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ラブコメの神様ですが、一部女子に好かれすぎて困っています。  作者: 猫まんま
一章:永久凍土も時には溶ける!…………よね?
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嫌われている理由を知りたい神様

 

 それから数日後、俺は翔馬と購買に向かっていた。

 本当は毎日オリガミちゃんがお弁当を作ってくれるのだが、今日は朝から何故か楓の家に行っているので俺も久しぶりの購買だ。


「購買って言うと争奪戦みたいなイメージがあったけどなぁ……意外とちゃんと並んでやがる」

「そりゃそうだろ。特別安い訳でもなければ、特別美味いもんがある訳でもない。買えなかったら近くのコンビニとかマックに行くだけだよ」

「…………本当はアウトだけどな、それ」

「生徒手帳に書かれている校則は全部努力義務みたいなもんだ。神である俺が認める」

「それ先輩が言ってたなぁ……。まあ、校則がないのがウリでもあるからな、この学校」


 制服(改造も可)を着て登校すること、それ以外の明確な校則はない。ヘリによる登校禁止とか無断で外に行くなみたいな、冗談のようなものがあるくらいだ。

 髪染めもピアスも、短いスカート丈も全てオッケー、ただし全て自己責任。

 髪染めするくらいなら、もっと他のことに金と時間を使う。そんなタイプの生徒が多いからできることだな。


「と、俺たちの番だ。あぁ……おお、珍しく全種類残ってるな?」


 へー、それは運がいいな。

 俺は手っ取り早く、自分が好きなのを選んで買っていく。


「よし、んじゃどこで食う? 外の公園にするか?」

「それ俺が昔にやってたやつじゃん。よく覚えてんなぁ……。教室で良いんじゃないか?」


 購買で買ったからと言って、他の場所で食う必要はないだろ。

 だが翔馬は「チッチッチ」とか言いながら、人差し指をメトロノームのように左右に振った。

 ……なんか分からんがイラッとくるな。


「いいか? 期限が明確ではないと言え、いつまでも進展がなければ流石に上はブチ切れる。お前のことだから即座に処刑はないだろうが、突然期限が決められた時のために好感度を69くらいにはしとけ」


 それはそうだけどな……。

 遊園地で会って以来、雪浜さんとは朝の挨拶を交わす程度だ。しかも、それも翔馬に挨拶をしたから仕方なく俺にも……って感じだ。


「ヘタレだなぁ、お前それでも本当に()()なのか? おいおい、恋愛経験のない童貞くんに俺たちの恋愛が左右されてるとかなんの冗談だよ」

「う、うるさいな……。色々とそれどころじゃなかったんだよ……」

「千代紙様とヤれば良いだろ。あそこまで愛してもらって何が嫌なんだよ。1000だぞ1000」

「オ、オリガミちゃんは今関係ないだろ!?」

「関係あるわ。ったくなぁ……お前、その童貞臭さがあるからモテないんだよ。実際、知らない奴から見ればお前って架空の彼女がいるヤバい奴だからな?」


 ぐっ……!! 反論できねぇ……!

 そりゃ確かに、ラブコメの神様なんだから()()()()()()を経験しとくべきだってのは分かるけど……。


「ああ、いや。千代紙様だけじゃなかったか」

「え?」

「一条さんだよ、ほら今購買で買ってる」


 翔馬の指差す方を見ると、確かに楓が購買でパンとおにぎりを買っていた。


「あれ? なんで楓が購買使ってんだろ」

「いつもは使ってねぇのか?」

「楓は自分で弁当を作ってるから購買は使ったことがないんだって。楓が嘘を言ってたってことじゃないよな?」


 楓は購買の列から出ると、キョロキョロと辺りを見回し始めた。

 誰か探してんのか? 友達と待ち合わせか? …………いや、同学年の女子なら購買は一緒に行くだろ。となると…………。


「お前じゃねぇのか?」

「……は? いやいや、なんでだよ。だって俺がいつも弁当なのは楓も知って……」

「でも後輩さんは、千代紙様が朝から自分の家に来るくることも知ってるんだろ? だったらお前が今日弁当持ってきてないことくらい予想するだろ」


 呆れたように言う翔馬。

 なんで「ラブコメの神様なのにこれくらい分かんないんだよ……」と溜息をついている。

 そんな根拠が何もないことで……でもまぁ、楓は幼馴染だ。話しかけないのも変な話か。


「どうした楓、誰か探してるのか?」

「先輩! やっぱり先輩も購買だったんですね!」

「ああ、今日はオリガミちゃんがいないからな。楓はなんで購買なんだ? いつも弁当って言ってなかったっけ?」

「そ、それは…………」


 俺が聞くと、楓は目線を下に落として頬を赤く染めた。

「ほら、言った通りだろ?」と翔馬が膝で脇腹を小突いてくる。……はいはい、俺が悪かったよ。


「そ、そんなことより先輩! それと翔馬さん。あの……よろしければお昼にご一緒しても良いでしょうか……?」

「んー、俺は気にしないぜ? ま、一条さんは俺なんかどうでも良いんだろうけどさ」

「い、いいいいえ! け、決して翔馬さんを蔑ろに思っている訳では……!!」

「おい、楓を虐めるなよ。楓、別にこいつのことは気にしないで良いぞ?」

「そ、それじゃあ……」


 パァッと顔を輝かせる楓。

 まぁ本当は、雪浜さんと食事した方が良いんだろうけどな……。


「ああ、それじゃあ三人で近くの公園に……」

「? 何言ってんだお前?」


 俺が近くの、水路まである綺麗な草原の公園に行こうとすると、翔馬が馬鹿にしたような表情でそう言ってきた。


「雪浜さんを誘わないでどうすんだよ」

「は!? い、いやでも嫌われてる俺が誘っても……」

「だーかーらー! 今だけは代わりに俺が誘うんだよ! だからちょっと待てってこと!」


 そう言うと、携帯を取り出した。


「ちょっ! なんでお前雪浜さんの電話番号を持って……」

「幼馴染だからだよ! てか今から電話するから少し黙ってろ。向こうに聞こえたらどうする」

「…………っ」


 ぐっ……そう言われたら、俺は何も言えないじゃないか……。


「…………ああ、そういうこと。…………うん、だからそう……。……知らねぇよ、んじゃ切る、来るなら五分以内な」


 通話内容に不安しかないんですが……。でも、通話を終えた後の翔馬は俺にサムズアップしてきた。どうやら成功したらしい。


「聞いた話だと、そういうのは全て無視すると思っていましたが……。幼馴染はやっぱり特別なんですかね?」

「な、なんでこっちを見るのかな……?」

「大勢の前でイチャつくなって。てか違えよ。お前らは誤解してる」

「「誤解?」」


 俺と楓の声が重なった。


「ああ。あいつは全ての告白を断ってんだぜ? それはつまり、全部の呼び出しに応じてるってことだ。普通何度も告白されたら無視するだろ」

「た、確かにそうですね……。お人好しなんでしょうか?」

「ま、似たようなもんだ」


 確かに、遊園地は苦手だけど妹のために来てるとか言ってたな……。

 そう考えると、ますます俺が嫌われてる理由を知りたくなるな……。特に何かした訳じゃないのに。


「待たせたわね」


 とその時、雪浜さんがやって来た。

 だけど、一人じゃなかった。雪浜さんの隣に、少し小柄な女の子が立っていた。


「姉上の妹、雪浜梨沙(りさ)だ。よろしくな!」


購買=戦争というイメージで高校に入学したら、意外とキチンと並んでいて落ち込んだ思い出……。

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