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足腰立たないJK。


「おい、今何がどうなったんだ?」


 私はうまくいくか分からなかったけれど、咄嗟に集中してキャロちゃんの動きをスローモーションで見る事ができた。


 パンチラをしっかり見ようという執念のなせるわざである。たぶん。


 クルクル回転しながら猪の背後に着地した彼女は、振り向いて自分に向かってくるその猪に向かって全力で真正面から飛び蹴りをかました。


 それだけ。


 ぶぼん!

 って音を立てながら猪の身体が破裂して内臓やら返り血やらがキャロちゃんの全身に飛び散って、悲鳴をあげたって流れ。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁーっ! ぐ、グロいですわ臭いですわえんがちょなのですわぁぁーっ!」


 大騒ぎしてるキャロちゃんをよそに、私はアーニャに一連の流れを説明してあげた。


「おいおい……こりゃ想像以上どころじゃねぇな。反則級の強さだぞ……」


「効果が三秒じゃなければねぇ」


「……」


 アーニャが黙った。やっぱり三秒だけっていうのはなかなか使いどころが難しい。

 今回みたいに絶対倒せる状態で一撃必殺をかましてもらうしかない。


 そして、更なる問題が勃発。


「あ、あの……アーニャさん、お嬢……」


 キャロがその場にへたり込んでプルプル小刻みに震えながらか細い声で私達を呼ぶ。


「どうした?」


「怖かったんじゃないかな?」


 私達はキャロちゃんの方へ向かいながらそんな会話をしていたのだが、もう少し困った事になっていた。


「あ、あの……身体が、け、痙攣して……動けないんですの……」


 なんてこった。


「これは……多分超人化の副作用だろう」

 アーニャはそう言って迷わず帰還の石を使う。


「ご、ごめんなさいですわ……」


「いや、仕方ないしこれは一度経験しておいて良かったんだ。どのくらいで回復できるのか調べておかないと次に怖くて使えないからな」


 確かにそれもそうだけど……このまま一生使い物にならないって可能性はないんだろうか?



 私はちょっとその時、よからぬ考えが頭をよぎってしまう。



 例えば、身体が麻痺して動けなくなった人を殺して蘇生させたらどの状態で生き返るんだろう?


 とか。


「とりあえずこの葉っぱ貼ってみよう」


 アーニャは私なんかと違って冷静にちゃんとした治療をしようとしていた。


 変な事考えてごめんね。



 心の中で二人に謝って、キャロちゃんの様子を伺うけど回復薬じゃ治らないらしい。


 才能とかで得た能力の副作用は回復薬じゃ治せない……?


「ダメか? どうだ、何か変わった事はないか?」


「あ、あの、その……今の薬で痙攣はおさまりましたわ」


 え、結局回復薬で治るの? どっち??


「痙攣がおさまったならもう立てるか?」


「そ、それが……物凄い筋肉痛で身動きとれませんの……」



 そっちかー。






3分間超人の後の後遺症というやつですね

何事も対価が必要なのですたぶん。

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