわ。かなり疲れたから眠いし、ご飯まで寝てようかしら」
「そうか、分かった。リミアはどうする?」
「せっかくなので、この別荘内を見て回ろうかと。こんなところ、めったに来る機会がないですし」
リミアは物珍しそうに辺りをキョロキョロと見回している。こういう姿を見ていると、リミアが初めて王都に来たときのことを思い出すな。
「それなら、おれも興味があるから色々見て回ろうかな。あ、そうだ、アイシス先輩。もし、迷惑でなければ案内してもらえませんか?」
「それは、もちろん構わない。とは言っても、そんなに案内する場所はないが。では、その前に私達も服に着替えるとするか」
「そうですね」
「……あ、ちょっと待ってください」
あることを閃いたおれは、更衣室へと向かおうとするリミアとアイシス先輩を呼び止めた。
「どうした?」
「ちなみに、この中って水着で歩いててもいいんですか?」
「特に問題はないが、なぜだ?」
「……あー、その、この時間でもまだ暑いし、どうせなら水着で見回るのもいいかと思いまして」
「……確かに、そうかもしれないな。リミア君はどう思う?」
「そうですね……。わたしもお二人と同じ意見です」
「では、このまま案内するとしよう」
よし、水着姿の二人と一緒にいることに成功した。先ほどの、「この時間でもまだ暑い」という言葉も嘘ではないが、ぶっちゃけ本音はそっちである。さらに、二人の真ん中で歩くことにも成功したので、今のおれの両脇には水着姿の美少女がいる。
やはり、巨乳美少女の水着姿というのは素晴らしい。だって、こうして歩いているだけで、胸がプルプルと揺れてるんだもん。まあ、巨乳の人は服を着ていても揺れるんだけど、こうして肌色率が高いとより眼福である。
そうやって、おれが左右を見ながら歩いていると、前方から良い匂いがしてきた。
「ここが食堂だ。今はまだ調理中だからなにもないが、もう少しすれば様々な料理が並ぶことになる。この食堂はビュッフェ形式だからな」
「そうなんですね。料理がたくさん並ぶなんて、わたし目移りしちゃいそうです」
目移りというなら、おれは先ほどから左右の美少女に目移りしっぱなしだな。
「そうか。ここの食事は本当に美味しいから、楽しみにしていてくれ」
美味しいというなら、おれの左右に実る四つの果実も違う意味で美味しいに違いない。
「はい! とてもいい匂いだし楽しみです」
いい匂いというなら、おれの左右からは女の子特有のいい匂いがずっと漂っている。
「それと、決まった席はないから、好きな場所に座って食事を楽しんでくれて構わないよ」
「よく見ると、テーブルもイスもきれいですね。それに、窓の近くに座れば海を見ながら食事ができるから素敵です」
きれいで素敵というなら、君達二人のほうがとてもきれいで素敵だぞ。
「食堂についてはこんなところだな。では、次に行こうか」
アイシス先輩に連れられて次の場所に進むと、そこにはたくさんの絵が飾られていた。
「ここは、簡易的な美術館と言ったところだな。見ての通り、大した広さでもないが」
「どうして、こういう場所に美術館があるんですか?」
「貴族の中には、この手の芸術品を好む者が多くいるんだよ」
確かに、お金持ちというのはこういう絵画とかを好きなイメージがある。実際は知らないので、おれの偏見かもしれないが。
「絵画に興味がなければ、次の場所に行くがどうする?」
「……いえ、せっかくなので見てみたいです」
リミアがそう言うのであれば、おれに異を唱える理由はない。なので、おれ達は美術館を見て回る。……ふむ、前世では画伯と称されるほどのおれでも良さが分からないとは、ここにあるのは相当な芸術品のようだな。
……まあ、画伯には良い意味と悪い意味があり、おれは後者のほうなんだけどね。だが、おれの隣で絵画を眺めているリミアは感嘆の息を漏らしているので、良い意味で画伯の才能があるのかもしれない。
「きゃ!」
「ど、どうした、リミア!?」
なにかに驚いたリミアがおれの右腕に抱きついてきたので、それに驚いたおれもつい慌てた声を出してしまった。
「す、すいません。……その、絵が怖くて」
「絵?」
おれが前を向くと、そこにはおどろおどろしい絵がある。分かりやすく言うと、ホラー系の作品ということか。
「私もこの辺りの絵は初めて見るが、確かに怖いな。知らない間に、新しい作品が展示されていたのか」
無意識なのだろうか、アイシス先輩はおれの左腕に抱きついてきた。そんなことをするということは、アイシス先輩も内心ではかなり怖がっているのかもしれない。
しかし、それはそれとしてこの状況は素晴らしいな。両サイドから巨乳美少女に抱きつかれるというだけでも素晴らしいのに、今のおれ達は水着だ。ゆえに、その豊満な胸の柔らかさと温かさがよりダイレクトに伝わってくる。
どなたか存じませんが、このような絵を描いていただき本当にありがとうございます。おれがとある天才画伯に感謝の念を送り、気付いたときには美術館の出口に立っていた。どうやら、胸の感触で頭が一杯になり、他のことに意識がいっていなかったみたいだ。
「後は、露天風呂くらいだな。夜は男女で時間が分けられているが、この時間や深夜は男女共用だ。それに、今は誰もいないから、このまま入って構わないだろう」
脱衣所を通りドアを開けると、岩で作られた露天風呂があった。広さはさほどでもなく、一度に入れるのは十人くらいだろうか。入って右側を見ると、そこには身体を洗うための洗い場がある。
「わあ……。露天風呂というだけあって、開放感があっていいですね」
「ああ。夜に入れば、月や星の輝きを楽しみながらお風呂に入ることができるよ」
「そうなんですね。お湯も透明できれいだし、入るのが楽しみです」
楽しみというなら、おれは月や星より麗しき女性陣との混浴を楽しみたい。これも一種の花より団子と言えるだろう。ある意味で、今のおれの両隣りには大きな団子が四つあるし。
……せめて、今日ここに来た誰か一人だけでもいいから、なにかの間違いで混浴ができたりしないかなあ。しかし、そんなおれの期待が良い意味で裏切られることになるとは、このときのおれは思いもしなかった。
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