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ヨーカーin NY  作者: たまごはん
6/7

EPISODE6ブルックリン雨降って地

第6話 ブルックリン 雨降って地


ねぇカミラ、


なに?


なんでウィリアムの言うことは逆らわないって決めたの?


そうね、色々あったけど、あの人は私を守ってくれているのよ。


守る?


ほっとくとどこかに消えてしまいそうな私を、あの人は全力で守ってくれている。少し強引だけど、そのくらいがちょうどいいのよ。あれはあの人の愛なの。


そうなんだ。


私もひとつ聞いてもいいかしら?


なぁに?


なんであなたは、私のことをこんなに気にかけてくれるの?私のことを気にかけてくれるのはウィリ…オオスケさんくらいなのに。


僕は火車。よく空を飛んで遊んでたの


うん…?


いつも空を飛んでいたんだ。1人でね。家族はいなかった。ずっと独りだった。


そう、


そこでいつも見ていたんだ。カミラの笑った顔は綺麗だけど、どこか影があるって。



なんでかな、ってずっと考えていたんだ。でも僕わからなくて、分からないなーって思ってたら、いつの間にか気になってて、


そうなの。


僕はね!家族が欲しかったんだ!あのメンバーの中で一番、家族になりたかったんだ。そしたらまたヘンリーがアメリカに行こう!って言うから、喜んでついて行ったら、カミラがいて!僕嬉しくって!


うん


カミラ、僕はカミラと家族になりたかった!ずっとそう願ってた。思ってた。だから日本に帰るって言うなら、もう反対はしないよ。ウィリアムの考えがカミラの考えって言うなら、僕はもう…


ありがとう。こんなにも私を思ってくれている妖怪がいたなんてね。


えへへ、


私が今日暗かったのはね、オオスケさんと考えが違っているんじゃないかって怖かったの。私を守ってくれる人に逆らう意見を持ってしまったらって。


うん


でもあなたを見て思ったわ、今まで私を思ってくれていたのはオオスケさんだけだと思ってた。だけど違うみたいね。ゾラ、私を思っていてくれてありがとう。


違うよ!


え?


僕らはヨーカー一家!家族全員がカミラを思ってるよ!


ゾラ、…私、自分の意見を持っていいのかな…オオスケ、ウィリアムに逆らっちゃっても、いいのかな?


いいんだよ!あっ!


なに?


影が消えた!


え?


やっぱりいい笑顔だ!カミラ!


ゾラ、あんたって子は…ほんとにいい子…


さっ!ウィリアムに言いに行こう!自分の意見を!


ちょっと待って!まだ、勇気が出なくて


おおおおおおおおい!ウィリアムゥゥゥ!


きゃあああ!何するのよ!


あーだこーだ考えられないよ!だって僕ガキだもん!


…っ、ほんとに、あんたって子は、




第7話 ブルックリン



ウィリアム来ないね、遠くに行っちゃったのかな?


えぇ、少し心配。まだ土地勘もないし


僕探してくるよ!ここで待ってて!


え…私はどうしていれば、


目が真っ赤だから顔洗ってきたら?赤くするのはほっぺだけしろ!ってね


ゾラ…調子いいんだから、




僕の名前はゾラ!僕って言ってるけど実は女の子だよ!カミラが自分の意見を持ってくれて僕も嬉しい!だけどウィリアムどこ行ったのかな、早く仲直りさせないと…なんか大事なこと忘れてるような気がする。いや!今はウィリアムを探そう!おーい!どこに行ったのー?あ!あれがそうかな!?



おーい!ウィリ…


ああああああああぁぁぁ…どうして俺はあんなことを言ってしまったのか…コス毛を守ろうとしてあんなことをなんで…なんで…


ウィリアム?


くそぉぉぉ!なんて不甲斐ない!ちくしょう!なんて男だ俺は!このポンコツ!バカ!アホ!マヌケ!


ウィリアム?


こんな服はもったいない…俺なんて裸でいいんだ。もう土に還りたい。脱ごう…


待って待って!ウィリアム!ダメだよ!何してんの?


うぉぉぉぉ!?!?!、??!?!!?いつの間にいたんだ火車!びっくりするじゃないか!


うんもうびっくりしてたよね。


ゴホン、まぁとりあえずバレなくてよかっ


全部見てたよ?


…え?


ぜんぶ見てたよ?



ぜ・ん・ぶ!見てたよ?


さ、3回も言うな!そうか…


ウィリアムってなんか、頑固な妖怪なのかな?って思ったら意外と…


意外となんだ?


意外と…ねぇ〜!


うぅぅ…


ねぇ、なんでそれをそのままカミラに言わないの?そうすれば最初からこんな事にはならなかったと思うんだけど。


見せられないんだ…


え?


あいつの前では、強くなければならない。強くなければ、守れるものも守れない。守るべき存在の前で弱みなど見せてたまるか!俺は強くなくてはならない。厳しくなければならない。たとえ嫌われていたとしても、俺には守る使命がある!


それ本気で言ってんの?


もちろんだ。さぁその様子じゃあ意見に従うことにしたのだろう。日本に連れて行ってくれ。俺はこれからも、元いた場所で今まで通りに守らなくてはならないからな。


カミラ…泣いてたよ


……!


守れてないじゃん!カミラ泣いてたんだよ!我慢してたんだよ!守れてないじゃん!何が強くなくちゃいけないだよ!大切な存在を泣かせておいて、何が強さだよ!くだらない!


お前、


カミラだって1人の妖怪なの!あんたの付属品じゃない!そんな気持ちでいるんだったら、カミラに近づかないで!


そんな…泣いてたのか。泣いていたことに気づかないなんて…くそっ…ぅぅぅぅぅぅぅ


え?待って、まさか泣くとは思ってなくって…ごめんなさい!ねぇ泣き止んで?


弱くて、小さくて、臆病で、そんなあいつの隣にいてやれるのは俺だけなんだ。あいつに降りかかる厄災から、俺が守ってやらないといけなかった。それなのに、それなのに…これでは厄災は俺自身ではないか!


違う!ウィリアムは厄災なんかじゃない!


しかし、


カミラ言ってた!ウィリアムの行動は愛によるものだって!消えてしまいそうな私を守ってくれるんだって!


だが、あいつに怖い思いをさせないため、過ごしやすくするために俺は…でもそれが裏目に


怖かったんだって!違う意見を持つのが!


なに?


私を守ってくれる一心同体な彼の考えと違うことが、怖かったんだって!


そうか、


ウィリアム!


なんだ?ってうわっ!何をするんだ?


ギューって抱きしめてます!


何のためにだ!


僕の考えが分からない?


分からないし苦しいしうっとおしい!


ギューってするのはさ、好きな人とする事でしょ?


好きな人では無い、愛するものとだ。俺にとってそれは


でもギューってしすぎると苦しくない?


はっ…


いつもギューってしてたら苦しくて嫌だよ!



強いギューッもいいけど、優しくなでなでしてくれた方が、僕は嬉しいな!


…守るためには、強くなくてはならない。しかし、同時に弱さも必要だと言うのか。


僕と難しいことわかんなぁい!


なにを今更…。わかった!コスケと話してみるよ。あいつを信じてやれなかった。


ちゃんと名前呼んであげてね!


なんだ、名前なら…なるほどな。


ウィリアムだって!いつも強気じゃなくていいんだよ?


うっ!それは…しばらくはふたりのヒミツにしてくれないか?


はいはい!あっ!カミラいたよ!


あぁ、行ってくる!




一時はどうなることかと思ったよー…でも!2人とも仲良しに戻ってくれそうでよかった!あの二人は見てて微笑ましいからな!離れて欲しくない!でもホント大変だったよぉ〜





ゾラ!待たせたわね!


カミラ!ううん!大丈夫!それでどうだった?


こっちに残りたいっていう意見を尊重して、ここに残ることにした。俺の意見を押し付けて、他の意見を聞こうとしなかった。


ううん、それがあなたの愛だもの。私は嬉しいわ!


いや、これからは他の意見にも耳を傾けよう、自分一人だけじゃなく…家族みんなの意見をだ。強さだけでは、守れないものがあるらしいからな!


ふふふん!なんのことかな?


こいつめ…


この子ったら…


さて!みんなのところに戻ろう!


そうだな!行くぞコス…


どうしたの?


いや…いこうか、カミラ


……ッ!はい!ウィリアム!


仲直り出来て本当に良かった!これから楽しくなりそ…


やっぱりあなたに名前を呼んでもらうのが1番好きだわ!


カミラ!これからは何度だって呼ぶさカミラ!今日も可愛いぞカミラ!明日も可愛いさカミラ!全くたまらないなカミラ!


ちょっと!そんなに呼んだらしつこいんじゃ…


ああああああああっ!!!!たまんないわぁ!愛してる!ウィリアム。


あぁ、俺もさカミラ!


微笑ましいなぁ…けど濃厚すぎる。少し離れよう。でもこれにて一件落着かな!あれ??でも何か忘れてるような…まぁいっか!


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