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外れスキル【鑑定眼】持ちの俺、美人な女探索者と組んで世界最強の弾丸に!?  作者: 山下愁
最終章:大迷宮【アビス】Ⅴ

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第4話【スキル無効】

 光り輝く翼が広げられ、聖堂全体に羽根が舞い散る。


 幻想的な光景に誰もが目を奪われるだろうが、次の瞬間、ふわふわと重力に従って落ちていた羽根が弓矢の如くフェイめがけて飛んできた。

 慌ててその場から逃げ出せば、光り輝く羽根が床に突き刺さっている。あの羽根は優雅そうに見えてナイフを想起させる凶器だ。


 頑丈なゴーグルに覆われる青い瞳を見開くフェイは、



「怖いんだけどぉ!?」


「フェイ、次が来るよ」


「わああああああ!?」



 ご主人様のユーリが物陰に隠れながら次の羽根が撃ち込まれることを告げ、フェイは叫びながら回避行動を取る。

 地面に転がって回避、などは起き上がるまでの時間がかかる。そんなことをすれば間違いなくあの羽根の餌食だ。穴だらけになって無様な死体を晒すことだけは御免である。


 ユーリから賜った銀色の拳銃を抜き放ち、フェイは自分の外れスキル【鑑定眼】を発動。狙いは床に突き刺さった羽根の群れだ。



「一〇万、一三万、一五万!!」



 ちなみに一枚につき一〇万から一五万ディールである。お宝がばら撒かれている状態だ。値段をつけてから「もったいない!!」と叫びたくなってくる。

 銀色の拳銃で床に突き刺さる羽根を回収するフェイは、翼を広げて優雅に飛ぶアウラエルを睨みつけた。こんなお宝の羽根を優雅に飛ばしてくるなど考えられない。全身がお宝と呼んでも差し支えないのに、こいつには自分自身の価値が分かっていないのか。


 アウラエルに対して【鑑定眼】を使うが、



「あ、れ……?」



 フェイはゴーグルに覆われた瞳を見開く。


 価値が算出されないのだ。フェイの【鑑定眼】スキルが発動されない。

 スキルが上手く使えなかったのか、とゴーグルをわざわざ外して目を擦り、もう一度確認してみるもやはり【鑑定眼】スキルは使えなかった。金額は表示されず、アウラエル自身の価値が算定できない。


 相手は大迷宮ラビリンス【アビス】という迷宮区ダンジョンを作った張本人だ、きっと凄い力を有しているだろう価額不明な部分が実に惜しい。ご主人様の貯蓄に回せるかと思ったのに。



「マスター、どうしよう!! スキルが使えないよ!!」


「そんな訳ないだろう、もう一回やってみな!!」


「無理だって!! 何度やっても結果は同じだよ!!」



 一体どんな原理を使われているのだろう。それまで天使を算出した時は値段がつけられたはずなのに。


 すると、翼をはためかせたアウラエルが楽しそうに笑う。

 本人は楽しそうな笑みだと思っているのだろうが、地上を無様に這いずり回っているフェイとユーリにとっては嘲笑にしか見えなかった。つまるところ苛立ちを煽るような笑い方だったのだ。



「私にスキルは通用しませんよ」


「スキルが通用しない……?」


「ええ」



 光り輝く翼を揺らしながら聖堂の天井付近を飛び回るアウラエルは、



「スキルは神々が与えるものです。私も大迷宮ラビリンス【アビス】をこの世に産み落とした神に数えられるので、神にはスキルなど通用しないのです」


「マスター、この人本気で頭がおかしいのかな」


「精神病院にでも叩き込んだ方がいいかもしれないねェ」


「憐れみを持った視線を向けないでください!! その殿方の【鑑定眼】スキルが発動されなかったのが証拠ですよ!!」



 アウラエルは頬を膨らませて可愛げに怒りを表現するが、相手は大迷宮ラビリンス【アビス】の創造主である。そんなことをやっても全く可愛くない。


 それにしても、スキル無効は厄介だ。

 相手にはフェイがどんなスキルを有しているのか分かっているようで、対策もバッチリ施されている。アウラエル自身に【鑑定眼】のスキルは使えないが、アウラエルが撒き散らす白い羽根には価値がつけられる。あの羽根が何かに使えればいいのだが、今のところ貯蓄を増やす以外に使えない。


 物陰で待機していたユーリは、



「大法螺を吹くのは止めな」



 物陰から飛び出し、銀色の散弾銃をアウラエルに突きつける。


 彼女の姿を認めた瞬間、アウラエルの表情が引き攣った。それまでよ余裕が一切消えたような態度だ。

 スキルが通用しないのであれば、ユーリの持つ【強欲の罪(マモン)】ですら無効化するはずだ。なのに、何故そこまで怯えたような表情を見せるのか。



「いや……いや……!!」



 アウラエルは華奢な肩を抱くと、



「そのスキルを私に見せないでェ!!」



 甲高い声で絶叫する。


 アウラエルの悲鳴に呼応するかの如く、白い羽根が大量に飛び散った。また弾丸のように飛んでくるのかと思いきや、ふわふわと雪のように舞い落ちてくるだけだ。

 それほど効果がないのか、とフェイは油断していた。相手の拒絶反応はここからだったのだ。



 ――――ヴン。



 飛び散った羽根を中心に、黄金の波のようなものが生まれる。

 それは虚空をゆっくりと漂い、幻想的な光景を前に立ち尽くすフェイへ襲いかかった。光の波を前にフェイは何も出来ず、その場で棒立ちのまま光の波に視線が囚われる。


 あの綺麗な波に触れればどうなるだろう、いくらになるだろう。ご主人様のユーリは貯蓄が捗って喜ぶだろうか、などと考えていたフェイだが、



「何してるんだい!!」



 ユーリに襟首を引っ掴まれ、フェイは物陰に叩き込まれる。目を白黒させるフェイにユーリが覆い被さり、



「口と目を閉じてな!!」


「ッ!!」



 フェイが急いで目と口を閉じた次の瞬間だ。



 ――ッッッッッッドン!!



 聖堂全体を揺らす盛大な爆発音が、フェイの耳を劈いた。

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