ダンジョンで熱線浴びるJK。
ゆっくりと階段を降りていくと、途中からだんだんと明るくなっていって最終的には目の前が真っ白になった。
「まっぶし……」
「いつまで目を瞑ってるの? ここはもうダンジョンの中だから気を付けてね。いつモンスターが襲ってくるか分からないから」
「大丈夫。このフロアには敵は居ない」
もちゃはそう断言して、警戒を解いた。
「それ、信用してもいいの?」
「別にどっちでもいい。ゆゆが信じてくれればそれで」
「課長、もちゃの言う事は本当だと思う。この子はそういうの分かるから」
「分かるって言ってもねぇ……まぁいいわ、本気で言ってるみたいだから信じてあげる。それがもちゃの才能なの?」
もちゃは何も答えなかったので私も特に余計な事は言わなかった。
だってもちゃのこれは才能なんかじゃなくて、ただの努力だもんね。
私の腕にひっついているもちゃの頭を撫でてあげる。
「……??」
「敵が居ないって教えてくれたから。ごほうび」
「……もっと頑張ったらまたご褒美くれる?」
「うん。勿論♪」
「……任せて。ボク、頑張るから」
「二人で盛り上がってるところ悪いけどさ、次のフロアへの魔法陣探すぞ」
課長がちょっとイラっとした口調で文句言ってきた。今飴やり中なんだから黙っててほしい。
この子は絶対に使える子だ。いい子だし、私に懐いてくれてるし、間違いなく強い。
だけど本人にやる気が無さすぎるのが問題。
なので私が出来る限り上手く誘導してあげればこの子はやる気を出してくれるし、みんなウィンウィンのはず。
ちょっとだけもちゃには悪い気もするけど……。
胸がチクリと痛んだけど、私もその分一緒にがんばろう。
そう決めて、魔法陣を探そうと一歩踏み出した時、けたたましいアラームが鳴り響いた。
ウォーンウォーンウォーンウォーン!!
「な、なんだなんだ? ゆゆ、何か変なスイッチでも踏んだか?」
「な、なにも踏んでないよっ!!」
アラーム音が鳴りやむのと同時に、どこからともなく真っ赤なライトに照らされる。
「これは……私達を探知しているのか!? 物陰に隠れろ!」
課長が叫び、私達は散り散りになって、私は思わず入り口の階段を駆け上がろうとしてしまった。
階段を二段ほど登ったところで目の前を透明な壁に遮られ、その透明な何かにおでこを思い切り打ち付けて再びフロアの中へ転がり出た。
「いっててて……」
「ゆゆ! 戻ってきちゃダメ! 早く外に逃げて!!」
もちゃが叫ぶ。
そんな事言われたって、外には出られなかったんだってば。
その瞬間フロアのあちこちから大量の真っ赤なレーザーが私の身体に降り注いだ。
「いでっ、あづっ!! いっ、ぎゃっ……あっ、あっ、あ……」
ビシビシビシビシ絶え間なく続くレーザーに焼かれて私の身体は穴だらけになってあちこち千切れた。
うっすらともちゃの怒鳴り声が聞こえたような、気のせいのような。
やはり真っ先に死ぬのは力を持たぬJKなのでしたとさ。






