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第30話 取り調べ


 突然割って入って来た声の主はジークだった。


 彼は今、「光属性の魔法が使えるのか?」と聞いてきた。使えるけれど、なんでそんな驚いたような表情をしているのだろうか? 隣にいるリオンも同じような顔をしている。ゴーシュだけは首を傾げているが。


 ジークやリオンの反応の意味がわからず、どうしたのだろうかと思っていた私の脳裏に、ある日の出来事がよみがえった。



 ――ちなみにフィリア、魔法は使えるか?


 ――使えます。


 ――属性は?


 ――火と風です。



 ああああああああああああああああああああっ!?


 思い出した!

 初めて魔物の討伐依頼を受けようと冒険者ギルドに行った日、ジークとリオンに私が使える魔法の属性を答えたんだった!

 そりゃ驚くよね!? 火属性と風属性の魔法しか使えなかったヤツが、いつの間にか光属性の魔法が使えるようになってるんだから!!


 ああ、どうしよう……。なんと言って誤魔化せば……。

「実は私、全属性の魔法が使えるんですー!!」って、打ち明けてみるか?

 ……いや、だったらなんで最初に聞かれた時にそう答えなかったんだ、とか余計にこじれそうだ。


 あー! 私はいったいどうしたら……!!


「隠してたんだよ、こいつ」


 ジークたちになんと説明すればいいか悩んでいた時、隣にいたディックがそう言った。


「光属性が使えるヤツは珍しいからな。面倒なことに巻き込まれたりしないように隠してたんだ」


 ディック……! あなた私の心が読めるのですか!?

 あ、いや、もしかして顔に出てたのか……?

 でも、何にせよ助かった! ありがとうディック! その意見に乗っからせていただきます!!


「そうなのか?」

「はい、そうなんです……。ごめんなさい」


 決して、ジークたちを騙そうとかしようとしたわけじゃありませんから!


「じゃあ、どうして君はフィリアが光属性の魔法が使える事を知ってるんだ?」


 あれ!? まだこの話続けるの!?


「魔物と戦って怪我した俺を治療してくれたんだよ。そん時にこの事は内緒にしてくれって頼まれてたんだけど……。ウチのバカリーダーが喋っちまったせいでバレちまったな」

「おいっ、バカって……!!」

「ちょっとガルアさんは黙っててください」

「ごめんねぇ、フィリア」

「あ、いえ、大丈夫です……」


 またディックたちに助けられてしまった。

 もう彼らには頭が上がらないな。


「そうか……」


 ん? ジークの表情がなんだか暗いような……。どうしたのだろうか?


「お前に隠し事をされてたって、しょげてるんだよ」


 ジークの様子を不思議がっていると、こそっとリオンが教えてくれた。


 え? 何それ可愛い!


「おい、リオン……」

「本当の事だろ?」


 ジークの頬が少しだけ赤くなったのを見て、私は咄嗟に口元を手で押さえる。


 照れているんですね? 照れていらっしゃるんですね!? その表情最高です。ありがとうございます。


「なあ、フィリア! 回復魔法が使えるんならさ、俺たちのパーティーに入らねぇか?」

「え……」


 おお! グランに続いてゴーシュからもお誘いが!

 誘ってもらえたのはすごく嬉しいが、ただメインキャラであるあなたたちとパーティーを組むべきなのは主人公だからなぁ……。非っ常にもったいないし申し訳ないが、これはお断りさせてもらおう。


「あの、お誘いは嬉しいんですが……」

「悪いけど、こいつは俺たちとパーティー組んでるから」


 え? ディック?


 ゴーシュにお断りの返事をしようとしたところ、なぜかディックが割り込んできた。

 私、いつの間にディックたちのパーティーの一員に?


「そんじゃ」


 ディックはそう言うと、私の手を取って歩き出した。ガルアさんたちもついて来て、私はジークたちを置いてディックたちと共に冒険者ギルドをあとにするのだった。




◇   ◆   ◇




「ただいまー」


 ディックに手を引かれたまま、私は冒険者ギルドからジョルナルドの安らぎ亭に戻って来た。宿に着いた途端、ディックの手が離れる。


「おかえりなさーい!」

「ただいま、ニコちゃん」

「フィリア、こっち来い」


 出迎えてくれたニコちゃんと抱きしめ合っていると、ディックが食堂を示した。なんだろう? と思いながら言われた通り一緒に食堂に入れば、「座れ」と言われたので席に着く。本当に何なんだろうか?


 ディックが私の向かいの席に着き、キールさんたちがまるで私を取り囲むように立った。

 なんかこれ、前世の刑事ドラマとかアニメで見た取り調べシーンみたいだな。


「フィリア。隠してる事全部話せ」


 ディックがどこぞの総司令官みたいなポーズをしてそう言ってきた。

 まさかの本当に取り調べだった。というか、なんで?


「隠してる事って……?」

「とぼけんな。なんでわざわざジークたちに嘘ついてたんだよ、魔法の事」

「そ、それはほら! ディックも言ってたじゃん! 光属性を使える人は少ないから、無理な勧誘とか面倒な事に巻き込まれたくないからだよ!」

「嘘つけ。お前俺の怪我治してくれた時、光属性を使えるヤツが珍しいって事知らなかっただろ」


 そう言えばそうでしたねー! いやーディックってば記憶力が良いなーもう!


「ほら、吐け。ジークたちから助けてやったんだからさ」

「あはは。ディックってば悪人面してる~」


 ルディさんの意見に激しく同意。

 ギルドでジークたちから助けてくれた事は感謝しているけど、まさかこんな事になるなんて……。みんなどこで打ち合わせしたの? すごい息の合った行動じゃないですか。……いや、ガルアさんだけはこの状況を理解できてないっぽいな。何度もディックやキールさんたちの顔を交互に見ている。


「フィリア」




 ……これは……逃げられそうにない、かな……。




お読みいただきありがとうございました。

次回更新は2022年1月4日を予定しております。

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