現代の忍者的JK。
結局その日は今後の打ち合わせと称して雑談を三十分ほどして解散になった。
私はもちゃと一緒の部屋になり、このオペレーションルームの二つ隣の部屋。
もちゃに案内されて部屋に入ると、てっきり散らかってるかと思っていたのに真逆だった。
生活感の欠片も感じない。
ベッドは安っぽい二段ベッドが備え付けられているものの、あとは部屋の中央に小さいテーブルがぽつんとおいてあるだけ。
「……もちゃ、これでどうやって生活してるの?」
「ん? どゆこと?」
「そのまんまの意味だよ。だって何もないじゃん」
「ボクは何もしないから」
……ちょっと何言ってるかわからない。
「趣味とかないの? 読書とかゲームとか」
「巻物なら読むよ」
ちょっと何言ってるかわからない!
「ベッドがあるけど布団ないよね? クローゼットの中にしまってるの?」
「クローゼットの中は着替えしかおいてない。ボク布団使わないから」
ちょっと何言ってるかわからない!!!
「じゃあどうやって寝てるの?」
「こうやって」
もちゃはベッドの上にちょこんと座って壁を背もたれにし、そのまま目を閉じた。
「……嘘でしょ?」
「何が? ボクにとってこれが普通なんだけど何かおかしいかな?」
「なんでそんな寝方してるの?」
「いつ誰に襲われてもすぐに反応、反撃出来るようにって昔から……」
「どこの忍者だよ」
「ボク忍者だけど?」
……何言ってるかやっと理解した。
この子ガチの忍者家系に生まれたんだ。というか忍者ってここまでガチなのが現代まで生き残ってたの?
そう言えば日本政府のお抱えっぽかったしこの子はヤバいぞ。
「あの、私はさすがに布団ないと寝れないんだけど……」
嘘だ。多分横になれる場所さえあればどこでも寝れる。ダンジョンの中で身に着けた。でもちゃんと部屋があってベッドがあるなら久しぶりにあったかい毛布にくるまって寝たいよ。
「うーん。じゃあハム子に貰ってくる」
そう言ってもちゃは部屋から出て行き、五分ほどでかなり良質な敷布団、掛布団、そして毛布を抱えてやってきた。
「そんないいの貰っちゃっていいの?」
「問題無い。かっぱらってきた」
……本当にいいのかな。
……まぁいいか。
「一つお願いがあるんだけど」
布団を抱えたままもちゃがちょっと声を高くして問いかけてきた。
「なぁに? ここで世話になるし布団も用意してくれたから出来る事ならしてあげるよ?」
「ボク、この布団で一緒に寝てみたいな」
「ふぇっ!?」
「ダメ……?」
めっちゃ悩んだけど、OKする事にした。
あんな寝方してた子が布団で寝たいって言い出したならそれは多分いい兆候の筈なのだ。
だったら、ちょっとくらいの居心地の悪さは我慢して今回はその提案を受け入れてあげよう。
「わかった。じゃあ今夜は一緒に寝よう。毛布はすっごく気持ちいいんだから覚悟するように!」
「わ、わかった! 毛布……恐ろしい子」
なんだこいつ。
今更だけど変な所に来てしまった……。
割と重要キャラになる予定のもちゃ。
皆様に気に入ってもらえるといいのですが(;´∀`)






