悪臭に耐えるJK。
「ほんとにアーニャってば私に対する扱いがひどすぎる気がするんだけどー?」
「馬鹿言うな。これが適正な対応ってやつだ。そんな事より、対岸に渡るぞ」
「あ、ちょっと待って」
私は解説書で、頭がふっとんで死んでるサメを調べてみた。
戦ってる時は水の中に居たから見れなかったんだよね。
【おっきいサッメ】
レベル:10
属性:水
耐性:水・斬
弱点:打
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古の魔術師が海底にある洞窟を調べる為に、思い通りになる海洋生物を作り出そうとしてなんやかんやと失敗した挙句に狂暴なサメが出来上がってしまった。
仕方ないのでサメに命令をしてみたところ、頭からバリボリと齧られ、サメはその日からただ何かを襲って食べ続ける存在として生き続けている。
ちなみに再生能力も高く、一度倒してもいつの間にか復活しているかもしれない。
遭遇した場所を再び通る際は気を付けた方がいいだろう。
淡水、海水どちらでも活動可能。
◆◆◆◆◆◆◆◆
今回の場合は見る余裕がなかったけれど、やっぱり出来るだけ戦う前に相手の情報は調べた方がよさそう。
こいつも打撃弱点だし、もし見れていれば対応がしやすかったかもしれない。
……てかこいつ再生するの……?
サメの様子を見てみるとうっすら蒸気みたいな煙が出てる。
あれで少しずつ再生してるって事?
「アーニャ、これ見て」
「ん? なんだよ……これは……めんどくせぇな」
アーニャはちょっと考えてから、ニヤリと笑った。
きっと悪い事を思いついたんだろう。
「お嬢、バールであのサメの頭をもぎ取れ」
私は言われた通りにエラの辺りをぶん殴ってばっさりと切り離した。
「ふぅ……これどうするの?」
「そうだな……残った体をもう半分に切り離してくれ」
そんな細切れにしてどーするんだろ。
細かくしとけば再生しにくいとかそういう話?
「雪だるまブレイク!」
アーニャは切り離した胴体の真ん中の部分を凍らせた。
「お嬢、その凍らせた部分を湖の向こうにぶん投げろ」
えっ、向こうにって言ったって結構距離あるけど……届くかなぁ?
私は凍り付いた湖の上で軽く助走をつけてサメの胴体をぶん投げた。
「どぉぉっせぇぇぇぇい!」
ごぃぃぃぃん!!
私が投げた氷の塊は湖の対岸を越え、この空間の果て、透明な壁に激突して落ちた。
「おー。さすが怪力。じゃあお嬢は頭持ってそのままあっちまで渡っちゃって」
自分は船の上に居るから簡単に言ってくれるけどさぁ……湖面が凍ってるの途中までじゃんか。
ジャンプして渡れって事なんだろうけどちょっと遠すぎる。
「アーニャ、中間くらいのところ凍らせてっくれる?」
「なんだよそっからじゃ無理なのか? めんどくせぇな」
ぶつぶつ言いながらもアーニャは私と岸までの間の湖面を一部凍らせてくれた。
私がぴょんぴょんとサメの頭を担いで飛び、対岸へと着地した頃、アーニャはぷちぷちファイアでサメの残り部分をこんがり焼いていた。
ここまで妙な臭いが広がってくる。
近くにいたキャロちゃんは鼻をつまんで涙目だった。
かわいい。
アーニャはその臭いに驚いたみたいだけど必死に平静を保ってる。
かわいい。
とにかく
かわいい。






