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ラブコメの神様ですが、一部女子に好かれすぎて困っています。  作者: 猫まんま
一章:永久凍土も時には溶ける!…………よね?
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後輩ヒロイン楓

まずは楓のコスプレです!

 

 楓の着ている服は、セーラー服。

 現役女子高生とは言え、うちの学校はブレザーだからセーラー服姿の楓を見たのは初めてだ。

 ……何というか、新鮮だな。

 だけど露出も多いわけではないし、コスプレとしては弱いコスプレだ。さて、ここからどうするのか……。


「い、行きます……!!」


 そう意気込んだかと思うと、「えいっ!」という掛け声と共に、楓は俺の腕に抱きついて来た。

 俺の腕を包み込む柔らかな感触に、頬が熱くなるのを感じる。


「か、楓!?」


 突然の楓の行動に、俺の声は上擦っていた。

 いやそうだろ? 二人がどうするのかと思っていたら、急に抱き付いてきたんだから!

 オリガミちゃんだって唖然としてるよ!


「後輩キャラの良さを先輩に伝えるため……後輩キャラの良さを先輩に伝えるため……!!」


 ギョッとして見ると、楓はギュッと目を閉じて、小さな声で一心不乱に何かを呟いていた。

 そして「よしっ……」と一つ大きく頷くと、意を決したように俺を上目遣いで見つめてくる。

 その時、俺の腕がさらに楓に引き寄せられて、もう腕全体から楓の『柔らか』が襲いかかってきてるよ……!! 

 何かに挟まったらしい自分の腕に感じる感触には意識を向けず、俺は楓の顔をジッと見る。というかもう、こうしなきゃ色々とヤバイ……!!


「せ、先輩……。わ、私に、あの……え、エッチなこと……お、教えてくれませんか……っ?」

「はいっ!?」


 急に何言ってんの!?


「お、おま……それって……」

「へ? ……あ…………も、ももももちろん演技ですよ!? 演技と事実は別物ですからね!?」

「そ、そうだよな! 演技だよな! もちろん分かってる!」


 言っていて誤解されると気が付いたのか、早口にまくし立てる楓。

 そうだよな……いくら好感度が高いとは言え、さすがにそんなことは言わないよな……。

 こ、これは演技……。これは演技……。


「お疲れな先輩のために、こ、後輩の私は何でもしますからね!! だ、だって私は先輩のことが大大大好きですから!!」


 え、演技だと分かっていても恥ずかしすぎる……!! 楓のテンションが高いのも、こうしなきゃ恥ずかしさで死にたくなるからじゃないのか!?

 というか、今もなお腕には楓の柔らかいものが押し付けられているわけで……。


「せ、せめて腕を抱くのはやめない!?」

「嫌です!」

「即答!?」

「せ、先輩のことが大好きな私は、こうしないと身体の昂りが抑えられないんです! 一線を超えそうになる度にヘタレる先輩のせいですからね!」

「妙に生々しい設定やめてもらえます!?」


 演技だと分かっていても何故か心が痛むから!


「というか普通、むしろ興奮するもんじゃないのか…………?」

「た、確かに……!!」


 はっ、と、今気が付いた様子の楓。

 設定のこだわる所が違うのでは……?

 もっとこう、土台をしっかり作り込もう?

 と思ったら楓はパッと顔を上げて、


「いやいやでもでも! もうあれです! 先輩のことが好きすぎて普通とは少し変わってるんです! これが愛の力です!」

「愛の力って言えばなんでも解決するわけじゃないからね!?」


 ラブコメの神様の前だぞ!?


「むぅぅ……やっぱり先輩は手強いですぅ……」


 俺がツッコミを入れていると、楓が残念そうにそう言った。ちょっと泣きそうになりながら。

 ちょっと可哀想だな。

 仕方ないか…………。

 俺は楓を自分の膝の上に、対面になるように座らせ、言い聞かせるように言った。


「あのな、楓。一旦冷静になれ。楓がテンパって辛そうにしているのを見るのは、俺も辛いんだ。俺は、楓には楽しんでほしいんだよ」


 勝負とは言っても、張り合いを持たせるためにオリガミちゃんが言っただけだし、特訓は俺だけのものだ。

 あまり特訓とか勝負とか気にせず、俺は楓とオリガミちゃんにコスプレを楽しんでもらいたい。


「いつもの違う服を着て、いつもと違う自分を楽しむ。勝負とかは気にしないで、楓の好きなようにして良いよ?」


 コスプレってのは本来、着る人が楽しむためのものだ…………と思う。

 その点、今の楓は楽しんでいるようには見えない。何か、使命感のようなものを感じる。


「先輩……。はい、分かりました。確かに、少し気張っていたかも知れません。私も、千代紙様のように『イチャイチャできるのじゃ♪』と楽しむべきでした」

「楓!? それは言わぬ約束であろう!?」

「私も先輩とイチャイチャする……じゃなくて先輩としたいことをします! 着替えてくるので、千代紙様に順番を譲りますね!」


 そう言うと楓は、紙袋の中から一着の服を取り、扉から廊下に出て行った。

 やけにテキパキした動きだったな……?

 やっぱり本当は、さっき紙袋から取った服を着たかったのだろう。


 取り残された俺とオリガミちゃんは、なんとなく顔を見合わせる。

 仄かに赤く染まった頬を掻くオリガミちゃん。


「え、えっと……吾輩の番じゃな、ご主人」

「イチャイチャしたいの?」

「んなっ…………!!」


 俺が聞くと、オリガミちゃんは顔を真っ赤にして、


「そんなわけあるか! 吾輩は、全くそんなことは思っておらん!」


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