EPISODE6ブルックリン雨降って地
第6話 ブルックリン 雨降って地
ねぇカミラ、
なに?
なんでウィリアムの言うことは逆らわないって決めたの?
そうね、色々あったけど、あの人は私を守ってくれているのよ。
守る?
ほっとくとどこかに消えてしまいそうな私を、あの人は全力で守ってくれている。少し強引だけど、そのくらいがちょうどいいのよ。あれはあの人の愛なの。
そうなんだ。
私もひとつ聞いてもいいかしら?
なぁに?
なんであなたは、私のことをこんなに気にかけてくれるの?私のことを気にかけてくれるのはウィリ…オオスケさんくらいなのに。
僕は火車。よく空を飛んで遊んでたの
うん…?
いつも空を飛んでいたんだ。1人でね。家族はいなかった。ずっと独りだった。
そう、
そこでいつも見ていたんだ。カミラの笑った顔は綺麗だけど、どこか影があるって。
…
なんでかな、ってずっと考えていたんだ。でも僕わからなくて、分からないなーって思ってたら、いつの間にか気になってて、
そうなの。
僕はね!家族が欲しかったんだ!あのメンバーの中で一番、家族になりたかったんだ。そしたらまたヘンリーがアメリカに行こう!って言うから、喜んでついて行ったら、カミラがいて!僕嬉しくって!
うん
カミラ、僕はカミラと家族になりたかった!ずっとそう願ってた。思ってた。だから日本に帰るって言うなら、もう反対はしないよ。ウィリアムの考えがカミラの考えって言うなら、僕はもう…
ありがとう。こんなにも私を思ってくれている妖怪がいたなんてね。
えへへ、
私が今日暗かったのはね、オオスケさんと考えが違っているんじゃないかって怖かったの。私を守ってくれる人に逆らう意見を持ってしまったらって。
うん
でもあなたを見て思ったわ、今まで私を思ってくれていたのはオオスケさんだけだと思ってた。だけど違うみたいね。ゾラ、私を思っていてくれてありがとう。
違うよ!
え?
僕らはヨーカー一家!家族全員がカミラを思ってるよ!
ゾラ、…私、自分の意見を持っていいのかな…オオスケ、ウィリアムに逆らっちゃっても、いいのかな?
いいんだよ!あっ!
なに?
影が消えた!
え?
やっぱりいい笑顔だ!カミラ!
ゾラ、あんたって子は…ほんとにいい子…
さっ!ウィリアムに言いに行こう!自分の意見を!
ちょっと待って!まだ、勇気が出なくて
おおおおおおおおい!ウィリアムゥゥゥ!
きゃあああ!何するのよ!
あーだこーだ考えられないよ!だって僕ガキだもん!
…っ、ほんとに、あんたって子は、
第7話 ブルックリン
ウィリアム来ないね、遠くに行っちゃったのかな?
えぇ、少し心配。まだ土地勘もないし
僕探してくるよ!ここで待ってて!
え…私はどうしていれば、
目が真っ赤だから顔洗ってきたら?赤くするのはほっぺだけしろ!ってね
ゾラ…調子いいんだから、
僕の名前はゾラ!僕って言ってるけど実は女の子だよ!カミラが自分の意見を持ってくれて僕も嬉しい!だけどウィリアムどこ行ったのかな、早く仲直りさせないと…なんか大事なこと忘れてるような気がする。いや!今はウィリアムを探そう!おーい!どこに行ったのー?あ!あれがそうかな!?
おーい!ウィリ…
ああああああああぁぁぁ…どうして俺はあんなことを言ってしまったのか…コス毛を守ろうとしてあんなことをなんで…なんで…
ウィリアム?
くそぉぉぉ!なんて不甲斐ない!ちくしょう!なんて男だ俺は!このポンコツ!バカ!アホ!マヌケ!
ウィリアム?
こんな服はもったいない…俺なんて裸でいいんだ。もう土に還りたい。脱ごう…
待って待って!ウィリアム!ダメだよ!何してんの?
うぉぉぉぉ!?!?!、??!?!!?いつの間にいたんだ火車!びっくりするじゃないか!
うんもうびっくりしてたよね。
ゴホン、まぁとりあえずバレなくてよかっ
全部見てたよ?
…え?
ぜんぶ見てたよ?
…
ぜ・ん・ぶ!見てたよ?
さ、3回も言うな!そうか…
ウィリアムってなんか、頑固な妖怪なのかな?って思ったら意外と…
意外となんだ?
意外と…ねぇ〜!
うぅぅ…
ねぇ、なんでそれをそのままカミラに言わないの?そうすれば最初からこんな事にはならなかったと思うんだけど。
見せられないんだ…
え?
あいつの前では、強くなければならない。強くなければ、守れるものも守れない。守るべき存在の前で弱みなど見せてたまるか!俺は強くなくてはならない。厳しくなければならない。たとえ嫌われていたとしても、俺には守る使命がある!
それ本気で言ってんの?
もちろんだ。さぁその様子じゃあ意見に従うことにしたのだろう。日本に連れて行ってくれ。俺はこれからも、元いた場所で今まで通りに守らなくてはならないからな。
カミラ…泣いてたよ
……!
守れてないじゃん!カミラ泣いてたんだよ!我慢してたんだよ!守れてないじゃん!何が強くなくちゃいけないだよ!大切な存在を泣かせておいて、何が強さだよ!くだらない!
お前、
カミラだって1人の妖怪なの!あんたの付属品じゃない!そんな気持ちでいるんだったら、カミラに近づかないで!
そんな…泣いてたのか。泣いていたことに気づかないなんて…くそっ…ぅぅぅぅぅぅぅ
え?待って、まさか泣くとは思ってなくって…ごめんなさい!ねぇ泣き止んで?
弱くて、小さくて、臆病で、そんなあいつの隣にいてやれるのは俺だけなんだ。あいつに降りかかる厄災から、俺が守ってやらないといけなかった。それなのに、それなのに…これでは厄災は俺自身ではないか!
違う!ウィリアムは厄災なんかじゃない!
しかし、
カミラ言ってた!ウィリアムの行動は愛によるものだって!消えてしまいそうな私を守ってくれるんだって!
だが、あいつに怖い思いをさせないため、過ごしやすくするために俺は…でもそれが裏目に
怖かったんだって!違う意見を持つのが!
なに?
私を守ってくれる一心同体な彼の考えと違うことが、怖かったんだって!
そうか、
ウィリアム!
なんだ?ってうわっ!何をするんだ?
ギューって抱きしめてます!
何のためにだ!
僕の考えが分からない?
分からないし苦しいしうっとおしい!
ギューってするのはさ、好きな人とする事でしょ?
好きな人では無い、愛するものとだ。俺にとってそれは
でもギューってしすぎると苦しくない?
はっ…
いつもギューってしてたら苦しくて嫌だよ!
…
強いギューッもいいけど、優しくなでなでしてくれた方が、僕は嬉しいな!
…守るためには、強くなくてはならない。しかし、同時に弱さも必要だと言うのか。
僕と難しいことわかんなぁい!
なにを今更…。わかった!コスケと話してみるよ。あいつを信じてやれなかった。
ちゃんと名前呼んであげてね!
なんだ、名前なら…なるほどな。
ウィリアムだって!いつも強気じゃなくていいんだよ?
うっ!それは…しばらくはふたりのヒミツにしてくれないか?
はいはい!あっ!カミラいたよ!
あぁ、行ってくる!
一時はどうなることかと思ったよー…でも!2人とも仲良しに戻ってくれそうでよかった!あの二人は見てて微笑ましいからな!離れて欲しくない!でもホント大変だったよぉ〜
ゾラ!待たせたわね!
カミラ!ううん!大丈夫!それでどうだった?
こっちに残りたいっていう意見を尊重して、ここに残ることにした。俺の意見を押し付けて、他の意見を聞こうとしなかった。
ううん、それがあなたの愛だもの。私は嬉しいわ!
いや、これからは他の意見にも耳を傾けよう、自分一人だけじゃなく…家族みんなの意見をだ。強さだけでは、守れないものがあるらしいからな!
ふふふん!なんのことかな?
こいつめ…
この子ったら…
さて!みんなのところに戻ろう!
そうだな!行くぞコス…
どうしたの?
いや…いこうか、カミラ
……ッ!はい!ウィリアム!
仲直り出来て本当に良かった!これから楽しくなりそ…
やっぱりあなたに名前を呼んでもらうのが1番好きだわ!
カミラ!これからは何度だって呼ぶさカミラ!今日も可愛いぞカミラ!明日も可愛いさカミラ!全くたまらないなカミラ!
ちょっと!そんなに呼んだらしつこいんじゃ…
ああああああああっ!!!!たまんないわぁ!愛してる!ウィリアム。
あぁ、俺もさカミラ!
微笑ましいなぁ…けど濃厚すぎる。少し離れよう。でもこれにて一件落着かな!あれ??でも何か忘れてるような…まぁいっか!