当たって砕けたJK。
「アーニャ! これよろしく!!」
私が持ったままだった解説書をアーニャに向かって投げ、受け取るのを確認する余裕も無くバールを振り回す。
物理攻撃が効いてないって言うなら私に今試せるのはこれだけだ。
とにかくバールで蜘蛛の足を狙う。
こいつは自分の身体の真下は攻撃範囲外らしく、後ろに下がる事で私を視界に捕らえようとしていた。
勿論そんなのをただ待ってる訳がないので、腹の下に隠れつつ一緒に移動しながら更に足に攻撃を加える。
ガインガインとバールはその硬質な、まるでカニの足みたいな殻に弾かれてしまうが、それでもお構いなく振り回し炎をまき散らし続けた。
ぶっちゃけ私もめちゃくちゃ熱い。
周囲の酸素が無くなって頭がぼーっとしてきたけど、まだ死ねない。
アーニャが今頃解説書でこいつの情報を調べてる筈だ。
戻った時に、アーニャの情報と、私が戦う事で得られる情報を纏めて打開策を考えられるように、少しでも長くこいつと戦って、行動パターンを引き出す。
結果的に死ぬのは仕方ない。
怖いよ。
こんなでかい蜘蛛気持ち悪いし怖い。
死ぬのだって嫌だ。
痛いのも怖いのも嫌だし逃げ出したいけど、私はこいつを倒すために今は死ぬんだ。
アーニャが諦めるまで、私は戦い続けるって決めたから。
「うぅぅぅ……死にたくねぇー!」
ガィーン!
そもそもなんでこいつ蜘蛛のくせに足こんな硬いの!?
炎も全然きいてる感じしないしさー。
そこで、突然蜘蛛がその場で軽くジャンプし、足を広げた。
ボディプレスする気だ!
慌てて横にごろごろ転がって避ける。
立ち上がった時には既に蜘蛛は私を正面から見据えて、その幾つもある目を赤く光らせていた。
「やっべぇ……」
「おい! もういいだろ。一度帰るぞ!」
「ちょっと待ってって! もう少しだけ!」
アーニャもなんだかんだ私の事を心配してくれてるんだろうけど、これは私の意地だから。
蜘蛛の弱点……パっと思いつくのはそのぶにぶにしたお腹。そしてあの沢山ある目。
でもそれくらいしか思いつかない。
片っ端から試すしかない!
頭は潰してもダメだったのでどうせあの目も効果は薄いだろうが、念押しでもう一度やってみる。
正面からなので糸は吐くわ足でくし刺しにしようとしてくるわで逃げるのが精いっぱい。
だけど、なんとか攻撃をかわして足を駆け上がりもう一度顔面に一撃。
確かにぐちゃっと手に感触がある。
だけど、そうか。最初はちゃんと見て無かったけど今なら分かる。
こいつ、頭がゲル状なんだ。
当たってもダメージが通らないし、ぶち破ってもバールが通り抜けるだけ。
すぐにぷるんって感じで元に戻っちゃう。
じゃあ次はお腹だ! 地面に着地し、そのまま腹の下に走る。
んでバールをお腹にぶっすり刺して抉りながらそのお腹の中に炎をまき散らす。
「これでどーだこんちくしょーっ!」
お腹がぱぁんっ! と破裂したかと思うと、中から大量の子蜘蛛が私に降り注いだ。
「ぶぇっ! ぐろいぐろい気持ち悪いうわたすけ…………」
子蜘蛛の大群がスローモーションで私に向かって落ちてくる様は完全にトラウマ案件だ。
かわす事も逃げる事も出来ないのにただゆっくり大量の蜘蛛が私目掛けて降り注ぐ。
そして、相変わらず気が付いたら私の部屋で、目の前にはぷんすか激おこのアーニャがいるのでした。
今回は負けてしまいましたが、勿論このまま終わりはしません!
JK達はあの大蜘蛛を倒すためにどうすべきか考えます。
再戦を楽しみにしていただければ!
(* ॑꒳ ॑*)






