ナビ・ゲタ子とJK。
私が振り下ろしたバールには、ほとんど力もこもっていなかっただろう。
それでも、簡単に蜘蛛の頭部はキラキラした結晶のように砕けて散った。
「へへっ。アーニャ、わたし、やった……よ」
さすがに私も力尽きて、その場に倒れた。
「おっと」
倒れたんだけど……それをアーニャが受け止めてくれた。
「ちょっと、私今汚いから……触らない方が、いいよ」
「バカ野郎。あんたが汚いのなんか今に始まった事じゃないだろ」
……ほんと、アーニャったら酷いんだから。
だけど。
「……ありがと」
「おう。良くやったな」
そう言ってアーニャが私を優しく抱きしめて頭を撫でてくれた。
やばい。死んでもいい。
いや、冗談抜きにしてもう死にそう。
「もうちょっと待ってろ。アイテムだけ回収したらすぐに帰るぞ」
こんな時でもアイテム回収はしっかりやるアーニャ偉い。
「あ? 何だこれは」
私を抱きかかえたまま、アーニャが片手を伸ばして蜘蛛のドロップ品を手に取る。
「……ボーナス、チケット?」
アーニャがそう呟いた瞬間、私の視界がぐるりと回って吐き気がした後、痛みが消えた。
「あ、あれ? 回復薬切れたって言ってなかった?」
私の身体は完全に回復していた。痛みも無いし皮膚も元通りになってるみたい。
とりあえずこの状況は美味しいのでまだアーニャに抱き着いてるけど。あぁいい匂いするー。
どんっ! と、急に突き飛ばされてしまった。
「治ったんならさっさと離れろボケ」
なんでか知らないけどゴミクズを見るような目で見下された!
「アーニャ、これどういう事?」
見回してみると、転がってるイル君も頭が再生してるし、キャロちゃんもまだ気を失ってるみたいだけど糸からは解放されていた。
それに、ここって……?
さっきまで居たフロアとは全然違う。
幾何学的な模様みたいなので埋め尽くされた部屋。
「おい、さっさと出てこいナビ子!」
『ほいほーい♪ みんなのアイドル☆ナビ・ゲタ子ちゃんですよー☆』
どこからともなくナビ子ボイスが響いた。
「あれ、って事は……もしかしてここって?」
「そうらしいぞ。詳しい説明してもらえるんだろうな?」
『勿論でございます♪ ぱんぱかぱーん! おめでとうございます! 貴女方は一~十フロアのボスモンスターを撃破致しました☆』
「う、うぅ……ボス? 軍曹さんはボスでしたの?」
キャロちゃんが目を覚ましたらしい。
状況がよく分かってないらしいのでナビ子の事とか簡単に説明してあげた。
「ダンジョンとはかくも面妖なものですわね……」
面妖て。いや、面妖なんだろうけど面妖て。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!! 蜘蛛! 蜘蛛!! 死ぬ! 食われる!!」
うわ、めんどくせぇ……。
「イル君おはよ。イル君が身体を張ってアーニャを助けたおかげでボスを倒せたよ」
「はっ、お……お嬢? よく分からんが俺が役に立ったのか!? 愛菜!! 俺はお前の役に立ったんだな!?」
「黙れ」
「愛菜ぁ……」
この人達は相変わらずだなぁ。
「とりあえずナビ子の話聞こうよ。ナビ子続けてくれるー?」
なんていうか私は達成感よりも今とてつもない疲労感に襲われてるよ。
一~十フロアのボスって言ったよね? って事はさ、
あんなのがもっと居るって事でしょ?
きっつー。
ダンジョンの仕組みがやっと少し分かってきました。
基本的に飛ばされるフロアは一から十の中でランダム。いきなりボス部屋もあり得ます。
ボスさえ倒していれば、後はチェックポイント到達で次の階層へ。
というのが基本的な流れになります♪






