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第108話 サフィアの休息

 シェーナ先輩の試合終了宣言を聞いたおれはすぐにリングへと向かった。


「サフィア、大丈夫か?」


「ええ、おかげさまでね。助けてくれてありがと」


「いや、別にいいって」


 サフィアとそんなやり取りをしていると、シェーナ先輩がなにか気まずそうにこちらを見ていた。……なんだろう? ……あ、まさかアレか!? 試合中に部外者であるおれが魔力障壁を発動したのが問題で、おれが失格になるとかそんなんあったりするのか!?


「……あの、バーンズアークさん」


「は、はい、なんですか!?」


「……先ほどは、ラステリースさんを助けてくださって、誠にありがとうございました。そして、大変申し訳ございません」


 そう言って、シェーナ先輩は頭を下げた。


「……なんだ、そのことですか。というか、申し訳ない……ですか?」


「はい。本来、試合中に危険な事態に陥った際、対処するのは審判であるわたくしの役目です。ですが、わたくしの判断が遅れ、バーンズアークさんのお手を煩わせてしまったので……」


 なるほど、さっき気まずそうにしてたのはそれが理由か。


「ああ、そういうことですか。それなら、別に気にしなくていいですよ」


「お心遣い、感謝いたします」


 再度、シェーナ先輩は頭を下げた。おれとシェーナ先輩の話が終わると、今度はアイシス先輩が口を開く。


「私からも礼を言うよ。ラステリースを助けてくれてありがとう、バーンズアーク」


「いえいえ、全然。アイシス先輩も気にしないでください。それより、次の試合の邪魔になりそうだし、おれ達はそろそろ失礼しますね」


 そうやって申し訳なさそうにされると逆にこっちが申し訳ない気分になってくるので、さっさとこの場を離れたほうがいいだろう。そう判断したおれは、試合の疲れからか地面に座り込んでいたサフィアに声をかける。


「サフィア、立てるか? ……いや、やっぱ立たなくていいや」


「……えっ、ちょ、ちょっと、やめてよ!?」


 おれがお姫様だっこで抱きかかえると、サフィアが慌てた様子で声を上げた。


「いやでも、試合でかなり疲れただろうし、歩くのもしんどいだろ」


「……それはそうだけど、でもこんなに人目があるところで……」


 確かに、観客席にはたくさんの人がいるな。とはいえ、その大半はアイシス先輩のほうを見ているだろうし、気にするならサフィア様ファンクラブの連中くらいか。もし、あいつらにこの光景を見られたら面倒かもしれない。そう思っていると、そいつらとおぼしき声が聞こえてくる。


「おい、見たか、お前ら!」


「ああ、サフィア様の<灼熱火炎弾(イグニロス)>すごかったな!」


「あの炎で焼き尽くされてえ……」


 どうやら、先ほどの<灼熱火炎弾(イグニロス)>のことで頭がいっぱいで、この状況は見られていないようだな。というか、あいつらは女王の下僕と言うだけあって変なやつしかいねえな。


 だが、気付かれていないのは好都合なので、今のうちに通用口を通って外に出る。そして、近くにあったベンチにサフィアを座らせ、おれもその隣に腰を下ろした。


「試合、お疲れさん。それと、よく頑張ったな」


 おれがそう言いながら頭を撫でると、サフィアは頬を赤くしながら嬉しそうに口元を緩ませた。


「うん、ありがと……。それと、あたし、けっこう疲れたの……」


「だろうな。回復魔法をかけてやろうか?」


「ううん、それはいいけど……、その代わりに……、こうさせて」


 そう言って、サフィアは横になりおれの膝を枕にしてきた。


「……まあ、別にいいけど」


 なんか少し照れるけど、女の子に膝枕にされるのも悪くはないな。そんなことを思いながら、おれはサフィアの頭をゆっくりと撫でた。


 *****


 魔法大会は順調に進み、おれとリミアも二回戦に勝利した。


「おれのほうはいいとして、リミアの次の対戦相手はアイシス先輩か……」


「はい。正直、勝ち目は薄いと思うので、胸を借りるつもりで頑張ります」


 リミアは右手を自分の胸に当てながらそう言った。……おれも、違う意味でリミアやアイシス先輩の胸を借りたいなあ。っとイカンイカン、今はそんなことを考えている場合ではないな。


「ああ、頑張れ。応援してるぞ」


「ありがとうございます」


 それから少し経ち、今度はリミアとアイシス先輩の試合が始まる時間になった。


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