ヤバい組織のJK。
「で、だ。そろそろ打ち合わせを始めようか」
ハム子が課長らしく皆へ声をかけるが、いまいち皆ちゃんと聞いてない。
「ほら集中! 今資料を配るから目を通してね」
ハム子が二枚綴りの資料をみんなに配って回り、私もそれを受け取ってペラペラ見てみた。
こういうのってどんな事が書いてあるのかちょっと興味あったから。
だけど……。
「……何これ?」
そこには二人の女子高生の個人情報がびっしり書いてあった。
顔写真に住所氏名、年齢、そして今までの経歴やどんな家庭環境だったか、彼氏の有無まで事細かく書いてある。
「これが私が汗水流して調べてきた情報だぞ! どうだ私偉いだろう!?」
何してんの? 汗水流してストーキングしてきたの??
「今度はこの子達か……」
アーニャが真面目な顔して資料を見つめてるので、どうやらこれはちゃんとした重要書類なんだろうなっていうのが分かった。
という事は、この二人は……。
「この子達も固有ダンジョン所有者なんですか?」
「正確には、その疑いがある、って所だね。まだ家まで踏み込んだ訳じゃないからさぁ」
ハム子はダンジョンレーダーを持って街を歩き回り、疑わしい反応があった人物を洗い出したらしい。
「質問いいですか?」
ちょっと気になった事がある。
「はいゆゆこ君。なんでも聞いてね」
ちゃんと会議っぽくなってきたのが余程嬉しいのかハム子課長の顔がパァっと明るくなる。
「なんで女子高生ばかりなんです? この人達の家には親とかだって居るでしょう?」
「うむ、いい質問だね。それについては簡単に説明すると、固有ダンジョンの発露率が女子中高生に集中しているというデータがあってだね」
女子中高生に集中……?
「要はトラウマだのなんだのを内に抱え込みやすい年齢なんだろうぜ。なんで女子ばかりなのかはよく分からんがそれも同じ理由で括れるかもしれん」
アーニャがそんな事をぼやいた。
流石固有ダンジョン持ちだっただけあって説得力がある。
「今アーニャが説明してくれた通り、かどうかは分からないが、統計的に中高生がほとんどなんだよ。まだまだサンプルが少ないからなんとも言えないけれどね。だから反応があった付近を調べて年ごろの女性を調べたらちゃんと居る訳だよ。だから可能性は高いと思うね」
課長はドヤっと胸を張ったけれど、どうしてこんな一番雑用っぽい仕事を課長自らがやってるんだろう……。
あ、他の人がやらないからか……。
「で、家に踏み込む許可はもう政府から降りているから、今回は二手に別れて固有ダンジョンの有無を確認する。これがミッションだよっ!」
家に踏み込む許可って……この組織本当に国絡みなんだなぁと再確認した。
ヤバい組織を作ったもんだ。
固有ダンジョンの数だけドラマがある……かもしれません(笑)






