戦神の協力を得たようです
親友の名前を「廉太郎」と書いてる箇所がありましたが、正しくは「翔馬」です!
「へー、そんなことがあったんだ」
「ああ! それであたしが後ろからゆっくり忍び寄って……ガバッ! って捕まえたんだよ」
「でもその後、真紀ちゃんがしゃがんだら自分から近づいてきたんですよ」
「そ、それは言うなよぉ……」
折角翔馬が企画してくれた昼食だったが、残念なことに会話は、俺と梨沙と楓の間でのみ交わされていた。
目標である姉じゃなくて、妹とどんどん仲良くなってしまってる……。
で、でも! 俺たち三人の間で会話が進んでいるのには理由があるんだよ!
雪浜さんは基本会話に参加しようとしないし、俺たちが話を振っても、上手い具合にすぐに返されてくる。
言葉を交わらせても、雪浜さんとのそれは、何故か会話のような気がしないのだ。
そして翔馬だが、こいつは何故か自粛している。まあそれでも、雪浜さんに比べれば断然会話に参加してくれているのだけれども……。
「やっぱり動物が好きなんだね」
「ああ! 詳しいわけじゃないけど、動物園とかは好きだな!」
それと、梨沙は動物好きらしい。
先程から、動物の話で(俺たちだけ)盛り上がっていた。
「あー、そうだ、誠。課題は提出したか?」
「課題? そりゃもちろん…………」
いや待てよ?
あまりに話が唐突すぎる。これはきっと、何か他に意図があって…………
「お前が課題を出していないようなら、後で一緒に出しに行こうぜ? まあ、お前が俺の分まで出してくれてもいいけど」
そう言って翔馬は、爽やかなウインクをした。
何かを合図しているんだろうけど……あれだ、イケメンがやると殺意が湧くな。
「えー…………まあ、いいか。分かったよ、お前の分も一緒に出してくる」
「あ、それなら先輩、私も付いて行きます!」
まあなんだ、俺に用事を与えようとしたってことは、俺抜きで話がしたいってことだろう。
俺が立ち上がると、楓も慌てて手を上げた。
翔馬の意図を読み取ったからか、単純に俺がいなくなると居心地が悪くなるからか、そのどちらかが理由か知らないが。
♢翔馬視点♢
あの二人は…………行ったな。
一条さんが俺の考えを理解してくれて助かった。……いや、あれは単に、ここにいるよりも誠と一緒に居たかったからか?
…………まあどっちでも良いか。
「どうだ? 誠の奴は」
「やっぱり…………何か企んでいるのね」
「? どうしたんだ、姉上」
俺がニヤニヤした作り笑いを浮かべながら聞くと、雪浜姉はこちらを睨んで、雪浜妹はキョトンと首を傾げている。
おお、なんだこの差は。姉妹でこうも反応が違うものなのか……。
「企んでいるだなんて心外だな。俺はただ、お前の態度がそろそろ許せないだけだよ」
「…………」
「態度? 姉上が何かしたのか?」
「まあな、毎朝挨拶されているのに、こいつは相手の目を見るどころか、相手の方に顔すら向けないんだよ。流石に誠が可哀想すぎる」
「うーん…………それは姉上が悪いかな……」
こいつはシスコンだからな、彩乃を擁護しようとしたのか。
ま、された挨拶に釣れない態度を取るなど、流石にマナー違反。こいつでも擁護は無理だったってことか。
「だって…………怖いじゃない……。あの、楓さんって子、恋ノ宮くんのことが……好きなんでしょ?」
「お、おい姉上!?」
「まぁそうだな。確実に惚れてるな」
「ええっ!? 翔馬もか!? て、てか、みんな気が付いてたのか!?」
急に慌て出す梨沙。
なんだ? 秘密にしていなきゃ駄目だと思ってるのか? いやでも、秘密も何も…………
「あそこまで分かりやすいんだぞ? 余程の鈍感でもない限り、誰でも流石に気が付くと思うぜ?」
「た、確かにそうだけどさ……だけどさ!」
そんな余程の鈍感に心当たりがあるが、あいつは好感度を見る能力を手に入れたから、まぁこれから気付かないなんてことはないだろう。
「それに、彼、少しお人好しすぎないかしら? 絶対、裏で何か考えているに違いないわ」
「さぁ……少なくともあいつは、善悪とか、利害とか、そういうことは何も考えてないと思うぜ?」
なにせ神様だからな。
俺もそうだが、そういうプラスマイナスには基本的には無頓着だ。
裏で何か考えているっちゃいるんだろうけど……ありゃぁ、指令を受けただけだからなぁ。
それに多分あいつの心は、この絶世の美少女と恋仲になりたいとかじゃなくて、純粋に隣の席の人と仲良くなりたいとか、まあそんなもんだろう。
良い意味でも悪い意味でも、あいつ自身に本気の恋愛をする気がなさそうなんだよな……。
「…………あたしは、マコト、普通に良い奴だと思うけど…………」
「ま、それもこれも、あいつをよく知ってから考えるんだな。食わず嫌いは良くないぜ? 女王様」
「じゃあ、恋ノ宮くんと仲良くしろって言うの?」
「いいや、ちょっと俺に考えがあるんだ」
あまり手伝いすぎるのも好きじゃないけど……ま、親友が死ぬのは流石に俺も嫌だしな。
今回くらいは、しっかり協力してやるよ。




