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ラブコメの神様ですが、一部女子に好かれすぎて困っています。  作者: 猫まんま
一章:永久凍土も時には溶ける!…………よね?
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変態さんだ!

気付いてしまった、まだ、主人公の名前がフルネームで出てないことに。……もしかしかしたら出してたかも。

 

「では、作戦会議を始めるのじゃ」


 一条家の畳張の客間にて、俺たち三人は丁度正三角形になるように座って、お互いの顔を合わせていた。

 三人というのは、俺、オリガミちゃん、楓の三人だ。

 ちなみに俺は、先にシャワーを浴びさせてもらって、今は楓のお父さんの服を着ている。


「では、まず最初にご主人が覚えておる限りで良いから、確認した女子の名前とその好感度を教えてくれ」

「ん? それ必要か?」

「ひ、必要じゃ。ご主人が、吾輩たちに隠れてハニートラップに遭ってないとも限らないしの」


 怪しい。顔が赤くなっているところも、若干早口なところも。

 でも、話さなきゃ進まなそうなので教えるしかない。俺は、懐からメモ帳を取り出す。

 朝の段階で、見た人については書くつもりだったのだ。それが、まさかここで役立つとはな……。


「…………成る程……ほうほう……そうかっ! ご主人はモテないんじゃな! 無関心がほとんどじゃ!」

「うるさいわ! 俺がモテないのがそんなに嬉しいか!」

「そりゃ当然ライバルが…………い、いや嬉しくないぞ!? ご、ご主人の良さに気付かないなど、人間はやはり駄目じゃな!」

「俺を好きなのを認めるのか認めないのかはっきりしろよ……」

「す、好きでないわ! わ、吾輩がご主人をす、好いておるなど…………」


 少し過剰なくらいの反応で否定したが、急に勢いを失い、とうとう上目遣いで俺の方をジッと見るだけになってしまうオリガミちゃん。

 そっと手を伸ばして、俺の服の裾をチョコンと摘んできた。そして、自分からやったのに顔を真っ赤にする。

 いや……そんな…………何この可愛い生き物。

 好きなのを認めないスタンスにしたのに、即座に変えやがった。可愛すぎるだろ。

 と、俺たちがそんなことをしている間にも、楓は真面目に考えていてくれたようで、


「先輩、一つ気になるのですが……これにヒントがあるのでは? 共通点とか色々」

「え、どれどれ?」


 俺は楓に身体を寄せて、楓が手に持つ二つの紙を覗き込む。

 教師Aについてのメモと、雪浜さんについてのメモだな。どっちも低い。

 ……教師Aの好感度を上げろとか言われないよな? あの人定年退職間近で孫がいるお婆ちゃんなんだけど……。


「うーん……でもなぁ……教師Aとは接点がないのに嫌われてるからなぁ……」

「そ、そうですねっ!」

「? どうした楓? なんか慌ててないか?」

「い、いえっ!? そ、そそそそんなことありませんよ!?」


 そう言って、ズザザザッッと遠ざかる楓。

 いや、何もない人はそんな反応しないだろ。


「あー、暑くなってきましたねー! あー、汗かいちゃったー。私もシャワー浴びてこないとー。それじゃあ、先輩、失礼しますねー」

「あ、おいっ、楓!」

「本当にごめんなさい先輩お風呂に入ってきます!」


 バンッと襖がしめられ、直後ドドドッと廊下を走る音が聞こえた。


「やけに棒読みじゃったが……何かしたのか? ご主人」

「いや……何もしてないはずなんだけど……」

「そうか……まあ良い。今は楓の言ったことを……共通点を考えるぞ」

「あ、ああ……」


 まじでどうしたんだろう、楓。


 ♦︎♦︎♦︎


「はぁぁぁぁ……」


 宣言通りお風呂に行った私は、そこで大きくホッと一息つきました。

 ですが、まだ心臓はバクバク言っています。これはきっと、シャワーの冷水が頭にかかっているからではありません


 そりゃそうですよ。だって先輩の顔が真横にあって、その先輩の身体からは私がいつも使っているシャンプーとポディーソープの香りがするんですよ?

 これじゃまるで、先輩が私の家に住んでいるかのような……いえ、もうそれを超えた関係。

 つ、つまり……ふ、ふふふ夫婦ということになります!


「やばいやばいヤバすぎますってぇぇ!」


 語彙力の低下も仕方がないところです。

 先輩から私の匂いを感じた途端、私の頭の中には『先輩が私のものになったみたい……』などという馬鹿げた考えが浮かんでしまったのですから。


 これは本当に大変なことです。

 私は巫女。神に仕える女性。ならば、とてもそうとは見えませんが歴とした神である先輩を、私が自分のものにするなど許されません。

 そりゃ、確かにそういった欲望がないではないですけど、私はどちらかと言えば先輩に好きなようにされた……………


「って、駄目駄目私! そんなはしたないことを! 心頭滅却邪念撲滅! 心頭滅却邪念撲滅!」


 ですが、考えないようにすればする程、妄想は捗ってしまいます。

 今は先輩が家にいるのに……っ!! そう、こういうのほ先輩が帰ってから、ゆっくりと……。


「あとで……ゆっくり集中してもう一度……」


 よ、よし……。だんだん落ち着いてきました。

 これなら、このあと先輩にあんな風に近付かれても大丈夫でしょう。


「よしっ!」


 私は頬を叩いて気合を入れ、脱衣所に出ました。

 バスタオルで身体を拭きながら、考えるのは先輩と雪浜先輩のことです。

 雪浜先輩のことは、もちろん私も知っています。有名人ですから。


「でもなんで、あの人なんでしょう……。あの人が、どうして先輩を…………っ!!」


 考えながら片方ずつショーツに足を入れて引き上げると、力加減を間違えてしまったのかショーツが食い込みすぎました。


「ん、んんっ……で、でも正直先輩のどこが嫌なんでしょう……。良い所だらけなのに……」


 食い込みを直した私は、手早く、しかし丁寧に服を着ていきます。

 着るのは、制服ではなく部屋着。ですが、いつもより可愛らしく、そしてちょっとだけ露出面積の大きい物です。

 理由はもちろん……先輩です。


「…………大丈夫でしょうか……」


 はしたない子だと思われないか、それだけが心配です。

 ですが、私が心配するべきものはそれではありませんでした。


「…………え?」


 再び部屋に戻った私を出迎えていたのは……


「さあ、これを食べるんだオリガミちゃん……」

「ま、待つのだご主人……も、もうこれ以上は……」


 棒アイスで口をパンパンにさせたオリガミ様の鼻先に、さらなる棒アイスを突きつけている先輩の姿でした。

 いわゆる……変態でした。


投稿時間揃えなきゃですね……。

何時が良いんだろ……?

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