命がけのJK。
「さぁて気を取り直してどんどん進んでいこう♪」
まだ最初のフロアだしね! のんびりしてたら日が暮れちゃうよ。
「おいお嬢、アレはなんだ? なんであんなもんがここにいる?」
少し進んで角を幾つか曲がった頃、少し広い通路に出たのだが、そんな道を塞いでいるモンスターの姿が。
ちなみに、そのモンスターの姿はどう見てもゴリラだった。ゴリラみたいな何かというよりゴリラにしか見えない。
私はゴリラに気付かれないように遠目から解説書をゴリラに向けてみる。
【ゴリーラ・ゴーリラ・ゴーリーラ】
レベル:7
属性:地
耐性:氷
弱点:やや火に弱い
◆◆◆◆◆◆◆◆
ゴリラ・ゴリラ・ゴリラの亜種。
火にやや弱いが、弱点と呼べるほどではない。全体的に耐性が高く、特に氷属性はほぼ通用しない。
大地から常にエネルギー供給を受けており、それを腕力に変換し純粋な力で殴りつけてくる。
その威力は低レベルモンスターとは思えぬ破壊力であり、注意が必要。
瞬発力も高く、間合いには気を付けて戦う必要がある。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「アーニャ、あれちょっとヤバそうだよ。一応火が一番効くみたいだけど弱点って程じゃないってさ」
「マジか。あんなデカいのが出てくるとは思ってなかったからな……。とりあえず距離をとりつつやれるだけやって、ヤバいと思ったらすぐに帰還しよう」
おっけー。
私はアーニャの目を見つめながら無言で頷く。
アーニャは自分の魔法の射程距離がちゃんとわかっているらしく、「もう少し近付かないと効果が薄い」と言ってゆっくりと歩を進める。
私はそれに追随するようにゆっくりと後ろから進んだ。
そして、アーニャが立ち止まり手をかざす。
戦闘開始だ!
「ぷちぷちファイア!」
アーニャの掌から炎が吹きだし、ゴリラがそれに気づいた時には既に全身火だるまになっていた。
「よっし! なんだ意外と効くじゃないか!」
「そういうの言っちゃダメなんだよ! フラグが……」
「フラグ?」
「ぐるるるぅぉぉぉぉぉ!!」
ほらやっぱり! ゴリラがその場でぐるんぐるんと身体を回転させ、身体の炎を吹き飛ばした。
「ヤバい! これはまだ戦っちゃダメな奴だ。お嬢! 一端帰るぞ!」
アーニャがポケットに手を突っ込み帰還の石を……使おうとしたが、アーニャはゴリラの突進を受けて私のすぐ横をすり抜けるように吹き飛んでいった。
一瞬頭が真っ白になりながらアーニャを目で追うと、地面に叩きつけられそのままゴロゴロ転がって、壁にぶつかって止まる。
「……アーニャ? 嘘でしょ? アーニャ!?」
「うっ……」
良かった。生きてる。骨とかめちゃくちゃに折れてるかもだけど生きてれば治せる。
だけど今のアーニャは回復アイテムを自分で使う事が出来ないだろう。
かろうじて身体が痙攣してるだけだ。
万が一の場合は蘇生させるしか……。
でも、問題なのは、私がアーニャの元へ行くのをきっとこのゴリラは許してくれないだろうという事。
つまり、どうにかして隙を作ってアーニャを確保しすぐ帰還して回復か蘇生を使う。
それまでに私が殺されたらおしまい。
私も、アーニャもここでおしまい。
本当の意味で……死ぬ。
私が、アーニャを守らなければ。
お読みいただきありがとうございます!
初めて本格的なピンチを迎えたJK組ですがこの危機をどうやって脱するのか、見守って下さいませ(* ॑꒳ ॑*)
みなみに、当然の事ながら二人ともこんな場所で死んでしまえば助けも入らず帰る事も生き返ることもできないので本当の意味で死を迎えます。






