表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外れスキル【鑑定眼】持ちの俺、美人な女探索者と組んで世界最強の弾丸に!?  作者: 山下愁
幕引き:最強の探索者コンビは今日も迷宮区を踏破する

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/113

最終話【最強の探索者コンビ】

「あああああああああああああッ!!」



 太い石柱が何本も高い天井を支える広い空間に、フェイの絶叫が響き渡る。


 薄暗いその部屋は、壁に沿って設置された燭台の炎がぼんやりと照らすだけだ。光量があまりにも少ないので、この部屋に閉じ込められている敵の存在が上手く認識できない。

 暗闇の中を何かが蠢き、赤い二つの光が横へ滑るように移動する。叫ぶフェイを睨みつけているようで、白い手が握るものは三日月の形をした刃が特徴の大鎌だった。


 襤褸布ぼろぬのを被った骸骨である。まるで死神のようだ。



「いーやーッ!! ユーリ、早く倒して無理だってぇ!!」


「まだ金額が貯まってないよ、フェイ」



 石柱の影で様子を窺うユーリは、



「ほら頑張りな。とっとと石ころでも何でも鑑定して金にするんだよ」


「鬼ィ!?」



 フェイは涙目で叫ぶ。ちょうどそこへ死神の鎌が振り下ろされ、身を仰け反らせて回避した。

 あんな刃で首を刈り取られれば溜まったものではない。フェイは確実に死んでしまうではないか。実際ちょっと死にそうだった。


 頑丈なゴーグルで守られた青い瞳で、死神の鎌を振り上げる骸骨を睨みつける。


 フェイが有する【鑑定眼】スキルが発動し、襤褸布ぼろぬのを被った骸骨の値段が算定される。

 確かに強敵だからそれなりにいいお値段がするのだが、それよりもいいお値段なのは死神が持つ巨大な鎌である。あちらの方が何倍も高い。



「ユーリ、死神の鎌!!」


「それがどうしたんだい」


「二五〇万ディール!!」


「!!」



 石柱の影に隠れていたユーリの赤い瞳が、ギラリと輝いた。これほどの高額であれば彼女も見逃すことはない。

 柱の影から飛び出した彼女は、銀色の散弾銃を構える。死神の視線は完全にフェイへ向いているので、ユーリが今まさに起こそうとしている行動には気づいていない様子である。愚かな死神だ。


 大胆不敵に笑ったユーリは、



「シルヴァーナ、食らえ!!」



 銀色の散弾銃に命じれば、散弾銃が縦に割れる。

 銃口が広がり、その姿はさながら獲物を前にした肉食獣のようだ。拡張された銃口から風が吹き荒れ、死神の手から大鎌だけを強奪する。


 風に絡め取られた大鎌は、そのまま銀色の散弾銃に吸い込まれてしまった。呆気ない終わり方である。



「――――――――!!」



 死神が甲高い声で悲鳴を上げた。「どうして鎌を奪った!!」と言わんばかりの態度である。



「しっかり稼がせてもらったよ、二五〇万ディール」



 銀色の散弾銃を骸骨に突きつけたユーリは、



「一〇〇万ディール装填」



 金銭を対価に捧げて、悪魔が宿された特殊スキル【強欲の罪(マモン)】を発動させる。



「《骸骨よ、バラバラに砕けて死にな》!!」



 ガチン、と撃鉄が落ちた。


 金銭を対価にして込められた願いの弾丸は、的確に死神を貫いた。

 バラバラに砕けて死ねという願いを受けた襤褸布を被る骸骨は、手からバラバラと崩れ落ちていき、最終的に骨の山と化す。真っ白な骨の山はもう動かなくなってしまい、あの骸骨の形に復活する可能性すら消えた。


 骸骨が消え去ったことで、フェイは緊張感が途切れてしまう。膝から崩れ落ちそうになったところで、ユーリに支えられた。



「何してんだい」


「今回ばかりは死ぬかと……」


「アンタを死なせる訳ないだろう? 影でちゃんと様子を見てたさね」


「いや、まあうん。そんなことはしないと思うけど」



 というか、フェイだってあの骸骨以上の敵を相手に逃げ回ることが多かったのだ。こんな一般的な迷宮区ダンジョンでくたばっていたら、最強の探索者シーカーたるユーリ・エストハイムの相棒失格である。



「で、本当にこれが迷宮主?」


「迷宮主だろうよ。フェイ、鑑定結果は?」


「あー、うん。鎌より落ちるけど、大体一〇〇万ディールぐらい」


「上出来さね。さっきの願いの代金が回収できる」



 ユーリは死神の鎌を食わせた時と同じように、骨の山と化した骸骨を銀色の散弾銃に食わせてスキルの貯蓄に回す。

 金がなければスキルは発動されないので、フェイの【鑑定眼】スキルはユーリにとって何よりも重要なスキルだ。このスキルがあってこそ、ユーリは安心して迷宮区ダンジョンを探索することが出来る。


 銀色の散弾銃に貯められた金額を確認して、ユーリは「よし」と頷いた。



「よくやったよ、フェイ」


「お褒めに預かり嬉しいね」



 乱暴に頭を撫でてくるユーリの手のひらを享受するフェイは、迷宮区ダンジョン探索の終了を告げるいつもの声を聞いた。



 ――迷宮区【ヘルズリーパー】踏破です。



 どうやら、本当にあの死神が迷宮主だったらしい。迷宮主を討伐したことで迷宮区は踏破成功となり、いずれはこの迷宮区も崩壊して閉じることになるだろう。

 こんな骸骨だらけの迷宮区はさっさと閉じてほしいので、別に思い入れも何ともない。休眠状態の迷宮区として残るほどの価値があるものとは思えない。


 フェイは「んー」と背筋を伸ばすと、



「帰ろっか、ユーリ」


「そうだねェ」



 そんな言葉をのんびりと交わせば、迷宮区ダンジョンが踏破された際に発動される自動転送機構がフェイとユーリの身体を包み込む。これに身を委ねれば、いずれ外の世界へ放り出される仕組みだ。

 迷宮区の踏破は終わってしまった。さて、次の迷宮区はどこに行こうか。


 フェイは隣に並ぶ美しき女探索者(シーカー)へ視線をやり、



「ユーリ」


「何だい、フェイ」


「次はどこに行こうか」


「決まってるよ」



 ユーリは口の端を吊り上げて笑い、



「まだ見ぬお宝を探すのさ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ