ショートコントJK。
「で、何を手に入れたって?」
私は狼もどきの残骸の上、私たちの目線くらいの高さにぴかぴか光りながら浮かんでいるそれを手に取る。
解説書で調べてみるが、簡素な表示で【素材】としか書いてなかった。
「まぁ今後何かに使えるかも知れないから一応持っていこう。ポケットに突っ込んどけばまた必要な時に取り出せるしな」
いろいろRPG的なお約束を知らないだけで、吸収力はあるみたい。
さすがアーニャ賢い!
きっとすぐに慣れる事だろう。
そしてまた、彼女にとって私の役目が一つ無くなるのだ。
「おいお嬢、宝箱があるぞ。開けてみよう」
洞窟内部を進んで行くと二手に別れた道があって、その左を進んだ先が行き止まり。
だけどそこには宝箱があったって流れ。
アーニャは周りを少しだけ警戒しながら近付、その宝箱を開けた。
ぴろりろりん♪
「おめでとうございます! 魔法のセロハンをゲットしました☆」
【魔法のセロハン】
レア度:☆
攻撃力:‐
属性:‐
追加効果:‐
耐性:‐
◆◆◆◆◆◆◆◆
古の魔法使いが、やたらと壊れるほうきに腹を立て、どげんかせんとあかんと言い放ち工房にこもる事三日間。魔法の知識の全てをフル活用して完成したのがこの魔法のセロハン。
名前の通り、見た目はただのセロハンテープであるが、これでぺたぺたと張り付けた物はどんな壊れ方をしていようと立ちどころに元の形状に修復される。
逆に、関係の無い二つの物をくっつけようとした場合ただのセロハンテープ以下の粘着力しか無い。
◆◆◆◆◆◆◆◆
説明長いなぁ……。
「ろくでもないアイテムかと思ったけどなんでも修復できるとか意外と優秀じゃないか。何かに使えるかもしれないからポケットに入れておこう」
そう言ってアーニャはディメンションポケットに魔法のセロハンを放り込む。
「私としてはそろそろ魔法以外に何か武器が欲しいところなんだけどな。こうなったら無限リボルバーをあいつから奪うか……」
強盗はダメだよ。イル君は私を殺した人殺しだけどアーニャがそんな悪事をしちゃダメだよ。相手は人殺しだけどね! 私を殺したけどね!
「お嬢どうした? 眉間に皺が寄ってるぞ」
「普段のアーニャ程じゃないよ」
「ほう、あんたもポケットに放り込んでやろうか? 一日一回ういろうでも放り込んでやるから」
「なんでういろうなのかはともかくそんなのは嫌だよ! ポケットの中に放置とかされたら私孤独死しちゃうじゃん」
独りぼっちでわけわかんない空間で過ごすとか怖すぎる。
電気とか通ってるならテレビとゲーム機あれば……それはそれでありかもだけど。
だけど、食べものがういろうだけとか辛い!
「孤独なんて事はないぞ。すぐに鬼野郎も放り込むからな」
鬼野郎っていうのは多分鬼太郎。つまりイル君の事だろう。
「えっ、誰も居ない空間にイル君と二人きりとか怖すぎるんだけど。私絶対襲われるよ犯される!」
アーニャは必死に訴える私の頭のてっぺんからつま先までをゆっくり眺めて、「……それはねぇだろ」と失礼極まりない事を言った。
まぁあの人ゲイだけど。
「酷い! その発言はさすがに酷いと思います先生!!」
「……そうか、あんた男みたいなもんだから危ないのか?」
「もっと酷いです! 先生アーニャが私の事をいじめます! 学級会で問題にしてください!」
「誰に言ってんだあんたは……」
えへへ♪ そんな毒舌アーニャが好きですよ私は。
お読み下さりありがとうございます☆
次回強敵と遭遇!!






