第6話 推しキャラとの遭遇
タイトルが固すぎたので、修正しました。
また、あとがきを入れたつもりが入っていなかったので追加しました。
職員のお姉さんからヒルカリ草の採取依頼の報酬を受け取る。
この世界に転生して冒険者として初めての依頼、そしてその依頼の達成……。
元々この町に来る途中でヒルカリ草を採取していたから、「依頼をこなした!」という達成感のようなものはあまりない。
けれど、こうして報酬を貰うというのはなんだか嬉しい気持ちになる。
私は受け取った報酬を財布に入れて、マジックバックに仕舞った。
職員のお姉さんはというと、私が出したもうひとつの依頼であるカムラグ草の採取依頼の受注手続きを取ってくれていた。
やがて手続きを終えた職員のお姉さんがトレイに私の冒険者カードを載せて、カウンターの上に置いた。
「カムラグ草の採取依頼を受付しました。気をつけていってらっしゃいませ」
「ありがとうございます! いってきます!」
トレイから冒険者カードを手に取り、失くさないように肩から提げているマジックバックの中に仕舞い込む。
本当に失くさないように気をつけなければ! 特殊な魔法が施されているからこその100,000ペルなんて高額な再発行費用なのだろうが、今の私にはとてもじゃないが払えない。手持ちに余裕があったとしても、一度に100,000ペルもの出費は痛すぎるが。
私は頭を振る。
……よし! カムラグ草の採取依頼に集中だ。
カムラグ草はこの辺りなら確かサルビアからほど近い“ヤツデの森”という森に生えていたはずだ。ヤツデの森に出現する魔物のレベルは3~5だったはず。私の今のレベルは10だから大丈夫だろうけど、油断は禁物。気を引き締めて行こう!
気合を入れた私は、私はヤツデの森に向かうために冒険者ギルドの出入り口の扉の取っ手を掴もうと手を伸ばした。
すると、私が取っ手を掴む前に外側から誰かが扉を押した。
突然の事で咄嗟に反応できなかった私は、そのまま開いた扉に顔面をぶつけてしまった。
「〰〰〰〰っ!!!!」
「えっ!? ご、ごめん大丈夫か!?」
よろけただけで倒れはしなかったものの、あまりの痛さに顔を抑えてその場にしゃがみ込む。めちゃくちゃ痛いが、骨に異常はないと思いたい。
外側から扉を開けたであろう人物(声からして若い男性)がすぐ傍までやって来た気配がした。その人に「大丈夫です」と答えようと顔を上げた私は、その人物を見て固まってしまった。
少しカサついた指先が私の頬に触れる。
「あー赤くなっちゃってるな……」
揺れる金髪に、私を心配そうに見つめる綺麗な碧色の瞳。
嘘でしょ……? そんな……。
目の前の人物から目が離せない。
前世で何度も何度も画面で見た。
私が冒険者になろうと決めた理由のひとつ。
「本当にごめんな。立てるか?」
“ジーク・スティード”
ファンタジーRPGゲーム「オリヴィリア」の登場人物の一人であり、女の主人公を選んだ場合の恋愛攻略対象キャラの一人。
一見すれば王子のようなルックスの、若干18歳にしてランクAの実力者。
そして、私の推しキャラ。
この世界に転生したとわかった時からずっと会いたいと思っていた人物に、まさかこんなにも早く出会う事が出来るなんて!
ああ……画面越しでも格好良かったけど、実物はもっとカッコイイ!! なんか良い匂いもする…・・・。
ゲームにボイス実装はされていなかったから初めてジークの声を聞いたけど、彼に似合う心地良い爽やかな声だ。
ああもうどうしよう! なんかもうグチャグチャだ! 感情がすごいグチャグチャだ!
胸が……心臓がうるさいくらいに脈打っている!
心配してくれているジークに何か言葉を返さなきゃと思うのに、何も思いつかない!
もう本当にどうしよう!!
あ! よく見れば彼の後ろにいるのはマリア!? マリア・クレイル!?
しかも隣にいるのはリオン・フォードじゃないですか!?
マリア・クレイルは、サルビアにある“紫雲亭”というお風呂屋兼宿屋の娘で、ゲームの主人公を男性にした場合の恋愛攻略対象キャラの一人。女騎士に似た格好のランクBの冒険者で、ジークとリオンとは幼馴染の世話好きな少女だ。
リオン・フォードは、ゲームの主人公を女性にした場合の恋愛攻略対象キャラの一人。冷静沈着で冷たい印象を受ける彼だが、実は甘い物が好きという可愛い一面がある。
やだもう幼馴染三人組が揃い踏みじゃないですか!!
え? ここは天国? 天国ですか!?
二ヶ月前に転生したのに、私はいつの間にかまた死んじゃってたんですか!?
……いや、現実だ。これは紛れもない現実だ!
頬と鼻の痛みが「これは現実だ!」と叫んでいる!!
「おい……?」
――ハッ! そうだ。早く返事をしなきゃ!
ああ、ジークが手を差し出してくれている。
え? これいいんです? 触っちゃって、握っちゃっていいんですか!?
あ、ヤバイ。興奮しすぎて鼻血が出るかも……いや、これはぶつけたせいで出そうなのか? あれ? どっちだ?
とにかく落ち着け私! 早く心配してくれているジークに「大丈夫です」と一言返して安心させなければ!
そう。私は、「大丈夫です」と返事をする為に口を開いた――はずだった。
けれど、私の口から出たのは全く違った言葉だった。
「大好きです!!」
――あ、死んだ。
フィリア、とうとう推しキャラであるジークと出会いました。
最初は推しにガンガンアプローチしていく様を考えて書いていたのですが、ちょっと突き進みすぎたので変更しました。
フィリア、恥ずか死ぬ。
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これからも『モブに転生しました。』を宜しくお願い致します!




