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ラブコメの神様ですが、一部女子に好かれすぎて困っています。  作者: 猫まんま
一章:永久凍土も時には溶ける!…………よね?
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文化祭は頭脳戦

 

「さっきの子、マジ可愛くね?」「ああ、蔑んだ目で踏みつけられたい……」「てか隣のやつ誰だべ?」「彼氏?」「なんであんな奴が……」「オレは彼氏派だなぁ……」


 周りからの視線が痛い!

 あとなんか悪寒を感じた! 尻の辺りがムズムズした!

 いやまぁ、分かってたけどね? うちの学校では氷の女王と恐れられている雪浜さんだが、他校の生徒はそんなことを知らない。

 当然、雪浜さんの隣を歩く俺に嫉妬する。俺が釣り合っていればまだしも、翔馬と違って俺は目立つ部類の人間じゃないからな……。


 翔馬が戦神という主人公格の存在なのに対して、俺は男のラブコメの神様、モブでもないが別にそこまで重要じゃないよね?程度の神だ。

 なんでお前女じゃないの? 女のラブコメの神様はどこ? そんな意見が聞こえてくる気がするなぁ……。

 てかよく考えてみると、知り合いのラブコメの神様、ほとんどが顔の作り良かったな。あれ? 俺だけ普通? ううん……。


「……何をさっきから唸っているのかしら?」

「え? ああ。雪浜さん。……とそうだ、あのさ、個別行動という可能性は……」

「……貴方自身に自信が感じられないから、周りも貴方を妬むのよ。貴方が堂々としていれば、気まずさなんて感じないわ」

「つまり却下ってことですね」


 質問に明確に答えない辺り、やっぱ俺のことが嫌いなのか……。

 まあ、却下されることくらい分かってたし、たとえ雪浜さんから個別行動しようと言われようが、断る気でいたから良いけどさ。


「……雪浜さんを一人にしたら色々面倒そうだからなぁ」

「私の何が、そんなに良いのかしらね……。性格だって悪いのに……」

「…………?」


 何が良いって言われたら、そりゃもちろん容姿だ。

 むしろ、ナンパや、深く知らない相手に告白したりする理由に、容姿以外の理由はほとんどあり得ない。

 一目惚れの奴とかナンパ野郎は、相手の性格なんて見ないからな。

 ラブコメの神様的に性格も見て欲しい、というか性格を見ようとする努力をして欲しかったりするが、これはもう仕方がない。


「で、でもいろんな出し物があるんだね? ほら、あそこで茶道部が淹れたてのお茶を配ってる。え、何それ飲みたいんだけど」


 部活やら同好会は勿論、個人でやってる店もあった。というかここは、個人や小さな団体がそれぞれ好きなように店をやってる区画だ。茶道部も、『出張』と看板に吹き出しが書かれている。

 個人レベルのものまであるとか、さすが私立だ。紙コップに入ったお茶も美味しかった。


「そうね。それも、短時間で終わる、つまり回転効率の良い出し物ばかり。大道芸みたいな、ちょっと足を止めるくらいのものもあるわね」

「質より量ってことかな? 開催が一学期で準備期間も短いから、一定の盛り上がりを見せるにはそうしないといけないのかねぇ……」

「文化祭というより……趣味の発表会に近いわね。よくよく見てみると、十に一つが占い関連よ」

「…………ほんとだ。水晶だったり、タロットだったり……あれは木の枝か?」

「全部に同じ質問をして、比べてみたりする?」


 悪戯っ子のような笑みで雪浜さんが微笑むと、それに見惚れた男性が足を止め、玉突き事故が発生した。

 押されたせいで足を止めた男性が前に倒れ、その後ろの男性も倒れ、その後ろの女性も……。

 一風変わった人間ドミノ倒しかな?


「面白そうだね。よしじゃあ、あやふやな言葉でごまかしにくい質問を……」


 と、俺が雪風さんの案に乗った時、どこからともなく、


「待ちなさい、そこの意地悪なことを考えているカップル」


 若い女性の声が聞こえた。

 辺りを見渡すと、魔女みたいな格好をした女の人が小さく手招いていた。

 俺と雪浜さんは顔を見合わせ、その人の元へと向かう。


「あの、カップルじゃなくて単なるクラスメイト同士なんですが」

「席について第一声がそれですか。あなたはお堅い男ですね。それでは、あなたのすぐ近くにいる女子も泣いているのではないですか?」


 初めて会うのに、中々失礼な人だな。

 見たところ、年上ではなさそうだけど……舞踏会とかでありそうな仮面をつけているせいで、顔がよく分からない。


「えっと……貴方は、どうして私たちを呼んだのかしら? あと、カップルじゃないわ」


 雪浜さんがそう言った途端、


「カップルじゃない?」「クラスメイト?」「つまりこれは……」「あの彼氏はフリー? オレにもチャンスが……?」


 どこからともなくそんな声が。

 …………いやもう突っ込まないぞ。てめえらがコソコソ後をつけていたのは知ってるからな。

 でも最後の奴は出てこい! 


「簡単な話です。文化祭で男女が歩いている。しかも片方は絶世の美女、もう片方はとても心優しく尊敬すべきせんぱ……コホン。とにかく目立つ二人です。集客効果は語るまでもないでしょう?」

「成る程、考えたな」

「お客がいませんでしたから」

「「…………」」

「お客がいませんでしたから」


 なんかごめん。


「いえいえ、そんな申し訳なさそうな顔をしなくても大丈夫ですよ。今から、あなたたちには私のために頑張ってもらいますから」

「それで? 私たちは何を占われるのかしら。それとも、こちらが指定して良いの?」

「いいえ。私がするのは……できるのは恋愛占いのみです。…………心の準備はよろしいですか?」


 そう言って仮面の魔女は、楽しそうに笑った。

 その笑みが、俺には何故かやけに気になった。

 その笑顔はまるで、どこかで見たことがあるかのような、笑みだった。


「では、恋愛の神のお心のままに────」

 

 恋愛の神様? なるほど、俺の上司ですね!


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