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第127話 水かけっこ①

 ちっちゃくて可愛い村の幼女、モカちゃんとのおままごとが終わった後。


「暑いな……」


「そうですね……」


 おれの言葉に返事をしたリミア以外の二人も同感のようなので、とりあえず木陰に移動した後で話を続ける。


「どこかに涼めそうな場所ってあるのか?」


「近くに川があるので、この時期はそこで涼んだりしますね」


「それはいいな。今からみんなで行かないか?」


「わたしはいいですよ」


「私も同行しよう」


「サフィアは行かないのか?」


 一人だけ返事がなかったサフィアに問いかけると、少し顔を曇らせながら問いを返してきた。


「……ちなみに、その川って深いの?」


「いえ、水深が膝下くらいの浅い川ですね」


「……それなら行くわ」


 ふむ、海の話をしたときも思ったが、やはりサフィアの悩みはアレのようだな。まあ、現状では特に問題もないから今はいいだろう。なので、とりあえずおれ達はリミアの案内で近くにあるという川へと移動した。


「冷たくていいですね」


「ええ、気持ちいいわ」


「ああ、悪くない」


 川へと到着したおれ達は早速、川べりに座って足を付ける。リミア達の言う通り、ひんやりとした水がこの暑さを和らげてくれて気持ちが良い。


「この川で遊んだりもするのか?」


「はい、たまに遊んだりもしてました」


「へえ、そうなのね。どんな遊びをしてたの?」


「主に、水かけっこですね」


「水かけっこ?」


 どうやら、アイシス先輩とサフィアは水かけっこがどんな遊びなのかピンときていないようだ。まあ、王都育ちの二人のはそんな経験がないのだろう。経験がないという意味ではおれも同じなのだが、おれには分かる。だって、アニメとかでよく見るアレだろ。


「よし、リミア。実際におれ達でやってみよう。口で説明するより、そのほうが手っ取り早い」


「分かりました」


 おれとリミアは立ち上がり、川の中へと入っていく。


「よーし、来い」


「じゃあ、いきますね。えいっ」


 可愛い掛け声とともに、リミアが水をおれにかけてきた。身体にかかった水が冷たくて心地いい。


「次はおれの番だな。とりゃ」


「きゃっ」


 身体に触れた水の冷たさゆえか、リミアが可愛らしい声を上げる。その後、数回ほど二人で水のかけあいをしてから、おれはサフィア達のほうを見る。


「……とまあ、こんな感じだな」


「分かったわ。この暑さの中でやるならいい遊びね」


「そうだな。遊んでみるか」


 サフィアとアイシス先輩も加わり、おれ達は四人で水かけっこをして遊び始める。


「いきますよ、アイ先輩。えいっ」


「やってくれたな。お返しだ」


 そのまま、おれ達はしばしの間、水かけっこに興じる。なにこれ、美少女達との水かけっこってなんかすごいリア充っぽくって超楽しい。だが、水かけっこゆえか、そんなおれの気持ちに水を差すような声が上がった。


「きゃっ!」


「やだっ!」


「これはっ!」


 リミア達は恥ずかしそうに顔を赤くしながら、両腕で身体を隠すようにしていた。よく見ると、水に濡れた影響で三人とも服が透けてしまっている。この状況なら、女の子が恥ずかしがるのは当然だろう。


 だが、健全な男の子であるおれとしては、是非ともこのまま水かけっこを続行したい。……したいのだが、さすがにそれは無理だな。仕方がないので、おれがこの場を離れるしかないようだ。


「じゃあ、おれは向こうに行ってるから、後は三人で遊んでてくれ」


「あ、待ってください」


 向こうにある岩陰にでも移動しようと思ったおれを、リミアが引き留めてきた。


「どうした?」


「……その、レインさん一人だけ仲間外れというのも可哀想ですし、わたしはこれくらいなら見られてもいいですよ」


 そう言って、リミアは身体を隠していた両腕を解くことで透けた服が露わになる。


「……いや、その気持ちは嬉しいけど、サフィア達が駄目だろう?」


 おれがサフィアとアイシス先輩に目を向けると、二人もリミアのように身体を隠していた両腕を解いて口を開く。


「……そうね。よく考えたら、このくらいなら平気だわ。ただし、あまり近づかないでよ」


「確かに、多少の距離があればこの程度は構わないか」


 ……そういえば、おれは事故などが原因でこの三人の下着姿を見てしまったことがあるんだった。それに比べれば、服が透けて下着がうっすらと見えるくらいは平気ということなのかもしれない。


「じゃあ、再開しますよ、アイ先輩」


「ああ、来い」


 その言葉の通り、サフィアとアイシス先輩は水かけっこを再開し始めた。ならば、おれもお言葉に甘えてこのままこの場にいさせてもらおう。そう思い、おれも水かけっこを再開しようとすると、リミアが近づいて来ておれに耳打ちをした。


「……その、わたしのことは近くで見てもいいですよ」


「なっ……!」


 なんか、バイトのときとかもそうだけど、少し前からリミアはこの手のことをおれにし始めた気がする。なんというか、女性としての武器であり魅力をおれにアピールしているというか。なんなの、もしかして、リミアはおれのこと好きなの? そう思いながら、おれの視線は自然とリミアの身体へと向けられる。


 濡れたせいで服が身体にピタリと張り付き、強調されるきれいなボディライン。ブラはもちろん、パンツのほうも透けて見えており、その姿は非常に艶めかしい。リミア的には服を着ている分マシなのかもしれないが、濡れ透け状態の今のほうがある意味では下着姿よりも扇情的と言えるだろう。


 ………………あれ、リミアの濡れ透け姿を見る前のおれはなにを考えてたっけ? 目の前の光景に夢中になり、すっかり忘れてしまった。


 ……まあ、いいか。それよりも、今はこの瞬間を存分に楽しませてもらうとしよう。


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