ハーレム
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
愛される側は気分がいい。
でもその他は最悪。
それこそがハーレムだと思います。
ハーメムと聞いて最初に浮かんだのは、玉座に座った一人を、下々の者が手を伸ばしてその求める様だった。けれども玉座に座る人間は、ただ穏やか顔で脚を組むだけ。下々の者なんか興味もないし、目を向ける筋合いさえない。そんな虚しい絵が頭に浮かんだ。
彼女の趣味は絵を描く事だった。気に入られた唯一の作品は、額縁に入れて部屋に飾られる。今回も更新が行われた様で、真新しいものが縁の中に収まっていた。
中々にか不気味な現代絵画だった。数多の人々が真下から手を伸ばす。押し上げられた先には玉座があって、玉座の上には一人の王と女王が鎮座していた。何方も穏やかな顔をしているが、下々の者に目を向ける事は無い。その微笑みが渇望する者に届けられる事は無い。
「これは?」
「ハーレム と聞いて連想した絵」
彼女は紅茶を用意しながらそんな事を呟いた。対面に座った目は灰色だった。
「ハーレム ってさ、どれだけ周りの者がその人を思っても、その主の愛を独占出来ないじゃない? そう思ったらこの絵になった」
一人の男に数多の女、一人の女に数多の男。須らく愛する事は基本的に難しい。だから泥沼と化ける。大奥なんかがいい例で。跡取りを産む為に他の女を殺す様に。
沈黙する俺を余所に彼女はただ静かに呟く。
「自らの全てをあげても後悔しない。でも、主は私達を見て下さらない。独占出来ない。だから私、ハーレムって嫌い」
報われない思いは果たして何処へ向かうのだろう。でも行き着く先は信徒ではなく、暴徒だろう。
オマケ 神様に似てる
ハーレムの主というのは神様に似てる。崇拝する下々を余所に、満たされるのは主ただ一人。その他無数はただ苦しみのみ。
「だから私、ハーレムって嫌い」
曲を聞いていたら浮かんだ話。
とある特定の誰かを渇望する曲なので、そこから浮かんだ話。
ハーレムって、愛される側、つまり一人の男女は最高に気分が良いんです。
それは人気ジャンルとして確立している事からもお分かり。
でも脇役は? 愛する側は? と思って出来た話。
愛した者の全てを得ることは出来ないし、募った思いはやっぱりとても苦しいと思います。
最後の気に入っている部分。
信徒ではなく、暴徒だろう。
信徒が暴徒に成り果てるのは、カルト宗教からもお分かり。
だから狂信、妄信って怖いんですよ。