そして現在に至るJK。
「父親に、鉈で……ですの?」
「そうなんだよねー。父親が自分で娘に鉈振り下ろしたわけでしょ? そりゃもう大騒ぎだよ。 私は病院に担ぎ込まれて運よく後遺症とかも特に残らなかったけど、肩には消えない傷が残っちゃったよ」
肩にある傷なんて私はまったく気にしてない……って言ったら嘘になるけど、別にいいんだこれは。私が私である証明みたいなものだから。
だけど、父親とアーニャはすっごく気にしてるみたい。
私は父親にアーニャを責めないでほしいってお願いして、了承をもらった。
普通娘を殺そうとした相手を許すとかできないだろうけど、自分がその娘を殺しかけたっていう負い目があるからしぶしぶ納得してくれたんだよね。
それからというもの父親は気まずいのか尚更家に帰ってこなくなって、アーニャはこの家から出て行った。
「アーニャさんは……それからどこへ?」
「イル君がぼちぼち稼いでたから、そっち繋がりで家用意してもらったみたいだよ。今はさらに引っ越して違うとこ住んでるけどね」
「お嬢は……自分を殺そうとしたアーニャさんとどうして一緒に居られるんですの……?」
普通それが気になるもんなのかもね。
だけど……。
「私からしたらアーニャの事が好きだから一緒に居るだけなんだよね。アーニャも、言っても聞かない奴だって理解したんでしょ。だから諦めて私と一緒に居てくれてるんだよ」
多分根本的な恨みは心の中に残っているだろうし、私の事だって嫌っている筈だ。
それでも彼女は以前とは別人のように、自分を出せるようになった。
本音ではないんだろうけれど、ちゃんと私と話をしてくれるようになった。
だから、私は嬉しいしアーニャとこれからも一緒に居ると思う。
「なんだか、とんでもない事を聞いてしまいましたわ……わたくしってば一体どうしたらいいのか全く見当もつかず困惑中なのです……」
うん、混乱してるのはよく分かるよ。
「でもアーニャは凄く優しいんだよ。そしてすっごくかっこいいし、何より……私を変えてくれた人だからさ、私にとっては特別な人なんだよね」
「……アーニャさんも同じような気がしますわ」
……どういう事?
私とアーニャが同じなのは昔だけだよ?
「アーニャさんも……自分を変えてくれたお嬢の事を特別に思っているような、そんな気がしましたわ」
まさか。
……だけど。
「もしそうだったら、嬉しいね」
過去語り回はひとまずここまでとなります。
お嬢とアーニャの秘密が少し明らかになりました。
彼女たちはいろんな事を抱えながら生きていますが、きっとどこか分かり合える部分があるからこそ共に行動しているんでしょう。
面白かった、期待できると思っていただけましたら是非ブクマしていってください。
感想、評価、レビューなども大歓迎ですのでよろしくお願いいたします。






