死を強要されるJK。
ざばっと水面が揺れたのに気付いた時にはもう遅くて、信じられないくらいの巨体が軽々と宙を飛んでいた。
牙の一本一本がぶっとくて、鋭くて、ちょっとでもひっかけたらきっと私の身体なんて簡単に切り裂かれてしまうだろう。
遅れながらも、私はその様子をスロウで見ていた。
映画で見たようなギョロリとした黄色い目。
硬そうな皮膚。
そしてギザギザな牙。
私は、スロウな時間の中で隣に居たキャロちゃんをアーニャの方に突き飛ばし、私もその巨体から逃れようとしたんだけど。
なんでもかんでもうまくいく訳じゃなくて、あれをやったらこっちが出来ない。これをやったらそっちが出来ない。
私はそういう人間なんだ。
だから半分諦めたような気持ちでそれを眺めていた。
本当はもうスロウなんて解除したかったんだけど、あまりに緊迫した状況だったから逆に気を抜くって事が出来なかった。
だから私は巨大ザメの牙が私の二の腕に触れて、ノコギリのようにざりざりと皮膚が抉れる様子を間近で見せられて。
そしてサメは口を閉じる。
次の瞬間、当たり前のように私の腕は千切れて無くなっていた。
「ッ!! ……!! ……ッ~~ッ!!」
もう言葉なんて出ない。
キャロちゃんなんて大声で悲鳴上げてボロボロ泣いてる。
私はそんなキャロちゃんを見ながら、よくそんなに一瞬で涙が出るもんだ。
とかそんな事を考えながら痛みを忘れようと頑張った。
無理。
痛いもんは痛いのだ。
でも、ここで私が騒ぐ訳にはいかない。
だって、キャロちゃんはちゃんと探索するの初めてなんだよ?
それなのに、目の前で私が泣き叫んで喚き散らしたら……絶対ダンジョンになんて来たくなくなるでしょ。
それどころか恐怖がトラウマになって心に深い傷を負うかもしれないじゃん。
だから私は耐える。気合で。
「無理だいてぇ!! アーニャなんとかして!!」
「うるせぇなちょっと待ってろ」
「えっ、えっ!? なんでアーニャさんそんなに冷静なんですの!? 腕がっ、血が!!」
「キャロちゃん、大丈夫大丈夫。めちゃくちゃ痛いけど、すぐにアーニャが治してくれるから」
「ごめん今回復薬切らしてたわ。蘇生薬ならあるから一回死んでくれる?」
「おっっっい!! ふざけんなよマジで!!」
私とした事がアーニャに対して暴言を吐いてしまった。
しかし今は痛すぎて、血を失いすぎて頭が働かないのだ。このままじゃ本当に死ぬぞ。
「かっ、回復薬! ここここれを使って下さいまし!!」
キャロちゃんが自分の胸元に手を突っ込んで葉っぱを取り出し私の腕に張り付けた。
ぽわっと柔らかい光と共に私の腕が即元通りに復活。
にしても今どこから出したどこから! けしからん!! とてもけしからんですよ!!
失った腕すら即復活。
回復薬超便利(* ॑꒳ ॑*)
ただし回復薬は谷間から出る。






