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おまけ

 長い一日だった。

 悠斗はシャワーを浴び、泥を落としながらそう思った。

 シャワーの雨の中に頭を突っ込んだまま、悠斗は唇に指を這わす。

 そして、夕実の柔らかな唇の感触を思い出す。

 自然と笑みがこぼれそうなものであるが、悠斗の唇は真一文字から動きはしない。

 悠斗の内心は実に複雑な気分であった。

 自分の中のルウ・エリアルの存在があるが故に、理解し難い状況だったのだ。

 果たして夕実は俺が好きなのか?

 それともフェリテリテとやらが俺を好きなのか?

 それとも俺の中の賢者様が好きなのか?

 悠斗は悶々としているのには訳があった。

 あの後、佐藤夕実は『何やってんだ、私は!!』と一人激昂してドラゴンに乗って、放心状態の悠斗を放って去っていった。

 あとで携帯にかけても出ないし、メールの反応も無い。

 確かめようがないのだ。

 明日どんな顔して会えばいいのだと悠斗の頭を悩ませる。

 まあ、明日になれば俺も佐藤夕実も自分以外の意識は消えているのだから、意外と話しやすいのかもしれない。

「それにしても俺が賢者様だったなんて。変な感じだ」

 悠斗は一人呟き、シャワーを止め、洗面器に浴槽からお湯を汲む。

「・・・」

 そう、お湯を汲んだはずなのにそれは水であった。

 がくりと肩を落とす悠斗。

「何で水風呂なんだよ。風呂入れって言うんだったら、ちゃんとお湯入れとけって」

 悠斗は母親に理不尽な文句を言い、湯船に手を突っ込む。

(俺が夢の中の賢者なら、この水風呂も一瞬にして沸かせるのに、ただの一高校生だもんな。本当は)

 瞬間、湯船から水蒸気が噴き出し、悠斗はその場から飛びのいた。

「何だ?次は何だ?何が起こったんだ?」

 自然と周りを警戒する悠斗。

 しかし、何も襲ってはこなかった。

 湯船の中ではふつふつとお湯が沸いている。

(違う、何かが起きたのではない。私が何かを起こしたのだ)

 悠斗の中にはまだはっきりとした意識があった。

「・・・何でまだ力が使える?ディアヌス・ブレーンは向こうの世界にやって、もう全部終わったはずなのに・・・」

 悠斗は問いかける。

 しかし、もう既にその答えは悠斗の中にあった。

(まだ・・・終わっていない・・・)

 悠斗の中のルウ・エリアルは静かにうなずくのだった。


もし続編が書けるとしたならば、2015年秋ぐらいになろうかと・・・

書けたらいいなあと希望も込めて、ここにおまけを載せております。

それでは失礼いたしました。

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