8.対面
お久しぶりです~!
久しぶりすぎて小説の設定を忘れております。
「え?」
「何か隠してるだろ。僕に話してくれないか」
「そんな、隠してることなんてあるわけ……」
「じゃあこれはなんだ」
美月に数枚の紙を押しつける。
罵詈雑言が綴られた紙を見て、彼女は一瞬目を逸らし、悲しい表情を浮かべた。そしてすぐに僕を睨んだ。
「見たの」
「なあ、これはなんだよ」
「他人の部屋を勝手に探るなんて最低」
「机に置いてあるのが目に入ったんだよ。1人で抱え込まず、僕に話してほしい」
「勝手に見ないでよ」
「いい加減にしろぉ!!」
美月が肩を震わせた。静かに雫が頬を流れる。
「お前がつらい顔をしてると、こっちもつらいんだよ!そんな顔を見せないようにしてるお前を見るのはもっとつらい。それ以上自分を傷つけるな。自分を抑え込むな」
「私だってそうしたいよ!でも、私のことで朝陽くんに迷惑かけたくないの。だって、朝陽くんが大好きだから!だからここまで隠してきたの。私の気持ちもわかってよ」
「迷惑なんていくらでもかけろ!彼女だからとかじゃない、僕は1人の人間として美月を大切にしたい。なんでも話せ。僕は美月と苦を乗り越えたい」
「なんでそこまで……。私は朝陽くんに迷惑かけてばかりなのに、なんでそんなに私のことを……」
「美月が大好きだからだよ」
彼女はすっと視線を窓の外に向け、頬を赤らめる。
「僕は美月に告白される前、美月に告白するつもりだった。僕はお前と自転車置き場で再会したときからずっと好きだ。」
僕はそっと美月の手を握る。
「だから美月を傷つけるやつを許せない」
夕日が美月の頬を照らす。輝く涙は、この世界の何よりも美しかった。
「ありがとう」
幸いバスに乗っているのは僕と美月の2人だけただった。もしかしたら運転手さんには聞こえていたかもしれないが。
バスを降り、僕たちは公園て別れた。苦くて安堵したような、そんな美月の表情が脳裏に残っていた。
美月に対するいじめについては、次の日に彼女の家で話をした。話す美月も、それを聞く僕も、終始心が苦しかった。
どうやら美月は、入学して数日後にはすでに嫌がらせを受けていたようだ。最初は物を隠される程度の軽いものだったが、だんだんエスカレートして、ロッカーに悪口の書かれた紙を詰めたり、教科書に落書きされるようになったらしい。きっと秀才で美しい容姿をもつ美月に嫉妬したクラスの女子のしわざだろう。
このことをおじいさんにも伝えると、とても苦しそうな表情を浮かべると同時に、美月が槁木死灰のような様子である理由がわかってほっとしたようにも見えた。
その夜、また夢を見た。
青い空がずっと広がり、そこにうっすらと月が浮かんでいる。僕は学校の屋上に立ち、黒髪の少女の背中を眺めていた。少女は柵を乗り越え、コンクリートの上に立つ。駆け寄ろうとしたが、足が動かない。
長い髪をたなびかせながら、少女は学校を飛び降りた。