インスタントJK。
『ではでは早速宝箱を開けちゃってください☆』
「わたくしから開けてもいいんでしょうか?」
「勿論。キャロちゃんがどれにするか選んでいいよ」
「私もそれでいい。とりあえずそこの木箱と、何か一つ赤箱を選んで開けるといい」
そんなやり取りを無言で眺めるイル君。
ちょっと寂しそうだけど今回イル君は何もしてないんだからしょうがないでしょ?
……あ、アーニャの盾になって頭齧られたんだっけ。
でもあれはアーニャがイル君をうまく使っただけだから本人はやっぱり何もしてないよね?
「じゃあこれにしますわ♪ まず木箱をあけてみます!」
私がどうでもいい事を考えている間にキャロちゃんが木箱を開け放った。
『ぴろりろりーん♪ おめでとうございます。ダークマターの延べ棒を手に入れました☆』
「ダークマター……!? まさか、あのダークマターですの!? 暗黒物質!?」
なんだかキャロちゃんが突然目の色を変えてヒートアップし始めたので現実を教えてあげよう。
「キャロちゃん。解説書でそれ見てごらん」
私はキャロちゃんに解説書を手渡した。
「何かおかしな事でも書いてあったんですの……?」
【ダークマターの延べ棒】
レア度:★
攻撃力:‐
属性:闇
追加効果:‐
耐性:‐
◆◆◆◆◆◆◆◆
ダークマターと言うと聞こえがいいが、世の中のダークマターの八割が同じ人物によって生産されている。
豊穣の神とされるデーメーテールは母性の塊であり、人の世話をする事に生きがいを感じるタイプの神様なのだが、料理の腕前だけは壊滅的で、しかも本人にその自覚は無い。
そして日夜ダークマターを作成し続けている。
世界で発見されるダークマターは大体、彼女にもてなされた人物がこっそり捨てた物である。
ちなみに延べ棒タイプはだし巻き卵を作ろうとしたのではないかと思われる。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「why?」
キャロちゃんが困惑するのも分かる気がする。
暗黒物質なのは間違いないのかもしれないけれど、これは神様が失敗したヤバい料理だ。
「……で、これはどのように使用する物なのでしょう?」
『特別にナビ子が教えて差し上げます☆ 基本的に鉱石や素材系のアイテムはクリエイトと言われる、要するに鍛冶などが出来る場所、出来るスキルなどを所有時に使う事が出来ます。そのほか現実世界で売却する事も可能ですよ♪』
「これお金になるんですの!? 神様の失敗した料理が……?」
「いや、失敗した料理かどうかなんて解説書通さなきゃ分からないだろう。ダークマターとして売却すればそれなりの値段になるんじゃないか?」
アーニャの言う事はごもっともなんだけれど、私としては何かに使える可能性があるなら取っておきたいタイプ。
ゲームとかやってても手に入れたアイテム売れない人間です。
「とりあえずそれはキャロちゃんの分だからキャロちゃんに任せるよ?」
私の物じゃないんだからそれは彼女に任せるしかないんだけどね。
「元料理の塊って事は……これってお湯かけて三分待ったら食べられたりするんですの?」
……その発想は無かった。
ダークマターにお湯を注いで三分間お待ちください♪
すると世にも恐ろしい……おや、だれか来たようだ。






