玉砕覚悟のJK。
私達はその後魔法陣で次のフロアへ。
あのゴリラは特別強敵だったらしく、散策中に何匹かモンスターがあらわれたけれど全然苦労する事なく余裕だった。
宝箱やドロップ品は素材程度。
やっぱり強敵を倒した時程レアアイテムが出やすくなる仕様なのかもしれない。
宝箱もあの赤いのじゃなくて木箱ばっかりだったし、もっといいの見つけないと。
そして、さらに次の魔法陣を見つけて飛んだ先のフロアで……。
私達は壁にぶち当たる事になった。
そこはとても広い野外風のフロアで、西部劇に出てきそうな大きなサボテンみたいな植物が生えてる。
荒れた大地が広がっていて、岩山もあるしところどころ大き目な岩がごろごろと転がっていた。
このフロアも、草原の時のようにどこかに果ては有るんだろうけどとりあえずそれは見ても分からなかったしどこまでなのか確かめる余裕は無かった。
私達がフロアに飛んだ瞬間に、そいつが視界に入ったから。
いや、視界に入らない方がおかしい。
大きさが尋常ではない。
「っていうかアレは反則じゃんよ」
「おいお嬢、遠距離で援護するから気合でなんとかしろ!」
ひぃぃぃ!!
これはかなり嫌悪感がすごい。
そいつはフロアのど真ん中、大きな岩山の麓で姿勢を低くし、身体を休めていた。
私達に気付くとその長い脚を広げ、戦闘態勢を取る。
無数の目、長く硬そうな足、とにかくグロい黄色と黒のぶにぶにしたお腹。
それは私たちの身体の十倍はあろうかという巨大蜘蛛だった。
アーニャがまず暗闇魔法をかけるのだが、どうやらあれだけの数の目を一気に暗闇にするというのは難しいらしい。
対象の目玉の数に制限があるのかもしれない。
ザカザカと地面を蹴りこちらに突進して来るが、想像異常に早い上に、口から糸を吐いてくる。
アーニャが糸でぐるぐる巻きになってしまうとアイテムを使えなくなる可能性があるので、もし二人とも糸に絡めとられてしまったらなすすべなくやられてしまうだろう。
それどころか、傷を癒す事も蘇生をする事も、ここから離脱する事もできなくなるかもしれない。
そうなったら、私達はここでこの巨大蜘蛛に食い殺される事になる。
「アーニャはとにかく離れて! あの糸に絶対やられちゃダメだからね!」
「わ、分かった。お嬢も気を付けてくれよ」
うん! アーニャが応援してくれるならなんとか頑張らないとだね!
「とりゃぁぁぁぁぁぁっ!!」
私は近くにある岩に飛び乗り、それを足場にして大跳躍。そのままその巨大蜘蛛の頭上に飛び掛かり、思い切りバールを振り下ろす。
めきょぉっ!
確かに頭が陥没して、ぐにゃりと形を崩し、私の振り下ろしたバールがその頭部を突き抜け地面に着地。
「どやぁーっ!」
私は蜘蛛を背に、アーニャに向かってガッツポーズ。
「どう? どう? かっこよかった!?」
「バカ野郎! 早く逃げろ!!」
「……へ?」
振り返ると、蜘蛛の頭は今まで通りそのままでそこにあって……。
「えっ、うそやんなんぞこれ!」
蜘蛛が勢いよく糸を吐き出し、なんとか私はその体の下に潜り込む事でかわした。
「あっぶ、あぶねーっ!! なんで頭潰れたのに!」
「いいから! 一度引くぞ!!」
そういう訳にはいかないでしょーよ。
何か少しだけでも突破口を見つけてからじゃないと逃げらんないって。
ただじゃ死なねーぞゴルァ!!
お読み下さりありがとうございます☆
今回は今までとは完全にレベルの違う相手となります。
倒せるのか、というよりむしろ生きて帰れるのか、という部分の問題が出てきてしまいますが……
お嬢はただで帰る気はありませんから何かと大変な事になってしまいます。
面白かった、期待できる、と思って下さいましたらブクマしていってやってください☆
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