人体実験するJK。
「なぁお嬢」
「分かってるって。これはアーニャの武器だね。後衛魔法使いが使うには丁度いいでしょ」
「分かってるじゃないか」
これでアーニャは魔法以外の攻撃手段を手に入れた。
かなり恐ろしいのだけれど、戦力アップには違いない。
私もあの因縁の相手を倒して手に入れたアイテムだし、アーニャの役にも立てるしで嬉しい限りだ。
「それにしてもファンネルってなんですの?」
キャロちゃんが純粋な目で私に問いかける。
嘘でしょ? ファンネルはファンネルだよ。
「キャロ、ファンネルって英語で確か漏斗とかじゃないか?」
「そうですわ。漏斗であってますの。でも漏斗ナイフって……効果と名前がかみ合ってないような気がしますわ」
おいおいおい。本気で言っているのか君たちは……?
「あのね、ファンネルっていうのは……」
仕方ないのでいろいろ説明してあげた。
「なるほど、じゃあそのアニメの中で出て来たのがファンネルって名前で、漏斗っぽい形してるからこの名前になった、と」
まぁ私にはファンネルが漏斗っていうのが分からないんだけどね。
「興味深いですわ! 本来は形状から名付けられた物なのに今ではそのファンネルという名前がその武器の特色を説明する言葉になってしまうなんてアメイジング! アメイジンガー! アメイジンゲストですわっ!!」
君はいったい何をそんなに興奮しているんだい?
そんなに目をキラキラさせながら猫耳ふさふさでパンチラしてさ、あーもう可愛いねぇこの子は。
いやされるー。
「くふふふっ……これで私も敵を切り刻めるようになったわけだな」
……いやされるー。
アーニャがファンネルナイフを手に取ると、「……なるほどな」とか呟いてナイフを空中に放った。
すると、ナイフは地面に落ちる事なくふわりと浮き上がり、アーニャの周りを飛び回る。
「こりゃいい。本当に思った通りに動くぞ。それに、これ一本だけじゃないんだな」
どういう原理か分からないけれど、アーニャがそう言ったのを引き金に、周りを飛び回るナイフが六本に増えた。
「……ねぇ、その数のナイフを自由に動かせるの?」
「試してみるか。……おりゃっ」
ナイフが、ギロリと不気味に光った気がした。
それぞれが不規則な軌道で飛び回り、やがて一斉に私に向かって飛んできた。
「えっ!? ちょっ! うわぁぁぁぁっ」
どすどすどすどすっ。
ナイフは私の服の端々を確実に捉え、背後の壁に縫い付ける。
「あ、あの……アーニャさん? 凄いのは分かったから私で実験するのを辞めてくれないかね」
「馬鹿だな。実験相手にこれ以上適した相手が他にいるか?」
アーニャがニヤニヤしながらとても楽しそうに笑うのでうっかり許してしまいそうになるけれどそれとこれとは話が別なのだ。
ミスったらミスったで別にいいやくらいの気持ちでやってるに違いない。
私の命にもう少しでいいからおもきをおいて下さい。
「はわわ……まさしくウィリアム・テルのようなすんばらしきお腕前とそれを当然のように受け切る二人の信頼感……羨ましいですわ……」
私はキャロちゃんのその発想のぶっ飛び具合が羨ましいよ。
だんだん戦力が整ってきました!
奴との再戦も近い…?






