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ラブコメの神様ですが、一部女子に好かれすぎて困っています。  作者: 猫まんま
一章:永久凍土も時には溶ける!…………よね?
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思わぬ刺客

 

「────ご主人?」

「えっ?」


 突然名前を呼ばれて、俺は自分がボーッとしていたことに気がつく。

 見れば、すぐ目の前にオリガミちゃんがいた。


「えっと……ごめんごめん、何の話だっけ」

「何も話してはおらんぞ? ただ、ご主人が何か考え込んでいるみたいだったから少し心配になったのだ」

「あ、そう…………」

「本当にどうしたのだ? 何か悩みでもあるのか? 吾輩たちはパートナーなのじゃ。吾輩にできることがあるならなんでもするからの?」


 質問責めだ。普段ならしないオリガミちゃんの珍しい行動。

 本当に心配してくれているのが、オリガミちゃんの表情から伝わってくる。


「あー……じゃあ、少し聞いてもらって良いかな?」

「うむっ! この吾輩に任せるのだ! ご主人の悩みなど瞬く間に解決して見せよう!」


 パァッと顔を明るくさせ、ドンと薄い胸を叩くオリガミちゃん。

 そんなオリガミちゃんを見ていると、俺の暗い気持ちを晴れていくような気がした。


 ♦︎♦︎♦︎


「なるほど……つまりあやつ……雪浜と言ったか、そやつは恋愛に否定的な考えを持っているのだな?」

「うん。でもその原因が分からなくてさ」

「うーむ……じゃが、ご主人が嫌われていた理由なら分かる気がするぞ」

「えっ!? 本当?」


 嘘だろ……昨日一晩考えても分からなかったんだぞ……。

 今更だが、もっと早くオリガミちゃんに相談しとけば良かったな。

 結局、出来れば話したくなかった演劇についても話すことになっちゃったんだし。


「うむ、恐らくそれは、ご主人がラブコメの神様じゃからじゃろう」

「俺がラブコメの神様だから……? でも、雪浜さんはそのことを知らないんだぞ?」

「そんなことは分かっておる。吾輩が言いたいのは、ご主人がご主人であるが故に逃れられない宿命のことじゃ。つまりは、ご主人のいる場所では恋愛が発展しやすくなるという、な」

「じゃあ…………」


 まさかそのことに、雪浜さんは気がついている……? 

 確かにうちのクラスは、他のクラスに比べてカップルも多い。それこそ去年の文化祭では俺が張り切ったせいで、俺の周囲だけでも成功した告白の数は二桁もある。


「文化祭ということは、雪浜も数多くの男から告白されたことであろう。昔から告白をされ続けてきたあやつのことだ、違和感には必ず気がつく」

「それで、俺がいる時に起こりやすいって気がついた……?」

「吾輩はそう考える。少なくとも、ご主人がセクハラした可能性よりは僅かに高いであろう?」

「遥かに高いからね!?」

「セ、セクハラの可能性があるのか!? 見損なったぞご主人! 吾輩というものがありながら隣の席のおなごにうつつを抜かすなど……! こうじゃ! そんな節操なしのご主人はこうしてやる!」

「してない! してないから肩を掴んでガクガクしないで!」

「嘘じゃ嘘じゃ! ご主人は嘘をつく時、吾輩の顔を見ないのじゃ! そして今も見てないであろう!」

「そりゃ貴方に揺さぶられてますからねぇ!?」


 理不尽すぎる! 

 と、というか本当にセクハラをした心当たりはないんだから、ちゃんと分かってもらわないと……!

 こうやって涙目のオリガミちゃんに揺さぶられると、新たな扉が開きそうになっちまうからな!

 もう既に半開きよ! 向こうで悪魔が手を振ってる幻影が見える……。


「お、落ち着いてくれオリガミちゃん。本当にやましいことは何もないんだ。オリガミちゃんを揶揄って満足してるからね」

「本当じゃな? 吾輩以外には、変なことををしておらんのだな? ……いや待つのだ。よくよく考えると、吾輩にもしないで欲しいのだがな……」

「すまない、それは無理なんだ」

「やけにキリッとした顔じゃなご主人! 吾輩を辱めるのがそんなに楽しか!」

「うん、楽しい」

「断言じゃと!?」


 楽しい。揶揄った時の反応が可愛くて止められないんだ。

 傷ついていたらしいので胸について言うのは止めたけど、オリガミちゃんも楽しんでいる節があるのでこれからも続けていく所存です。


「うぐぐ……胸について言われるのは、吾輩もそれなりに傷ついておったのじゃからな……?」

「それはごめん。オリガミちゃんも成長しちゃうんだなぁって思うと、今のうちに揶揄っておきたくなっちゃって」

「ご主人は、意外とロリコンで加虐性愛じゃないか……?」

「失敬な。俺はロリコンではない」

「いや吾輩としては後者を否定して欲しいのだが……」

「ドSでもない」


 俺がキッパリと否定すると、オリガミちゃんは溜息をついて、俺との距離を詰めてきた。

 さっきまではソファに隣同士で座っていた程度だったが、今は腕と腕がくっついている。

 まあ、ロリコンじゃないので動揺したりはしないけどな! な! 

 

「まぁ……良い。となると次からは、何故恋愛を嫌うのか調べるとするか」

「そうだな。一応、雪浜さんの昔の女友達と連絡先を交換しておいたから……なんだよ、その顔は」


 ジト目を向けられる謂れはない。

 むしろ褒められるべきだろ。『よくやった、ご主人!』みたいに。


「なんでもないのじゃ。さあ、ご主人。風呂に入るか? それともご飯を先にするか? 夕餉なら少し待ってもらうが」


 それとも……なんて選択肢は用意されてないか。


「先に風呂に入るよ。一緒に入る?」

「じゃ、か、ら! それを止めろと言っておるのじゃぁぁ!!」


 飛びかかってくるオリガミちゃん。

 それをサッと避けて、俺は風呂場に向かった。


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