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この世には口伝が全てとされ、教えとして設計図や教科書のみを可とし、その他全ての物を異端とする。
過去の遺物は禁忌とされる。
過去の技術は世界を終わらせた。
良くも悪くも影響力が大き過ぎた。
ある人が言った。それは良くない。人の為にならないと。
ある人が言った。繰り返してはならない。神はいない。
縋るべきは我らであり、技術にならない。
今を生きることが全てであり、未来は禁忌とする。
「っていうのを知らないの?」
「知ってるけど、手に入っちまったんだよ」
「ほんと、ばか」
「なんだよぉ!」
「ほら」
「え?なに?使う?使う!?」
「使わないよ、異端じゃん。今なら報告して褒められるラインだよね」
「なんで」
「使ってない。発見した。誰かが過ちを犯す前に正しい行いをした。ほら」
「……秀才の来に聞く」
「な、なにさ。ボンクラの末君」
「使ってみたくない?なんで、禁止にしたか知りたくない?」
「それは……でも」
「いけないこと。誰かが決めた事だ。お前はどうだ」
「それは……1晩!月が顔を出して眠るまで待って」
「揺らいだか」
「意地悪」