それでも彼女は認めない
投稿時間を夜七時に決めました!
そのお化け屋敷に入った途端、ヒヤリとした空気が肌を刺した。
物体と違って温度とかは、オリガミちゃんでも感じることができる。ビクッと大きく身体を震わせ、早くも俺の腕に抱き付いてきた。
腕に顔を埋めてブルブル震えていたが、俺が何もしないことが気になったのかゆっくりと頭を上げて、ちょっとだけ恥ずかしそうに、
「……ご、ご主人が怖がっていると思ったからじゃ」
「ふーん……」
そうか、なら……
「ありがとな、オリガミちゃん。今ので大分心に余裕が出来たよ」
「ぁっ……………」
俺は怖くないし、離しても構わないよな?
離した途端、オリガミちゃんの顔が絶望に染まる。
ここで幽霊が怖いのを認めれば、俺はオリガミちゃんと手を繋いでも良いが…………。
「そ、そそそそそうじゃな! うむ! ご主人が元気になって吾輩も嬉しいぞ!」
うん、繋がなくても大丈夫そうだね。
涙目で顔も青いし、膝はガクガクブルブル、口元が歪んでいて、なんなら俺の服の裾をチョコンと摘んでいるけど……。
本人が言うなら、大丈夫なんだろう。
「ごひゅじん……」
今にも泣きそうな顔で俺の名前を呼ぶが、それでもお化けが怖いと認めないので、俺からはどうすることもできない。
ここで甘やかせば、オリガミちゃんのこれはもう治らないかも知れない……。
「…………」
でも…………俺はオリガミちゃんの手を優しく掴むと、先導するようにして通路を進んだ。
少し振り向いて見ると、怖がるのも忘れて、オリガミちゃんはキョトンと首を傾げていた。
「…………ご主人?」
「さっさと進まないと他の客に迷惑だからな。勘違いするなよ」
「うん…………えへへ……」
嬉しそうにはにかんで、トトッと小走りに俺の隣に並ぶオリガミちゃん。それはこのお化け屋敷には似合わない幸せそうな表情で……。
だが次の瞬間、
「ふぎゃぁ! な、なんか今ご主人の向こうに何かがいたのじゃぁ! 幼女が場違いに幸せそうな笑みを浮かべておった!」
絶叫して俺の腕に抱き付き、その上顔を埋めてきた。プルプルと小さく震えている。
終わりの早いフィーバータイムだったな……。
というか、ここに幼女の幽霊なんか居たかなぁ? それとも、昔と内容が変わってるのか?
そう思ってオリガミちゃんが指差した方を見ると、
「なんだ鏡じゃん」
「…………え?」
鏡には、俺と俺の腕に抱きつくオリガミちゃんが映っていた。
場違いに幸せそう、ねぇ……。
「…………か、鏡があることは知ってあったぞ? それとは別にお化けがいたのじゃ。う、嘘ではないぞ?」
「いや…………ううん、もうそれでいいや」
このままじゃ一生お化け屋敷から出られない。
俺はオリガミちゃんの無理すぎる言い訳を聞き入れ、手を繋いで通路を進んで行く。
少しだけ長かったので分割しました。
今日は一時間だけ間違えてちますが、これからは七時投稿です!




