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第128話 水かけっこ②

 リミア達の優しさにより、おれは三人と一緒に水かけっこを続行していた。これはもう完全に青春と言える光景だ。ゆえに、どこかの美少女に、「さすがレイン、ブタ野郎ね」と罵られても仕方がない。というか、罵られたい。


 さて、言われた通り、サフィアとアイシス先輩には多少の距離を取るようにしているが、それでも充分に楽しい。それに、少し離れているくらいなら一応は透けている下着も見えるので、そういう意味でも楽しい。


「きゃあ!」


 そんな悲鳴が聞こえたので声がしたほうを向くと、水に滑ってサフィアが転んでしまったようだ。そのことに気づいたおれは、すぐに近づいてサフィアの目の前に座り込む。


「サフィア、大丈夫か? ケガとかしてないか?」


「ええ、痛いところもないし大丈夫よ。ありがと」


「それなら良いんだが……」


 そう言いつつ、おれは念のためサフィアにケガがないかを確認する。川底には石がたくさんあるし、脚にケガをしているかもしれないと思い見ていると、水色の布のような物が目に入った。……あれ、これってどう見てもサフィアのパンツなのでは?


 その事実に気付いたおれがついそれを凝視してしまっていると、スカートが勢いよく下がり視界を妨げられた。そのまま、右手でスカートを押さえながらサフィアがジロリとこちらに視線を向ける。


「見たでしょ?」


「……ミ、ミテナイヨ」


「ちゃんと、あたしの目を見て答えなさい」


「…………すいません、見ました」


「……もう、レインのエッチ」


 サフィアは頬を膨らませながらそう言った。下着を見られた恥ずかしさからか顔も赤くなっていて、怒っているにも関わらず可愛らしい。そのため、もっとこの顔を見ていたいところだが、ここはちゃんと謝らないとな。そう思ったおれは、頭を下げながら口を開く。


「……あの、本当にごめんな」


「はあ……。もう許してあげるから顔を上げなさいよ」


「え、マジで? ありがぶっ!!」


 言われた通りにおれが顔を上げると、そこに勢いよく水が飛んできた。どうやら、サフィアが川の水を思い切りおれにぶっかけてきたようだ。


「あはは、引っかかったわね」


「……やってくれたな、サフィア!」


「きゃ! ちょっと、なにすんのよ!」


 おれは反撃としてサフィアに水をぶっかけ返した。やられたらやり返す、倍返しだ! その後、おれ達は互いに立ち上がり水かけっこを続行し、そのせいでサフィアの服の濡れ透け具合も上がっていく。


 胸こそ小さいが、それ以外はリミアに負けず劣らずのスタイルの良い身体。服が透けてしまってことで見えている上下ともに水色の下着。さらに、ツインテールの毛先やスカートから滴り落ちる水がサフィアの魅力を引き立てている。水も滴る良い女とはこういうことを言うのだろう。


 そうやって、サフィアの身体のほうに視線を向けているおれの顔に再び水が飛んでくる。


「ぶっ!」


「あなた、またジロジロ見てたでしょ!」


「いや、待て! 確かに見ていたが、それはお前が魅力的だからでな」


「っ! ……まあ、そういうことなら仕方ないかもしれないけど。……あーもう、なんだか疲れたし、あたしはちょっと休憩してくるわ」


 サフィアは顔を隠すかのようにくるっと後ろを向き、そのまま川べりへと行ってしまった。見ると、いつの間にかリミアも休憩しているな。美少女二人のご休憩を邪魔するわけにもいかないので、おれはもう一人の美少女のところに行こう。


 そう思いおれはアイシス先輩のほうへと歩き出す。さて、アイシス先輩に怒られない距離はどれくらいだろう? まあでも、寛大なアイシス先輩ならすぐ近くまで行っても許しくれるかな、と思っていると「ひゃ!」という声とともにアイシス先輩が抱きついてきた。


「ど、どうしたんですか、アイシス先輩!?」


「い、今、脚になにかぬめっとした物が触れたんだ!」


「ぬめっとした物?」


 その正体を把握するために下を向くと、足元を魚が通り過ぎていくのが見えた。そういえば、魚の感触ってそんな感じだよな。


「大丈夫です。ただの魚ですよ」


「そ、そうか、魚か。川に来たのは初めてだから、魚が泳いでいることを失念していたようだ」


 そう言って、アイシス先輩は胸を撫で下ろした。胸と言えば、抱きつかれたせいでその豊満な胸が思い切りおれの身体に当たっているな。水に濡れているにも関わらず、温かくてとても柔らかい。暑い夏でもこんな温かさなら大歓迎なのだが、そう都合よくはいかないらしい。


「す、すまない! つい、抱きついてしまった!」


「いえ、全然いいですけど」


 残念ながらアイシス先輩が離れてしまったのだが、そのおかげで今度はアイシス先輩の身体全体が目に入る。リミアを超える大きな胸と、それとは対照的に細い腰と足。上下ともに可愛らしい桃色の下着が、濡れてしまった服の奥にはっきりと見えていた。


 その姿をずっと眺めていたいところだが、そうしていると今度はアイシス先輩に怒られてしまうかもしれないな。そうならないように、なにか別の話をしよう。


「あっ、あんなところにカニがいますよ」


「あれが野生のカニか……」


「でも、触るときは気を付けてくださいね。ハサミに挟まれると危険です、カニが」


「……私ではなく、カニのほうなのか?」


「だって、アイシス先輩なら挟まれて痛みを感じた瞬間、反射的に身体強化を発動するでしょう。そうしたら、カニのハサミのほうがどうなるか分かりませんよ」


「……確かにそうだな。生き物を不要に傷つけたくはないし、気を付けるとしよう」


 おれが捕まえたカニを手渡すと、アイシス先輩は川べりに座ってカニを膝の上の乗せる。そして、その状態でカニを物珍しそうに触り始めた。……おい、デュエルしろよ、カニ。おれが勝ったら、そのベストポジションを譲ってもらおうか。


 とはいえ、カニと本気で争うわけにもいかないし、アイシス先輩の濡れ透け姿を間近で見れるこの場所も悪くはないからな。ゆえに、今は黙して引くとしよう。


 この後も、おれ達は川遊びを思う存分に楽しみ、カナイ村へ帰ることにした。


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