祈誓の騎士　一　超速の騎士編

　愛するチエのために、自らをヒトではなく単なるモノ、しかも神へ自らの身柄を単なるモノとして捧げることに徹した不器用な男の不器用な慈愛の物語。
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　時空の支配者たる邪神（明龍と叡智）は、太極によって涅槃（絶望と諦めに人間を閉じ込めた状態）をもたらしていた。しかし、時空の創造主は二千年前に自らの献身と犠牲とによって邪神に対して勝利し、解放した大地へ一人のセラフィムを伴い、御使いの大軍を派遣した。
　不足したセラフィムの後継候補となったのは、黒木ユウト。彼は、数々の試練を乗り越えて育てられていくこととなった。ただ、その途上では、人間から人間でないものへと変化する際に、困難をいくつも乗り越えなければならなかった。
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　施設で育った孤児の智慧（チエ）。身に着ける衣服は、使い古された下着とよれよれの制服だけ。クラスの男女全員や教師たちからは虐めを受ける、絶望と涙だけが糧の日々だった。
　彼女を救ったのは、超速車ゼッツーから降り立った黒木ユウト。彼は錦糸高校の秀才、また秀でた剣の修行によって衆羅（シュラ）という鬼に対抗する能力を受け継いでいた。ユウトは預言に動かされて、チエを虐める人間ばかりでなく衆羅たちを退けていく。
　チエは錦糸高校へ進学。チエは二年生の二学期末となり、実力テストの際に三年生のユウトと再会した。彼らは互いに相手を意識し、幼い愛を育てていく。そしていつしか、ユウトはチエに様々に助けられるようになっていた。
　ある事件で、ユウトはやくざ集団からチエを救い出した。だが事件がもとで彼は退学処分を受けた。彼はチエに別れを告げて、ひとりでやくざ集団との戦いに出て行き、チエは彼を追う。